AWSのクラウドコンピューティングサービスについてまとめています。
AWSのクラウドコンピューティング
AWSのクラウドコンピューティングとは、ITシステムを構築できる仮想環境(クラウド)を指します。自由に組み合わせできるITコンポーネントが用意されているため、システム構築のために1から開発を行なう必要がなく、構築コストや構築期間を圧縮できます。クラウド上で組み合わせ可能なITコンポーネントには、コンピューティング(サーバの計算機能)、ストレージ機能などのベースとなる機能のほか、データベースやメッセージング、アクセス制御などミドルウェア的な位置づけの機能、DNS機能やオンプレミス環境との接続を行なうネットワーク機能、コンテナアプリケーション実行やサーバーレスなどのサーバ機能があります。
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クラウドサービスで得られるメリットには、以下のようなものがあります。
- 固定の償却コストが変動コストに
- スケールによる大きなコストメリット
- キャパシティ予測が不要に
- 速度と迅速性の向上
- データセンターの運用保守投資が不要
- わずか数分で世界中にデプロイ
一番大きなメリットは、システム構築初期に必要になるハードウェア購入設置費などの固定費を、使用した分だけ支払う従量課金制の変動コストにできる点です。このため、システム構築のための高額な初期費用を用意することなく、システム構築・運用が可能のなります。
AWSでは、数十万単位のユーザがクラウドサービスを使用するため、料金を低く抑えることができています。提供サービスのスケールの大きさが、コスト削減に繋がり、安く利用することができているんですね。
リソースの増減が自由にできるメリットも見逃せません。イベントによるアクセス負荷のスパイク的な変化など、ある期間だけサーバ能力が足りずに処理ができなくなるような場合、簡単に一時的サーバ能力の拡張(スケールアップ)が可能です。負荷のピークが過ぎれば、拡張した能力を元に戻す(スケールダウン)ことも可能。これにより、構築段階で正確なキャパシティ予測が不要になり、サーバ能力に余剰がありすぎる無駄な状態や、サーバ能力が低すぎて処理が終わらないといった問題を回避できます。
AWSのクラウド環境では、各サービスが分単位の短い時間で導入可能となっています。従来なら、ITリソースの導入には検証や開発などで最低でも数週間単位の時間が必要だったものが大幅にコストや時間を短縮できることで、状況に応じて組織のIT対応のフットワークを軽くすることができます。
クラウドサービスは「フルマネージド」と呼ばれ、多くの管理作業がAWS側で自動化されています。その結果、運用保守管理の手間や時間が削減できるんですね。具体的には、サーバOSへのセキュリティパッチへの対応や、ハードウェア故障時の交換作業が不要になるほか、システムの監視や障害対応まで、ある程度AWS側でおこなってくれます。
クラウドサービスでは、開発したアプリケーションをわずか数分で世界中にデプロイ可能です。世界中からアクセスされるアプリケーションは、より応答速度の早いリージョンに配置し、アプリケーションの応答速度を改善できます。短時間でデプロイ可能なので、不具合発生時の緊急のシステム改修をおこなう場合でも、利用者を待たせる時間を短縮出来ます。
AWSのクラウドタイプ
クラウドの代表的なタイプとして、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)の3タイプがあります。AWSはもともとIaaSタイプのクラウドサービスとしてスタートしましたが、現在ではIaaS、PaaS、SaaSを統合的に扱えるクラウドサービスとなっています。
IaaSは、クラウドITの基本要素からなるサービスで、ネットワーキング機能(サーバー)、コンピュータ (仮想または専用ハードウェア)、データストレージ領域へのアクセスを提供します。
AWSの場合は、コンピューティング機能としてAmazon EC2、データストレージ機能としてAmazon S3、これらへのネットワーキング機能はAWSの基本機能として提供されています。
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PaaSでは、基盤となるインフラストラクチャ (通常はハードウェアやオペレーティングシステム) を組織内で管理する必要性がなくなり、クラウドシステム側で対応してくれます。リソースの調達、容量計画、ソフトウェアメンテナンス、パッチの適用、アプリケーションの実行について心配する必要がなくなり、業務をより効率的に進めることができるんですね。
AWSのEC2では、ソフトウェアメンテナンスやパッチの適用が不要でクラウドサービス側で対応してくれますし、サーバが必要になったら「インスタンスを起動」するだけで、リソースの調達はAWS側で自動的におこないます。容量計画は初期構築時にざっくりおこない、稼働状況を見てインスタンスのスペックをスケールアップ、スケールダウンして調整が可能。アプリケーションが実行できるかどうかを動かしながらインスタンスのスペック調整をおこなえます。また、リアルタイム応答を要求されないアプリケーションなら、サーバの割当もクラウド側におまかせできるサーバーレスなサービスも用意されています。
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AWSのRDSはMySQLやPostgreSQL互換のデータベースサービスですが、ベースとなるOS環境や最新パッチの適用、メンテナンスのための停止計画などをまったく気にすることなく、純粋なデータベースのサービスとして利用できます。
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SaaSは、サービスプロバイダが完成した製品をすぐ利用できる状態で提供しているクラウド形態。サービスの基盤になるインフラストラクチャの管理をまったく気にせずに、ソフトウェアの使用方法のみを考えれば良いことになります。
たとえば、AWSのAmazon QuickSightは、クラウド向けのスケーラブル&サーバレスな組み込み可能な機械学習(ML)ベースのBIサービスです。
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インタラクティブなBIダッシュボードを簡単に作成、公開し、自然言語を使った問い合わせで数秒で回答を得ることが可能。QuickSightは独立したサービスですが、AWSマネジメントコンソールからAWSのサービスの一つとして使用することが可能です。
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また、AWSのAmazon EventBridgeはAWSサービスから生成されたイベントを使用して、SaaSアプリやAWSのサービスを接続し、イベント駆動型アプリケーションをサーバーレスに実行できるSaaS型サービスです。AWSアプリや独自アプリ、AWS以外のSaaSアプリやマイクロサービスを組み合わせることができるんですね。
AWSのクラウドのまとめ
- AWSのクラウドサービスは、ITシステム構築に必要な機能を自由に組み合わせられる
- 従量課金制でスタートできるため初期費用を抑えられ、処理能力のスペック変更なども簡単
- AWSは、IaaS、PaaS、SaaSタイプのクラウドサービスを統合的に扱える