大規模、複雑系のシステム開発の増加でニーズが高まるテストエンジニア。テストエンジニアは未経験者でも仕事を獲得しやすいという特徴があり、未経験からエンジニアに挑戦したい人にとっては是非検討したい職種です。今回はテストエンジニアの転職動向について詳しくご紹介してまいります。
- テストエンジニアは、未経験でも仕事を獲得しやすい職種
- 開発者以外の第三者検証ニーズの高まりにより、テストエンジニアへの需要が出てきている
- ITシステムがある限り、テストエンジニアのニーズが途絶えることはないと考えられる
テストエンジニアの転職市場・動向
未経験でもチャレンジができる
世の中のIT化が進行する中で、WEB関係やアプリ・ゲーム開発、家電の組込ソフトウェアなど様々な分野での活躍が期待できるため、現在注目を集めている職種の一つとなっています。
そしてテストエンジニアは未経験者でも仕事を獲得しやすいという特徴があります。通常は皆さんのイメージの通り、PHPやJavaといったプログラミング言語を習得しなければプログラマーとして働くことは難しいです。一方でテストエンジニアの場合は比較的業務知識や言語知識を必要としないのです。むしろ業務柄他社とのコミュニケーションが多く、報連相等の基本的ビジネススキルが色濃く求められます。新卒でエンジニアとして入社した場合など、今後のキャリア形成のためにテストエンジニアから始まる会社もあります。開発の流れを理解しやすくなり、今後のエンジニア人生に取って役に立つ経験をもたらしてくれるからです。
テストエンジニアの求人トレンド
IT業界ではシステムの複雑化や拡大が急速に進んでおり、それに比例してテストエンジニアの需要も高まっています。優秀なテストエンジニアは、「ソフトウェアの“品質”を理解し、さまざまな現場の問題に“応用力”を発揮して対処できる『知識』と『スキル』」を併せ持ちます。このレベルになると需要に対して供給が追いついておらず、豊富な経験値のあるテストエンジニアは引っ張りだこと言えます。キャリアパストしても、主にテストの計画・管理・分析などを行なう「テスト管理者」や、開発全体をマネージメントする「プロジェクトマネージャー」として働くキャリアパスがあります。
増える第三者検証ニーズとは
第三者検証という領域が注目を集めています。第三者検証とは、開発者ではない人が第三者視点で製品を調査・分析し、テストを行うことです。第三者だからこそ、開発者と違う視点でエラーやバグを見つけ出せるというメリットがあります。これにより、一定の品質を保つことができます。また、開発者とテストエンジニアを分けることにより、それぞれの責任業務のみに専念できるため開発の効率化も図れます。
さらに、アプリ開発ではテストエンジニアのニーズはさらに高まります。日本国内における需要はもちろんですが、世界中でスマホの所有率が高まり、アプリの必要性が上がっています。多くの日本企業も世界に向けたアプリ開発をしていますので、様々な分野で働くエンジニアが求められています。特に、アプリの動作を最終確認するという重要な役割を果たすテストエンジニアは、実際の必要に比べると経験を持ったエキスパートが少ない傾向にありますので、これからニーズがさらに高まるでしょう。
テストエンジニア求人案件の単価相場は?
