マークアップエンジニアをご存じでしょうか。企業によってはこの名称の職種が無いかもしれません。マークアップエンジニアは、Webサービスに担当するエンジニアを役割によって分類した職種の1つで、Webサイトの改善に欠かせないエンジニアです。
なお、今のWebサービスを提供する企業にとってWebサイトは会社の利益に直結する重要なものです。そのため多くの企業で優秀なマークアップエンジニアを求めており、今注目の職種と言えます。今回は、このようなマークアップエンジニアの仕事の内容と転職先の探し方についてご紹介します。
- マークアップエンジニアは、企業の目的に合致したWebページを作成するエンジニアです。単にHTMLが使えるエンジニアではないので注意。
- マークアップエンジニアの仕事は、Webページを作り、それを評価して、必要なら改善すること。最初から仕様作成に関わることもある。
- マークアップエンジニアに必要なスキルじゃ、HTML、CSS、CEO、UI/UX、デザインの5つ。さらにコミュニケーションスキルやJavaScriptのライブラリを扱うスキルなども必要。
- マークアップエンジニアは企業によって定義が違うため単純比較できないものの、スキル次第で1,000万円を超えることもある。
目次
マークアップエンジニアとは
マークアップエンジニアとは、マークアップ言語であるHTMLとCSSを使い、SEOやUX/UXなどのスキルを活用してWebサイトの目的に合致したWebページを作成するエンジニアです。まずはマークアップエンジニアについて詳しく解説します。
そもそもマークアップとは
マークアップエンジニアの名前にもなっているマークアップとは、英語の「marking up」が語源で、原稿用紙の余白に印刷に関する指示の記号を書き加えることを指す言葉でした。そしてコンピュータで文書を扱うためにマークアップ言語が提案されてきましたが、その中で今もっとも使われているがHTMLです。
HTMLは、タグを用いて文書の構成を表現するマークアップ言語です。ただしHTMLだけでは文書のレイアウトを表現できません。そこで使われるのがCSSです。そのため、HTMLとCSSはセットで使われます。マークアップエンジニアは、マークアップ言語のHTMLとCSSを用い、Webサイトの目的に合致したWebページを作成します。
Webページを作る作業者?
Webサイトに掲載するWebページは、デザイナーがデザインしたイメージを基に、文字や図形、レイアウト、配色などを考慮し、Webブラウザで表示できるようにHTMLとCSSで構築します。この作業を担当するのは、会社によりますがコーダーと呼ばれる作業者です。
マークアップエンジニアはイメージからHTMLとCSSで構築するだけではありません。SEOとUI/UXを考慮し、必要な場合はレイアウトなどを変更して、印象的で使い易いWebサイトを作成します。ただの作業者ではなく、技術を使ってWebサイトの課題を解決できるエンジニアである点を理解してください。
フロントエンドエンジニアとの違いは?
Webサービスの利用者が使う機能の作成を担当するフロントエンドエンジニアも、HTMLとCSSを用いてWebページを作るのはマークアップエンジニアと同じです。そのため会社によってはフロントエンドエンジニアがマークアップエンジニアの役割を兼ねている場合もあります。
フロントエンドエンジニアはWebブラウザ側の処理を作るのが仕事です。一方、マークアップエンジニアは、そうして作られたWebページをSEOやUI/UXの視点で評価し、問題があればそれを解決します。職種が解れている場合は、担当する仕事が違う点に注意してください。
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マークアップエンジニアの仕事内容
マークアップエンジニアの仕事は、Webデザイナーがデザインしたイメージを基にHTMLとCSSに置き換えるだけでなく、SEOやUI/UXなどの技術を活用してWebサイトの目的に合致したWebページを作成します。
そしてマークアップエンジニアの仕事内容は次のとおりです。
- コーディング
- レスポンシブデザイン
- Webページの評価
コーディング
マークアップエンジニアの仕事はとして真っ先に挙げられるのが、Webサイトを意図した通りにWebブラウザで表示するHTMLとCSSを作成するコーディングです。
なおマークアップエンジニアが担当するコーディングでは、必ずしもデザイン通りのWebページになるとは限りません。SEOやUI/UXなどの技術を活用し、Webサイトの目的に合致したWebページを作成します。
なおSEOの基本は、HTMLの構成で目的に合致した正しいタグを使用することです。チェックツールなどを活用し、正しいタグの使い方をマスターしましょう。
レスポンシブデザイン
レスポンシブデザインとは、利用者が使用するデバイスの画面サイズに応じて表示を最適化するデザインです。具体的にはパソコンのような広い画面のデバイスではメニューなどを全て表示するのに対し、スマートフォンのような画面の狭いデバイスではメニューを畳んだ状態で表示する、といった具合です。
そしてレスポンシブデザインを実現するには、CSSの使い方を理解しなくてはなりません。文字や図形を意図した場所に配置できるように、CSSの使い方をマスターしましょう。
Webページの評価
一般的に良いWebサイトとは、次の条件を満たしているサイトです。
- 表示速度が早い(Webブラウザの読み込み速度が早い)
- 導線が解りやすく、すぐに欲しい情報にたどりつける
- 利用者の興味を引き付け、印象に残る画像が配置されている
もし、これらの条件を満たしていない場合は、これを改善する案を検討し、提案するのもマークアップエンジニア仕事です。また、新規に作成する場合は、上記の条件を満たすようWebサイトの仕様作成に関わります。
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マークアップエンジニアに必要なスキル
マークアップエンジニアの仕事に必要なスキルは次の通りです。
- HTML(意図した構成の作成に正しいタグが使える)
- CSS(レスポンシブデザインに対応できる)
