AWSは何がすごいのかをまとめています。
AWSは何がすごい?
従来のオンプレミスのシステム構築と比べたときAWSのメリットはコスト面を含め、以下のようなことがあげられます。
- コスト面のメリット
- 厳密なキャパシティ予測が不要
- セキュリティ面のメリット
- 運用・管理面のメリット
- 構築期間が短縮できる
順に見ていきましょう。
コスト面のメリット
AWSを使う最大のメリットは、なんといってもコスト面。一般的なシステム構築では、初期費用としてハードウェアやソフトウェアの調達費用がかかります。最初に大きくドンと支払いが発生するんですね。それに比べて、AWSは従量課金制で使えるので、かかる費用を使用期間でならして大きな支払いが発生しないようにできます。
システム構築は、減価償却の問題もあって5年スパンで考えることが多いのですが、5年でかかるトータルコストで言うと、オンプレミスよりAWSの方が高いということもよくあります。オンプレミスのシステムは、初期費用が大きくかかるものの、それ以降は保守費用程度しかかからないんですね。
ただし、オンプレミスのシステムは5年経ったらハードウェアのリプレースやデータ移行が必要となり、新ハードウェアの調達費用が発生します。AWSの場合は、ハードウェアのメンテナンスはAWS任せで意識する必要がありません。
また、AWSでは利用するユーザが増えるほど利益をユーザに還元していて、利用料金が値下げになります。実績としては過去10年間で85回以上の値下げを実施。一般的なメーカーでは値上げはあっても値下げはないため、価格交渉なしで自動的に値下げされていく価格設定はメリットと言えるでしょう。
厳密なキャパシティ予測が不要
オンプレミスのシステム構築の場合、ハードウェアのサイジング選定のためにアプリケーション要件やアクセス予測などをおこなって、できるだけ無駄のない「ちょうどよいスペックのハードウェア」を選定する必要があります。予測に絶対はありませんが、システムが稼働してからサーバの能力が足りなかったり過剰だったりすると問題になるため、計画段階で「しっかり調査しましたよ」というエビデンスが求められるんですね。結果として「万が一に備えた過剰スペック」での運用を行なうことになり、ITリソースへの無駄な投資が発生しがちでした。
比較してAWSでは、仮想サーバのスペックやクラウドストレージの容量を自在に伸縮できます。サーバの台数の増減も数分です。そのため、計画段階でサーバスペック選定のために時間をかけなくても、「とりあえず動きそうなスペックのサーバを立ち上げて試す」「能力が足りなかったり、過剰だった場合は調整する」という対応ができます。数分間でサーバのスペックの変更も可能なので、利用負荷に応じて日中と夜間でサーバのスペックを変更したり、夜間や週末などにサーバを停止して利用料の削減をすることなどが柔軟に対応できます。
キャンペーンやメディア連動により、予測を超える突発的なピークが起こった場合に自動でサーバリソースを増強することも可能なため、ビジネスの機会損失を防ぐことができます。
企業としても、「とりあえずサーバ立ち上げて動かしてみよう」という気軽さで、フットワーク軽くアクションが取れるというメリットがあります。
セキュリティ面のメリット
セキュリティ面も、AWSを使用するメリットです。自社構築環境で、ファイアウォールや侵入検知、アクセス制御、OSへのセキュリティパッチ適用の徹底などセキュリティ面を充実させようとすると費用もかかりますし、セキュリティ強度をチェックするため、外部会社にセキュリティテストなどを依頼する必要があります。
その点、AWSでは、サービスをそのまま利用するだけで基本的なセキュリティは保たれますし、別途多額のセキュリティ費用がかかることもありません。特に、自社にセキュリティに精通したエンジニアや管理者がいない場合は、「AWS上にシステムを構築する」という選択をするだけで、同時に強力なセキュリティを手に入れることになります。
運用・管理面のメリット
コスト面にも通じることですが、運用、管理面の手間を削減できる点もAWSを使う大きなメリット。システムのバックアップやOSのセキュリティパッチの適用、ハードウェア障害が起こった場合の交換対応やデータのリストア対応などに専用の人員を割り当てる必要がありません。自動設定や、AWSコンソールからの操作で対応できます。
運用・管理コストという計画段階で見えにくい費用も削減できるんですね。
構築期間が短縮できる
オンプレミスのシステム構築なら、ちょっとしたサーバを立ち上げるだけでもハードウェアの発注から納品まで数週間を要し、場所や電源・ネットワークの確保が必要で、エンジニアに依頼して設置・取付作業をおこない、OSやミドルウェアのインストールや基本設定といったことをおこなうのに1週間~数週間はかかります。契約書や見積書、注文書のやり取りも必要です。ハードウェアの数が多いと、1ヶ月2ヶ月かかることも珍しくありません。
一方、管理画面やAPI経由での操作によりAWSでは数分で仮想サーバが立ち上がり、立ち上げ後にサーバスペックの変更や載せ替えも簡単。移行などのため1週間だけサーバやストレージが必要、という場合も簡単に対応できます。一度立ち上げたサーバは、停止して削除してしまえばそれ以降の料金がかからなくなり、ペナルティや違約金も発生しません。
AWSでは基本的に、AWSマネジメントコンソールから、すべてのサービスの設定や立ち上げが実現できます。
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AWSのデメリット
コスト面では、初期費用を0にし、従量課金制で始められるという大きなメリットがある反面、クラウド上のシステム運用に慣れていないと「毎月の支出額が予測しにくい」という問題もあります。特に一般企業では、「最初に予算取り」ありきでシステム構築案件がスタートするため、納得の行く支出額予想を提出しないと上層部での社内稟議が通りにくいのがデメリットと言えるでしょう。使用条件を入力することで、簡単にAWSの見積もりを取得できるツールが提供されています。
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AWSでは、ITシステム化に必要なサービスが網羅されており、2021年時点でサービス数は200以上。ITサービスを再開発する労力を使う必要がなくなるというメリットはありますが、どのようにサービスを選定して組み合わせるかという設計上のノウハウが必要となります。
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また、AWSではインフラ提供のみで、サポート契約はできるものの、問題発生時には基本的に自身で解決することが求められます。
自社にAWSに関するノウハウがない場合、これらを解決するには、AWS上でシステム構築を請け負う企業にシステム構築を依頼するのが良いでしょう。AWSにはパートナープログラムがあり、AWSから資格認定された企業を、公式サイトで検索できます。
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AWSは何がすごい?まとめ
- コスト面メリットがすごい。初期費用0でスタートし従量課金制、AWSの成長にともない、利用料金も自動的に値下げされる
- 構築期間の短縮がすごい。サーバ1台の立ち上げに従来は数週間かかっていたのが、数分で立ち上げ可能になる
- AWSサービスが200以上と充実しているがゆえのデメリットあり、サービス組み合わせの経験・ノウハウが要求される