テストエンジニアは比較的経験値の低い方も働きやすいため、年収が低いと思われがちです。しかしテストエンジニアの業務範囲は広いため内容によって単価に差があります。スマホゲームの動作確認といったテスター的な業務は単価は低めで、テスト仕様書を作成したり開発ドキュメントを理解できるなど言語知識が必要となるものは単価は高めになります。
システムを理解している人ではないとテスト仕様書を書くことができませんので、仕様書を書くためには、システムや言語の知識と経験も必要となってきます。そのため、テストを行うだけのエンジニアよりテスト仕様書をかける人の収入が高くなります。つまりそれはどこまでの役割を担えるかによって大きく異なるのです。特にソースをきちんと理解して修正ができる人やテスト業務の指導までできる人材は重宝されます。
ちなみに目安としては、テスト業務をはじめて3カ月程度の若手テストエンジニアの場合は、370万円程度の年収が平均レベル、テスト業務5年程度の経験があるベテランの域に達したテストエンジニアなら、680万円程度の年収が平均的な収入レベルと言われています。
テストエンジニアに求められる能力・スキル
テストエンジニアに向いているのは、責任感が強く、細かいことに気を配ることができる人です。システムの不具合により取り返しの付かない事態に陥らないために、求人・案件では使命感と注意力を持った人材が必要とされています。
また、テストエンジニアには幅広い知識と経験が求められます。チームで働くための協調性やコミュニケーション能力も必要です。同時にプログラミングのスキルやコンピュータの仕組みを理解していなければ、バグを発見・修正することができませんので、基本的なテストの知識やプログラミングのスキルは必要です。
さらに、テストエンジニアの判断に誤りがあれば、その不具合でクライアントに大きな損害を与えかねません。それが大規模案件ならば、その誤りによって企業存続に関わる事態にもなる得るのです。ゆえに、より高品質な製品に昇華させるための問題発見能力や提案力が求められるのです。開発された製品のトラブルを未然に防ぐとともに、製品の仕様書にのっとってひたすら検証を繰り返す忍耐力や巧緻性は、非常に地味ですがテストエンジニアには欠かせない資質です。
また、テスト業務だけに言える事ではありませんが、高いレベルでの報告・連絡・相談は必須スキルです。バグが発生した場合に報・連・相を怠ると、バグがあるまま製品を発売してしまい、納品先とトラブルになりかねません。その場合、自分が担当していたテスト項目の場合は、責任が降りかかる場合もあります。
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テストエンジニアに必要な資格
テストエンジニアに必要な資格は主に2つあります。JSTQB認定テスト技術者資格とIT検証技術者認定試験です。
JSTQB認定テスト技術者資格
主にテストエンジニアの基礎知識の把握が問われ、ファウンデーションレベルとアドバンスドレベルの2つのランクがあり、日本ソフトウェアテスト資格認定委員会と、財団法人日本科学技術連盟が実施しているものです。資格を取得するとソフトウェアテストのプロであることが認定されると同時に、国際的な資格認定団体ISTQBに加盟しているので世界的に通用する資格であると言えます。
IT検証技術者認定試験
テストエンジニアが自身のスキルを確認したり、アピールする際に有効となる資格がIT検証産業協会が認定するテストエンジニアのための資格であるIT検証技術者認定試験です。知識試験だけでなく実務試験があり、テストの現場における実務を重視しているのが特徴です。大きくエントリーレベル、ミドルレベル、ハイレベルの3段階があり、さらに細かく分けると7段階のキャリアレベルがあります。
知識試験と実技試験を両方クリアして初めてIT検証技術者として認定されます。
テストエンジニアの将来性
世の中がIT化していき、私たちの生活がITを無しには語れない昨今、同時に品質担保への期待も高まっています。それもそのはず。大規模なシステムや公共団体の基幹システムがストップしたり不具合があれば、経済がストップしてしまいます。ゆえに品質は欠かすことのできない要素なのです。私たちの身の回り全てにインターネットが溶け込み、製品は絶え間なく生み出されていきます。浮き沈みや流行り廃りが激しいIT業界の中でも、ニーズが途絶えることがないのがテストエンジニアなのです。つまり、今後も求められる人材として将来性のある職種であるといえます。
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テストエンジニアの求人の探し方
テストエンジニアは、システムの巨大化や複雑化によるニーズはもちろん、グローバル化を加速するIT業界においてますます需要の高まっていく職種と言うことができます。当分は案件に困ることはないことを考えると、投資する価値はあるでしょう。テストエンジニアといっても、Web系、オープン系、組込系、制御系、汎用機系、基幹(業務)系など、担当するシステム開発によって行うテストは様々です。ご自身がどの領域で仕事をしたいのかを見定め、選んでいきましょう。
テストエンジニアになるキャリアパスは、現在のスキルや経験のある業務によって多種多様です。例えば、入社して即、テストエンジニアの部署に配属される場合もあれば、プログラマー・品質管理系・セキュリティ系の仕事を経験してから、テストエンジニアになる人もいます。
初めて仕事を探す方は特に、エージェントに相談して適切な案件に参画することから始めましょう。そして同時にその後のキャリアパスも描いた上で決断をしていきましょう。
まとめ
テストエンジニアの転職動向についてお伝えしてまいりました。世界中から求められるテストエンジニアの活躍の場は広がる一方です。是非本記事を参考にして、ご自身が描く理想のキャリアを実現していただければ幸いです。
テストエンジニアとして、プログラミングスキルに不安があるというあなたは、ポテパンキャンプのようなプログラミングスクールを利用して効率的に学ぶことを検討しましょう。