AWSでのWordpressウェブサイトの起動についてまとめています。
AWSでWordpressを運用するには、Amazon Lightsailが簡単
AWSでブログ型コンテンツ管理システム・Wordpressを立ち上げるには、EC2インスタンスを使うか、ウェブホスティングが可能なAmazon Lightsailを使います。
シンプルな構成のWordpressを立ち上げるなら、月額500円から利用できるAmazon Lightsailを使うのが良いでしょう。
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Amazon Lightsailを使うと、Wordpressが起動しているインスタンスを5分程度で簡単に立ち上げられます。具体的な手順は以下のようになります。
- Amazon Lightsail アカウントを作成する
- Lightsail で WordPress インスタンスを作成する
- SSH 経由でインスタンスに接続し、WordPress ウェブサイトのパスワードを取得
- WordPress ウェブサイトの管理ダッシュボードにサインイン
- Lightsail 静的 IP アドレスを作成し、WordPress インスタンスにアタッチ
- Lightsail DNS ゾーンを作成し、ドメインを WordPress インスタンスにマッピング
Amazon Lightsailは、VPS(仮想プライベートサービス)です。ストレージは最小20GBから、メモリは0.5GBから、vCPUは1個から、データ転送量は1TBから小さく始められます。最低料金は一ヶ月500円からです。
アクセスやコンテンツ量が増えてきたら、ストレージ容量やメモリ、vCPU数などを簡単にアップグレードできるんですね。世界中に配信するような大規模なサイトにも対応できるCDN(コンテンツ配信ネットワーク)を利用することもできます。
Amazon S3など、AWSリソースに接続する場合は、VPCピア接続機能で連携することも可能です。
AWSの無料枠でWordpressを起動する
Amazon Lightsailを使わずにEC2インスタンスなどを立ち上げて、無料枠でWordpressを起動することはできるのでしょうか?
AWSにて何らかのサービスを立ち上げると、普通に料金が発生します。ところが、AWSの登録開始後、一定の使用量は課金しませんよ、というのが無料枠です。
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結論から言うと、AmazonのDNSサービスに無料枠が存在しないため、1円も支払わずに、完全に無料でWordpressを起動することはできません。
Wordpressを起動するには、EC2インスタンス、MySQLサーバ(Amazon RDS)、DNSサービス(AWS Route53)が必要です。EC2インスタンスには、リージョンに応じて、750 時間/月の Linux、RHEL、SLES t2.micro または t3.micro インスタンスが無料、Amazon RDSには750 時間/月の db.t2.micro データベースと、20 GB の汎用 (SSD) データベースストレージが無料です。しかし、AWS Route53に無料枠がないので、0円にはならないんですね。
Amazon Route53とは、AWS上でのDNSです。つまり、ここでIPアドレスとドメインの関連付けを行うと、ドメイン名からIPアドレスを返してくれるようになります。ちなみに53とは、DNSの使うポート番号です。
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実際にAWSで最低料金でWordpressを立ち上げた方の記録によると、月々の支払いは0.54ドル=約60円(AWS Route53の料金のみ)がかかっているそうです。アクセスの少ない初期は、転送費用も0円となるため、これだけ安い金額でWordpress運営ができてしまうんですね。
参考)AWSのWordPressブログは無料じゃないですよ【真実を語る】
ちなみに無料枠の期間が終了すると、月額1,200円ほどかかります。前払い制度を使うと月額550円にまで抑えることが可能。しかし、この金額ならAWS Lightsailを使うほうが良いかも知れませんね。
無料枠終了後の料金や、Lightsailへの移転の手間を考えると、検証目的等なら無料枠で良いかも知れませんが、長期にわたって運用予定なら、最初からAWS Lightsailを使いましょう。
AWSでWordpressをサーバレスで運用する
Wordpressをサーバーレスで運用し、サーバダウンなしで運用する方法があります。
参考)落ちないWordPressサイトをAWSのサーバーレス構成で実現する! | クラウドアドバイザー | AWS構築運用会社
AWSで言うところのサーバレスとは少し違うのですが、Wordpressが稼働するインスタンスが停止してもコンテンツ配信が続けられるという技ありな構成です。
まず、Wordpressは、EC2インスタンス上で稼働させます。そして、Wordpressプラグインを使って、コンテンツを静的ファイルとしてAmazon S3上に書き出し、Amazon CloudFront(CDN。コンテンツ配信ネットワーク)を通じて、配信するんですね。S3上のファイルは直接HTTPSで配信できないため、CloudFrontを使います。
この構成にすることで、EC2インスタンスが停止していてもAmazon S3上の静的コンテンツは配信可能なので、サーバダウン無しで運用することが可能というわけです。ただし、フォーム入力など、サーバサイドで処理が必要なコンテンツは使えません。あくまで、静的コンテンツのみサーバダウンなしで配信できます。
アクセスが増えてくるとWordpress稼働に必要なサーバスペックも大きくなってきます。ほとんどが静的コンテンツの場合、この構成でAWSの料金を節約できるかも知れませんね。
ちなみに、コンテンツ配信ネットワークのAmazon CloudFrontは、転送量10TBまで0.114ドル(日本)、オリジンへのリージョン内データ転送アウト1GB0.060ドル、HTTPメソッドのリクエスト料金HTTPS1万件あたり0.0090ドルとなっています。
関連)料金 – Amazon CloudFront | AWS
AWSで稼働するwordpressの動作が遅くなってきた場合、上記のような構成にするか、単にWordpressの稼働しているEC2インスタンスをスケールアップするかは、発生する料金によって要検討と言えるでしょう。
AWSでWordpressまとめ
- AWS Lightsail(VPS)を使うと月500円~の低料金でAWSでWordpressが運営できる
- AWSの無料枠を活用して、無料枠の1年間は、月60円程度でWordpressの運営が可能
- EC2上のWordpressからAmazon S3に静的コンテンツを書き出し、サーバダウンなしでコンテンツ配信が可能