- CEO(検索エンジンで高く評価されるWebサイトの特徴を理解している)
- UI/UX(利用者が使い易いと感じるWebサイトの特徴を理解している)
- デザイン(デザイナーの意図どおりにWebページを構築できる)
さらに、Webサイトの構築はデザイナーやエンジニアなど、異なる職種のメンバーで構成されたチームで活動します。そのため下記のようなチームメンバーと協力して作業する際に役に立つスキルも習得しましょう。
- コミュニケーションスキル
- Webブラウザで動作するJavaScriptのライブラリを扱うスキル
- プロジェクトを管理するスキル
マークアップエンジニアの育成は難しい
多くの企業でマークアップエンジニアの必要性を感じているものの、Web系エンジニアの中でも育成が難しい職種とされています。これは、IT企業であればプログラミングの教育制度が整備されているものの、デザインを扱うエンジニアを指導できる人がいないためです。
そのためマークアップエンジニアが習得すべきデザインの知識と、HTMやCSSのスキルを基礎から学べるオンライン育成プログラムが注目されています。OJTで必要なスキルを学べない場合は、このような外部サービスの利用を検討しましょう。
また、デザインとHTML、CSSのコーディングスキルを認定するWebクリエイター能力認定試験があります。資格取得に向けて基礎を学べるうえ、取得すればスキルの証明にも使えるので、マークアップエンジニアを目指す方はぜひ挑戦してください。
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マークアップエンジニアの年収・給料
マークアップエンジニアの平均年収は平均385万円で、ITエンジニアの中では年収が高い方ではありません。特に経験の浅い20代の平均年収は300万円前半とかなり低いのが特徴です。しかし、経験を積み、いろいろなスキルを身に着けている30代以降は他のITエンジニアと遜色のない年収がもらえています。
なお、マークアップエンジニアの年収と転職には相関関係があり、転職によって年収がアップする傾向が高い職業です。20代のアシスタントレベルではスキルが不十分なことから年収も低くなりがちですが、SEO施策を理解したうえでHTMLを書けるようになり、さらにJavaScriptなども書けるようになると年収がいっきに高くなります。また、そういったスキルを身に付けるために転職し、同時に年収アップも実現していく職業と言えるでしょう。
そして、スキル次第によっては1,000万円を超える年収も夢ではありません。ただし、そのためには、エンジニアとしてのスキルの他に、プロジェクトのディレクションやWebサイトのプロデュースなど、企画力も問われます。そのため、本気で年収アップを目指すなら、エンジニアとしてのスキルアップに合わせて、そういった企画のセンスを磨く努力も必要です。
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マークアップエンジニア転職のメリット・デメリット
マークアップエンジニアとして転職するメリットは、自分がやれる可能性を広げられることです。例えばHTMLコーダーは、デザイナーの指示どおりにWeb画面を作るのが仕事ですが、マークアップエンジニアに転職すれば、担当する仕事はそれだけではありません。
レスポンシブデザインに合わない場合は、そのWebページをデザインしたデザイナーと交渉します。また、SEOとしてデザインの修正を依頼することもあります。さらに、アクセス数を改善するために、UI/UXの考え方に基づいていろいろと知恵を絞る場面も出てくるでしょう。
このように、エンジニアとしてやれることを増やせて、よりやりがいを感じられる仕事がマークアップエンジニアです。
ただし、この分、SEO施策やレスポンシブデザインなど、多くのスキルを学ばなければなりません。そして、Web技術は進歩が早く、次々に新しい技術が生まれています。マークアップエンジニアとしてやっていくためにはこのように進歩の早いWeb技術をしっかりとキャッチアップしていく努力が求められます。これは、人によっては負担に感じられるので、デメリットと言えるでしょう。
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マークアップエンジニア求人の探し方
マークアップエンジニアは、HTMLコーダーの上位に位置する職業であり、JavaScriptなどのプログラミングを担当するフロントエンドエンジニアとは異なる職種です。しかし明確に区別されている訳ではありません。さらに、プロジェクトのディレクションやWebサイトの制作も担当されている方は、もはやHTMLコーダーの上位の職種という位置づけでは語れない仕事を担当されているエンジニアと言えるでしょう。
そのため、マークアップエンジニアの求人を探す際も、単にキーワードで検索するのではなく、仕事の内容も含めて検討してください。
なお、マークアップエンジニアへの転職者に求められる役割は意外に広く、多くのスキルを求められます。もちろん、そういったスキルを身につけて転職される方もいますが、役割に応じて学習し、スキルを身に付けていく方がほとんどです。
そのため、足りないスキルがあるから応募できない、ということはありません。足りないスキルがあれば学習して身に付けていけることをアピールしましょう。
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まとめ
これまで紹介したようにマークアップエンジニアは、Webページを作れるだけでなく、それが目的に合致しているかを評価できるエンジニアです。そのためHTMLやCSSのスキルのほかに、SEOやUI/UX、さらにレスポンシブデザインといった高度なスキルが求められます。
さらに、Webサービスのチームリーダーとしての役割を期待されたり、Webサイトのプロデュースに関わるケースもあるなど、仕事の幅がかなり広い職種です。コーダーやフロントエンジニアからキャリアアップする職種の1つでもあるので、マークアップエンジニアとしていろいろな経験を積んでみてはいかがでしょうか。
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