ネットワークエンジニアのキャリアパスを考えていく過程において重要視しなけばならないのは「専門性」「汎用性」のバランスです。
ネットワーク環境に関する基本から応用までの深い知識と豊富な経験を持ち合わせる事が大事となる一方で、自分自身でなければ運用しきれない属人性の高い専門性を持つことで、結果としてネットワークエンジニアとしてのキャリアパスをさらに広げていく事が可能です。
今回はネットワークエンジニアのキャリアパスをどうするべきか?という観点から詳しくお伝えしていきます。
- ネットワークエンジニアのキャリアパスは、知識範囲の広いゼネラリストか、知識深度の深いスペシャリストという選択肢がある。
- 経験を積むに従い、ネットワークの設計、構築、保守・運用だけでなく、顧客への提案のような上流工程を手掛けることができれば、年収アップが見込める
- ネットワークエンジニアは、Ciscoなどのネットワーク機器だけではなく、WindowsやLinuxなどのネットワーク設定や知識についてもある程度精通しておく必要がある
キャリアパスの考え方
キャリアパスを考える前に認識しておきたいのが、自分自身がどんな適正や志向を持ち合わせたエンジニアかを判断することです。
ネットワークにおける汎用的な内容を網羅しつつ、基礎的なフォーマットを大事にしたいタイプなのか、それとも1つの技術群に対しての専門性を突き詰めることが好きなタイプなのかなどを予め確認しておきましょう。
実際問題として、想像以上に自分自身の求めている像と現実にアウトプットできる像との乖離は起きるものですし、キャリアパスを考えていく過程においてもこの自分が何を好きで何に興味を持てているのかを理解しておく事は重要です。
それでは次にゼネラリスト・スペシャリストのどちらを目指すべきなのかを触れながら、T字理論に基づくさらなるT字型人材を目指すキャリアパス形成の在り方についてお伝えしていきます。
ゼネラリストとは?
ネットワークエンジニアにおいてのゼネラリストとは、Webサービスや情報システムに対する全般的な知識や経験を兼ね揃えた人物像を目指すもので、Webネットワークに関してこの人に任せればひとまず問題が発生しても十分に対処できるだろうと周囲に評価される人物です。
ゼネラリストを目指す際は「基本情報技術者資格」「応用情報技術者資格」を最低限は保持しておきつつ、CCNAやCiscoなどのネットワーク関連の資格も取得しておくと良いでしょう。ゼネラリストに求められるのは卓越した高い能力でもありますが、それ以前にバランスの取れた能力を持ち合わせる事に大きな価値を生み出します。
スペシャリストとは?
ネットワークエンジニアにおいてのスペシャリストとは、Webネットワークのある分野領域における卓越した専門技術や知識を保持している人物像を目指すもので、ゼネラリストが対応できない状況や案件に対して適切に処理し、状況を解決させる事ができると評価される人物です。
スペシャリストを目指す際は「基本情報技術者資格」「応用情報技術者資格」を保持しておきつつ、IPA(情報処理推進機構)が認定する高度な技能と知識を有していると認定される「ネットワークスペシャリスト資格」を取得してけるレベルに達しておくと良いでしょう。
スペシャリストに求められるのは非常に高度で卓越した能力であり、解決しきれない課題を解決し得る能力を持つことで絶大な信頼を獲得する事が可能です。
T字理論とは?
ネットワークエンジニアにおいてのT字理論とは、広く浅い知識群を有している中に、非常な知識群を所有しているゼネラリストとスペシャリストを複合させた理論となります。
基本的にはCiscoやCCNAに関する高い知識を一流レベルで身につけていきながら、その他の知識群を1.5流程度で身につけていくことでT字型人材になる事が可能です。
ゼネラリスト・スペシャリスト・T字型人材と様々な方向性があるように思えますが、土台となる知識体系を身につけながら、さらに高度な内容も理解していくことが今後ネットワークエンジニアには最低限必要となる。という風に考えておけば良いでしょう。
以上の3タイプのどれを目指すべきかと考えるよりかは、ゼネラリストとスペシャリストをミックスさせたT字型人材になることがより多くの価値を与えることが可能な人材へと進化できるキャリアパスです。
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キャリアアップにつれての年収の変化
ネットワークエンジニアとしてキャリアアップすれば年収も増加傾向となりますが、同時にスキルの幅を広げる意識も大切です。ネットワークの構築・設計にばかり関わるのではなく、企業のWebサービスや情報システムの保守・運用にまで手を広げることで、エンジニアとして顧客企業に対して提案までできる人材となります。営業までできるネットワークエンジニアになれるなら、年収比率も高い傾向になってきます。
自分自身でネットワークの設計・構築をしつつ、保守・運用をし、顧客企業に提案までできればよりエンジニアとして独立した価値を生み出すことができます。まずはそのレベルに達する事ができるようにしてみてください。
ただし、ネットワークを設計したりするだけに止まらず、顧客企業にとってどんなネットワーク構成が適切なのかなどを提案し続ける上流工程的な仕事にまで行動を移せればよりネットワークエンジニアとしての年収も変化していくでしょう。
エンジニアとは顧客の問題を解決したり、必要性を技術で満たしていくことですから、その点に注意を払っておいてみて下さい。
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ネットワークエンジニアが身につけるべきスキル・能力
ネットワークインフラの知識
