AWSの中でも利用されることの多いサービスとして「Amazon EC2」の名前が頻繁に挙げられます。
本記事では、Amazon EC2について、これから利用を検討している方向けに、基本的なサービス内容についてご紹介していきます。
AWSのAmazon EC2とは
Amazon EC2は、「Amazon Elastic Compute Cloud」の略称で、仮想サーバー構築のクラウドサービスです。
EC2を利用することで、数回のクリック操作で簡単に仮想サーバーを用意することが出来ます。
EC2のサービス概要
EC2では、AWS上に仮想サーバーを構築することが可能です。
英語で「Elastic」は伸縮性や弾力性を意味する通り、必要に応じてサーバースペックを簡単に変更出来る機能が提供されています。
従来のように物理サーバーを用意する必要がないことに加え、サーバー環境の構築作業などもなく、手軽に利用することが出来ます。
EC2の料金体系
EC2では選択したサーバーのタイプやスペックにより、時間単価が異なります。
主な支払いプランとして「オンデマンドインスタンス」と「スポットインスタンス」「Savings Plans」が選択出来ます。
オンデマンドインスタンス
オンデマンドインスタンスは、サーバーのスペックや数・利用時間に応じて秒単位で料金が発生するプランです。
長期での契約や前払いをする必要はありません。
初めてEC2を利用する方や短時間の利用しかしない方など、コストを抑えたい方におすすめのプランです。
スポットインスタンス
スポットインスタンスは、AWS内の使用されていないEC2キャパシティーを使用するプランです。
オンデマンドインスタンスの最大90%割引で利用出来るということで、最も費用を抑えられるプランでもあります。
ただし、スポットインスタンスは入札価格により利用状況が決まるため、スポット価格が入札した金額を上回るとインスタンスを中断される可能性もあり、インスタンスが使えなくなっても問題ないような運用を行う必要があります。
Savings Plans
Savings Plansでは、1~3年間の長期で一貫したコンピューティング使用量を契約することで、通常のEC2使用量よりも安価で利用出来るプランです。
オンデマンドインスタンスプランと比較して、低料金となることから長期で使用する予定の方におすすめのプランです。
AWS EC2を利用するメリット
AWS EC2は、多くの企業や個人から利用されていることからもわかるように、様々なメリットが得られます。
代表例としては以下の3つが挙げられます。
環境構築が不要
AWSのEC2を利用して仮想サーバーを構築する場合、AWSコンソール画面でいくつかのマウス操作を行うだけで環境構築が完了します。
従来のサーバー環境構築では、サーバーが届くまでにも時間が掛かりますし、各種ミドルウェアの設定など実稼働までには何日も掛かることも少なくないため、EC2を利用することで大幅な時間と労力の節約となります。
スペック変更が容易
物理サーバーの場合、一度サーバースペックを決定すると簡単には変更することが出来ません。
一方でAWSのEC2を利用すれば、画面上のクリック操作だけでストレージやメモリを簡単に変更することが出来ます。
従来はサーバーの選定にも将来的に必要となるスペックまで考慮する必要がありましたが、EC2であれば必要なときにスペックを変更出来るため、都度最適なサーバースペックを選択でき柔軟な対応が可能です。
冗長化が簡単
AWS EC2を利用することで、冗長化が簡単に行える点も大きなメリットです。
冗長化による負荷分散やシステム障害が発生した場合の対応はサーバー運用を行う上では必須事項です。
AWSでは仮想ネットワーク構築が簡単に出来るサービスが提供されているため、EC2インスタンスと組み合わせるだけで簡単に冗長化が実現出来ます。
AWS EC2の関連用語
AWS EC2を利用する上で、抑えておきたい関連用語を確認しておきましょう。
AMI
AMIは「Amazon Machine Image」の略称で、OSやアプリケーション・サーバーの情報を丸ごとバックアップしたデータファイルです。
AMIをインスタンスにローンチすることで、同一の環境を即座に別インスタンスに反映させることが可能となります。
AMIは無償で提供されているものから、有償で購入できるものまで様々なタイプが利用出来ます。
EBS
EBSは「Amazon Elastic Block Store」の略称で、外付けハードディスクのようにデータを保管しておくことが可能なサービスです。
AWS EC2では、インスタンスにデータを保存する機能がないため、インスタンスを停止してしまうとデータが消失してしまいます。
インスタンスを停止してもデータを退避させた上で、起動時に再度アタッチ出来るように利用するサービスがEBSです。
Elastic IP
Elastic IPは、EC2のようなクラウドコンピューティングサービスのために割り当てられた静的IPv4アドレスです。
EC2ではインスタンスに固定IPを持たないため、インスタンスを再起動したタイミングでIPアドレスが変わってしまします。
サービスを公開するサーバーとして利用するには、固定IPが必要となるため、Elastic IPのサービスを利用して固定IPを取得し、サーバーとして運用します。
AutoScaling
AWS EC2へのアクセス数や負荷に応じて自動的にインスタンス数を増減させることが出来るのが、オートスケーリングの機能です。
CPUやメモリの使用量、サーバーへの負荷に応じて自動的に適切なインスタンス数に増やし、サービスの停止やパフォーマンスの低下を避けることが出来ます。
また増やしたインスタンスも不要になれば自動的に削除されるため、無駄な費用が発生せず、最適なパフォーマンスが得られます。
Elastic Load Balancing
Elastic Load Balancingを利用することで、アプリケーションの耐障害性を高めるのに必要な高い可用性、自動スケーリング、堅牢なセキュリティを持ったロードバランサーが利用出来ます。
似た用語として「Application Load Balancer」「Classic Load Balancer」「Network Load Balancer」といった言葉を目にしますが、これらのロードバランシングサービスの総称が「Elastic Load Balancing」です。
ロードバランサーを利用することで、適切な負荷分散が行われるため、パフォーマンスの低下を防ぐことが可能となります。
さいごに: AWS EC2で仮想サーバーを手軽に構築してみよう
本記事では、AWS EC2の基本的な情報をこれから利用する予定の方や学習を始めたばかりの初心者向けに解説しました。
AWS EC2を利用することで、環境構築作業もほとんど不要で、簡単なマウス操作だけですぐに仮想サーバーの構築が出来てしまいます。
AWSから提供されているサービスは100以上にもなりますが、AWSのサービスといえば真っ先に名前の挙がるサービスでもあります。
無料期間でも十分にEC2の機能を体験することが出来るので、ぜひ一度ご自身のAWSアカウントで実際にEC2に触れてみてください。