AWSの料金体系、料金の無料枠、AWS料金計算ツールを使ったかんたんな見積もり方法について紹介しています。
AWSの料金体系は従量制料金 使うほど安くなるボリュームディスカウントあり
AWSの料金は、従量課金制です。小規模から始めて、徐々に大きくしていくビジネスモデルに向いています。
従量制料金なので、最初に予算を大きめに計上しなくてもいいんですね。ビジネスニーズに適用して柔軟に変化することができるメリットがあります。従来のIT設備予算のように予測だよりではなく、実際のニーズに応じて調節できるので、大きすぎるプロビジョニング、予測よりも負荷が大きくてサーバがスペック不足で動かない…といったリスクが削減できます。
従量課金制の問題点は、「思ったよりも使ってしまった」場合に、想定以上の請求が発生してしまうことです。例えば、AWS Machine Learning(機械学習)向けのSavings Plan では、AWS のサービスの特定量の使用の契約を締結することにより、オンデマンドと比較して費用を節約できます。
AWSにはボリュームディスカウントがあります。使用量が多いほど料金単価が安くなるんですね。例えば、データを保管するAmazon S3 のサービス価格は使用すればするほど GB あたりの料金が安くなります。
サービスごとに料金設定が異なるため、複数のAWSサービスを組み合わせた場合に発生する月額料金を把握するのはけっこう大変です。後述のAWS料金計算ツールなどを活用しましょう。
AWSには料金の無料利用枠あり
AWSには「無料枠」と呼ばれる、一定量のサービスを無料で利用できる仕組みがあります。「利用したら、いったいいくら料金がかかるのか怖くて使えない」という場合は、無料枠を使って料金感を把握するのがよいでしょう。無料枠には「常に無料」「12ヶ月間無料」「トライアル」の3種類があります。
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「常に無料」のものは、有効期限なしで一定量のサービスを使うまでは無料というものです。具体的には、以下のサービスが対象となります。
- Amazon DynamDB(データベース) 25GBぶんのストレージ
- AWS Lambda(コンピューティング) 月に100万回のリクエスト
- Amazon SNS(モバイル) 100万件の発行
月ごとに一定量がずっと無料というものもあります。1ヶ月毎に無料枠がリセットされて、また1から使うことができるんですね。うまく使えばずっと無料のまま利用できるサービスもあります。
「12ヶ月無料」のものは、使い勝手を試すための長めのトライアルといった位置づけでしょうか。EC2やS3などAWSの主要サービスが対象になっていて、学習目的にも使えます。具体的には、以下のサービスがあります。
- Amazon EC2(コンピューティング) 月750時間まで
- Amazon S3(ストレージ) 5GBの標準ストレージ
- Amazon RDS(データベース) 月750時間まで
「トライアル」は1ヶ月~3ヶ月程度の短めのお試し用です。具体的には以下のサービスがあります。
- Amazon SageMaker(機械学習) 1ヶ月あたり250時間まで
- Amazon Lightsail(コンピューティング) 1ヶ月間(750時間)無料
- Amazon Guarduty(セキュリティ) 30日間無料
LightsailはAWSベースのVPSサービスです。そもそもの料金が安いので、無料期間はEC2などより短く設定されているのかも知れませんね。
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無料枠を超えて利用したぶんは従量制料金の支払いになります。AWS 無料利用枠は2021年現在、AWS GovCloud (米国) リージョン、中国 (北京) リージョンでは利用できないようです。
AWSの料金体系と見積もりツール
AWSは従量課金制です。予算を組むために、月当たりの請求額をある程度見積もる必要があると思います。
AWSには、料金見積もりのための便利なツール(AWS Pricing Calculator)が用意されています。まずは、ユースケース(よくある構成パターン)から、構築予定のシステムに似たものを探します。
例えば、負荷状況に応じてスケールする動的Webサイトの見積もりを見てみましょう。
構成図つきのユースケースが現れます。以下のAWSサービスを使って構成しています。
- コンテンツ配信ネットワーク Amazon CloudFront
- SSL/TLS 証明書 AWS Certificate Manager (ACM)
- ロードバランサー Elastic Load Balancing
- Web サーバー Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)、Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS)、Amazon Machine Image (AMI)
- 静的コンテンツ用ストレージ Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)
- データベース Amazon Relational Database Service (Amazon RDS)
- データベースキャッシュ Amazon ElastiCache
- NAT ゲートウェイ NAT Gateway
試算のために使う数値として、データ転送量、ストレージ容量の予測値が必要になります。無停止型のサービスなので、EC2やデータベースの稼働時間は24時間x30日として1ヶ月分を算出しています。
各料金を積み上げていくと、月額合計料金:1283.48(USD)(2020年5月13日時点)となっています。
参考)負荷状況に応じてスケールする動的 Web サイトのためのクラウド構成と料金試算例 | AWS
ページの中ほどにある「最新の料金を確認する」ボタンをクリックしてみましょう。
この画面で、ユースケースの構成から不要なものを削除したり、必要なものを追加したり、見積もりに必要な各種前提条件を変更したりといったことができるんですね。不明な点は、AWSの日本担当営業に問い合わせをおこなうこともできます。
上記の例では、サービスのごとに発生する月額料金と、前払いコスト、1月あたりのコスト、12ヶ月分のコストが算出されています。この画面では、AWSの料金見積もりのみが提示されており、適用される可能性のある税金は含まれていません。消費税は別途計算する必要があります。
もし、「AWSの構成見積もりを取って」と言われたら、ユースケースから似たような構成を探し出して、必要に応じてサービスを削除・追加し、前提条件の値を修正すれば良いんですね。さらにAWSの日本営業担当に確認すれば完了です。
可能なら、無料枠を利用して実際にAWSサービスを立ち上げて短時間運用し、「実際にかかるはずだった費用」を見積もりの検証に使うのも良いかも知れませんね。
AWSの料金 まとめ
- AWSの料金は従量課金制で、ボリュームディスカウントあり
- AWSには無料枠があり、一定量のサービス利用が無料。学習やAWSの動作検証などに使用できる
- AWSには料金計算ツールが用意されていて、ユースケースを選んで必要箇所を書き換えれば見積もりが表示される