ネットワークエンジニアとして着実にキャリアアップしていくには、ネットワーク、そしてインフラの知識が必須になります。
WindowsやUNIX、LINUXといったOSの設定、そしてインストール方法や、Microsoft Azure、AWS(Amazon Web Services )といったネットワークインフラに必要なクラウドの知識も大切です。
そして特にネットワークエンジニアになるにあたって特別な試験は必要ありません。しかしCCNA、Linux技術者認定試験など、ネットワークエンジニアのキャリア形成に役立つ資格はたくさんあります。
これらの資格の勉強をすることでネットワークエンジニアとしての知識を増やしていくことができます。
ネットワークインフラの現場経験
ネットワークエンジニアは現場での経験がとても大切です。ネットワークインフラに必要な知識を常に学習しながら、得た知識、技術を実践で使用することが大切です。
実際にネットワークの構築、設計をやってみることで自分が学んだ知識の中で活かせるものとそうでないものが分かります。また現場経験を積んでいくうちに自分にどんな能力、知識が足りないかも把握できるので、次に何を学習すればいいのか分かります。
学習した知識、技術を現場で活用し経験を積んでいくことでネットワークインフラへの理解が深まり、スキルが積み上がっていきます。
対人スキル
ネットワークエンジニアにとってコミュニケーション能力はとても重要です。
なぜならネットワークエンジニアはクライアントである企業のネットワークの構築、設計を行うため、企業にとってどのようなネットワークが必要なのか、確認、分析する必要があります。また経験を積んだネットワークエンジニアであれば自分から構築などの提案もする必要が出てきます。
クライアントが何を求めているのか理解できるコミュニケーション能力がネットワークエンジニアには大切です。
おすすめの資格
つづいてネットワークエンジニアのキャリアアップや転職に役立つおすすめの資格3つを詳しく紹介します。
Cisco(シスコ)技術者認定
「Cisco(シスコ)技術者認定」はアメリカのコンピューターネットワーク機器開発会社であるシスコシステムズの製品に関係する知識の民間資格制度の技術者認定です。
Cisco(シスコ)技術者認定には全部で5つのレベルと10の分野があり、自分に合った分野、レベルの試験を受けましょう。またIT業界やネットワークエンジニアの経験が短い人であれば、Cisco(シスコ)技術者認定の資格を持っているか面接の時などに聞かれることがあります。認知度の高い資格試験なのです。
Microsoft認定プロフェッショナル(MCP)
「Microsoft認定プロフェッショナル(Microsoft Certified Professional MCP)」とはマイクロソフトが実施している、マイクロソフト製品に関する知識と技能の認定試験です。
またこちらの「Microsoft認定プロフェッショナル」は2012年4月より「Microsoft認定資格プログラム」に変わりました。
こちらの認定試験を受けることによってMicrosoftが提供しているクラウドの知識などを証明することができるため、ネットワークエンジニアの転職活動にも有利になります。
Linux技術者認定資格(LPIC)
「Linux技術者認定資格(LPIC)」はネットワークエンジニアとして知識を習得しておきたいシステムであるLinuxに関する資格試験です。
こちらの資格試験は日本国内だけでも25万人以上受験している人気の高い資格試験です。またネットワークエンジニアとしてキャリアアップ、スキル向上を目指している人には最適な資格試験です。
試験は全部で3段階あり、一番低いレベルの試験だけでもLinuxを利用した運用、保守が可能な証明となります。またエンジニアのキャリア形成にもこのLinux技術者認定資格は役立ちます。
今後の需要・将来性は?
ネットワークエンジニアは今後も需要が高まりつづけ、将来性は高いといえます。
ネットワークエンジニア以外のエンジニア職にもいえますが、現在は深刻な人手不足の状態です。しかしこれからさらにIT技術は発展していき、エンジニアの需要は高まります。
また最近ではIT企業ではない他業種であってもIT技術を取り入れ作業効率化などを行なっています。そしてこれからどんどん今ある企業のIT技術の導入は増加していくことが見込まれます。
このような背景からネットワークエンジニアの仕事は年々増加していく傾向にあります。常に新しいIT技術にともなったネットワークエンジニアのスキルを習得する必要がありますが、ネットワークエンジニアの需要は年々高まることが約束されています。
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まとめ
今までお伝えしてきた内容からネットワークエンジニアとしての自分のキャリアパスをどうやって構築していけば良いのかが少しずつ理解できたのではないでしょうか?
実のところスペシャリストを目指す、ゼネラリストを目指すというのも現時点とある程度の将来で受けるだろう企業案件によって変わってしまいますし、これを絶対に目指すんだという考えかたを固まらせることはしない方が良いでしょう。
柔軟に対応する意識を持ちつつ、顧客に対してどのような価値を提供していくことができるのかを考えながらキャリアパスを構築していってみて下さい。
その過程においてT字型人材を目指す経路もあるのだと知っておけば今後どのような仕事をネットワークエンジニアとしてしていけば良いのかもうっすらと理解してくるのではないでしょうか?
ネットワークエンジニアだけではなく、仕事の幅を広げたいあというあなたは、ポテパンキャンプのようなオンラインスクールを利用してプログラミングスキルを身につけることも検討してみてください。