採用したITエンジニアが企業の求めるスキルを全て身に付けている、などということはありません。仲間といっしょに働ける程度のスキルを身に付けてもらうために、エンジニアの育成が必要です。とはいえ日進月歩のIT技術の世界において、新人・若手エンジニアの育成に悩んでいる中堅エンジニアの方も多いでしょう。
本記事では「若手育成の現状」に焦点を当てて解説します。
- エンジニア育成に必要な環境とは、その人に合った教育の実現が重要
- エンジニア育成の時間を確保できない場合は、自主的に学べる環境の整備を
- エンジニア育成では定期的な効果確認も必要、研修者に現状を報告させる仕組みを
- エンジニア育成ではITスキルの習得と同時にキャリアを見据えたヒューマンスキルの習得も重要
若手エンジニア育成が難しい理由
経産省のDXレポートの中で2025年までに多くの情報システムを刷新する必要があり、それを担うITエンジニアが大幅に不足すると予測しています。いわゆる「2025年の崖」です。そのため総務省では2025年までにはITエンジニアを100万人育成するとの目標に掲げています。一方、現実を見てみると肝心なITエンジニアの教育には課題が山積です。
そもそもエンジニアの採用に苦労している企業が多く、採用できたとしても育成がうまくいっていない企業がたくさんあります。では、若手エンジニア育成に関する課題にはどのようなものがあるでしょうか。
安価に外部サービスが手に入る
新人エンジニアに開発に参加させることは、教育の一部として非常に有意義です。しかし、実際にはわざわざ失敗を承知で若手に新しいプログラムを開発させなくとも、業務委託や人材派遣、フリーランスなどの外部サービスを利用すれば、リスクを伴う新人エンジニアを使う必要はありません。
教育の一環とはいえ時間をかけて自社で開発するより、必要なものを必要なだけ外部のサービスを利用した方がコストも掛からず、すぐに利用できるという事情があります。
自社が保有していない技術は教育できない
DXで新しい取り組みを始めようとしても、それを担うエンジニアがいない、というケースがよくあります。しかし自社が保有していない技術は、自社では教育を施せません。社内で保有しない技術は会社が現状必要としていない技術であるため、教育の機会となるとなおさら少なくなります。
開発がマニュアル化され過ぎている
企業によっては失敗防止のために業務マニュアルが規定されている場合があります。若手エンジニアは失敗を通して知識や技術を習得していくものですが、マニュアル外のことは実行できないため、学べる環境が減少します。
教育のために時間が割けない
エンジニアはどの企業であっても多忙であるため、中堅以上のエンジニアが新人教育に時間を割いてしまうと、人的余裕のない企業では開発業務に穴を開けてしまうことに繋がります。そのため、教育する時間そのものを設けるのが難しいのが現状です。
エンジニア育成に必要な環境
先ほど紹介した若手エンジニア育成が難しい理由を踏まえて、教育する側が与えられるエンジニア育成に必要な環境を考えてみましょう。
若手エンジニア個人に合う教育法を探す
社員の教育計画を立てている企業はたくさんあります。しかし、その計画がITエンジニアの教育に合っていないケースがあります。企業として教育体制が整えられなかったとしても、若手エンジニア個人の特性に合わせたコミュニケーションを取っていくことも教育のひとつです。
例えば、新人エンジニアの中にはOJTで先輩から厳しく指導されることに慣れていない人もいます。技術や知識の教育はもちろんのこと、教育する相手の人間性を把握して理解を示すことも教育の一部となります。先輩エンジニアが自分の姿を示すことで、新人エンジニア本人も将来目指したいエンジニア像について考える機会となるでしょう。
社員が自発的に学べる環境を
上述のとおり、企業によっては教育に時間が取れない場合も多く見られます。教育する時間がないなら社員が自発的に学べる環境を作り、それぞれが時間を見つけて学べるようにしましょう。
なお自発的に学ぶためには目標が必要です。そして新人や若手のエンジニアに自分のスキルレベルを認識させ、学ぶ必要性を認識させなければなりません。そのためにはよく話し合ったうえで目標を設定することが重要です。そのうえで、書籍の購入費用の支給やセミナー参加費用の支給などの育成の仕組みを整備しましょう。
また、話し合った際に、開発の楽しさやメリットなども一緒に伝え、やる気を出させると若手の成長は速いでしょう。
報告を習慣付ける
エンジニア育成では新人や若手のエンジニアの学習効果の定期的な把握が重要です。育成が遅れている場合は積極的にサポートしなければなりません。そのため学習効果を測るための報告を習慣つけましょう。
新人や若手のエンジニアが報告のために現状を振り返ることにより、自分の理解不十分な点を見つけて自主的に改善できることもあります。
エンジニアが身につけるべきスキル・能力
ITスキル・知識
ITに関するスキルや知識なしにエンジニアにはなれません。業務や教育を通じて知識を蓄えさせるのはもちろん、教育の時間が不足している場合は、資格の取得も教育の一貫として役に立ちます。
ソフトウェア開発技術者試験、シスコ技術者認定、ORACLE MASTERなど数々のIT資格があります。資格を取得することが実開発への貢献へ直接結びつくかと言えば、そうでない場合も多々あります。
ただ、自分が将来的に目指す分野の資格を取得することは決して無駄ではありません。新人や若手のうちに、継続的に勉強する習慣を身につけさせることが大切です。
英語力
IT業界では、新しい技術が次々と生まれています。海外生まれの技術についてのマニュアルや解説はほぼ英文であるため、それらを理解できる程度の英文読解力は必要です。
また、海外の企業と協働して開発を進める「オフショア開発」も急増しています。このためエンジニアだからといって英語や外国語とは無関係とはいかない時代が到来しています。
ヒューマンスキル
若手エンジニアも教育を施す側のエンジニアも、若手には将来的にはプロジェクトリーダーになって欲しいと願っています。マネージャーやリーダー職ではメンバーや関係者と円滑にコミュニケーションするスキルや、プロジェクトを運営するためのマネジメントスキルが必要です。
将来、どのような仕事やポジションを目指すのかをできるだけ具体的にイメージさせ、早いうちからヒューマンスキルを身につけさせましょう。
おすすめエンジニア育成研修
エンジニア育成のための研修として、個別のスキルといった知識を学ぶ研修ではなく、学んで自分が成長したと実感できる研修はいかがでしょうか。次からおすすめエンジニア育成研修を紹介します。
プログラミング体験ツール「フローチャートパズル」
昨今入社する新人エンジニアは、子供の頃からインターネットは側にあり、オンラインゲームに興じながら成長した社員も多くいます。
そのような現代の新人エンジニアに向け「プログラミング未経験者向けのゲーム感覚で楽しみながら学べる研修ツール」が提供されています。
プログラミング体験型ビジネスゲーム
プログラム未経験者に対して、楽しみながら抵抗感なくプログラミングの概念を学んでもらうためのビジネスゲームです。
「フローチャートパズル」の対象者
文系出身の新入社員やプログラミング初心者が教育対象だったり、社員のプログラミングへの抵抗感をなくすためという目的で採用されることの多い育成研修です。
プログラムが未経験であっても抵抗感なく、プログラミングの概念を学べる研修を目指して作成されています。
研究・開発者のためのマーケティング(R&D Marketing)
若手社員から中堅社員まで対象とする研修で、新商品開発や新事業の成功確率を向上させる目的の研修プログラムです。
思考技術
戦略思考、マーケティング思考、右脳と左脳のコラボレーションの各思考技術を理解して使い分けられるようになります。
思考手順
決められた課題に従い、そのステップを踏むことで練り上げ、マネジメントしつつ事業性の高いテーマへ改良する手法を学べます。
プロジェクトの運営技法
「2日間でプロジェクト運営局面でのマネジメント技法を学ぶ」という研修で、若手社員から中堅社員を対象としています。
PMBOKに基づき体系的に学習
プロジェクトマネジメントの基本的な要素を「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOK」に基づき体系的に学習する研修です。
リスクに対応できる技法を取得
スケジュールの進捗やコストの消費状況を適切に把握するためのEVM技法を学びます。また、問題を未然に防ぐため技法を学べます。
育成にも力を入れよう!
日々新しい技術が生み出させるITの世界において、教育を施す側も日々勉強が必要となっているのが現状です。一方、近年特に重要視されている、立ち居振る舞いや気構えまで含めた人間力の教育にも目を向ける必要がありそうです。
まとめ
冒頭で紹介した「2025年の崖」やDXの重要性に限らず、今後、ますますITエンジニアの重要性が増しています。苦労して採用したITエンジニアにその能力を十分発揮してもらうために、会社としてエンジニア育成に取り組まなけれなばなりません。
今回解説したエンジニア育成の課題やそれに対する取り組みなどを参考に、自社の業務に貢献してくれるITエンジニアを育成する仕組みを構築してください。
なお、このサイトの運営会社はWebエンジニアへの転職実績で評価が高いプログラミングスクール、ポテパンキャンプも運営しています。興味のある方は、ぜひ、参照してみてください。