Webサービスを大きく分けると、フロントエンドとバックエンドの2つに分かれます。なお、この2つは全く違う処理で、使われる技術も全く別です。そのためWebサービス開発を担当するエンジニアを目指す方は、その違いをしっかり理解しなければなりません。
今回はフロントエンドとバックエンドの違い、それぞれを担当するエンジニアの仕事内容、将来性について詳しく紹介します。
- Webサービスにおけるフロントエンド(front end)とは、利用者の操作に応じて処理する部分。
- Webサービスにおけるバックエンド(back end)とは、利用者から見えない処理を担当する部分。
- フロントエンドで重視されるのは人が使い易いと感じられる点で、デザインやUI/UXに関する技術が求められる。
- バックエンドで重視されるのは早い応答と短い開発期間の2つ。クラウド上の高性能なサーバーでフレームワークを利用する技術などが必要。
- フロントエンドとバックエンドを担当するエンジニアは、求められる役割と必要とされるスキルが違う。
- フロントエンドもバックエンドも将来性は高いものの、入れ替わりが激しいので最新技術を学び、それを使いこなす努力が必要。
フロントエンドとバックエンドの意味
フロントエンドとバックエンドは、ビジネス用語としていろいろ意味で使われる言葉です。フロントエンドは外部に接する組織や仕組み、バックエンドは内部の組織や仕組みを表現するために使われます。これはIT用語でも同じです。
とはいえIT用語のフロントエンドとバックエンドは、Webサービスを構成する要素の意味で使われるケースがほとんどです。まずはそういった用途で使われるフロントエンドとバックエンドの意味について紹介します。
Webサービスの基本
Webサービスは、大きく分けるとWebブラウザ、インターネット、Webサーバーの3つの要素に分けられます。そして、インターネットを介して、利用者が操作するWebブラウザの処理と、利用者から見えないWebサーバーの処理により、サービスが提供されます。
そして利用者が操作するWebブラウザ側は外部から見えている要素、すなわちフロントエンドです。一方、利用者から見てインターネットの向こう側にあるので見えてない要素がバックエンドです。まずはこの関係を理解してください。
フロントエンドとは
まずフロントエンド(front end)とはWebサービスやWebアプリケーションなどでユーザーがボタンを押したり入力をしたりする部分、またソフトウェアなどと直接やり取りをする部分のことを指します。
フロントエンドの機能とは、利用者の操作に応じてWebサーバーを通信して画面を書き換える処理です。Webサービスの場合、Webブラウザで動作するJavaScriptのプログラムがこれに該当します。さらにクラウドと通信するスマートフォンのアプリケーションや、ゲーム機のコマンドメニューなどもフロントエンドの一種です。
バックエンドとは
バックエンド(back end)とはデータの検索や演算、データの保存や転送など、利用者から見えない処理を担当する要素のことを指します。フロントエンドからデータを受け取り、内部でそれを処理したり、サーバーで定期的に自動実行されるバックアップやデータ転送などが該当します。
そしてWebサービスの場合は、Webサーバー側で動作する処理を指す言葉です。具体的にはフロントエンドからの要求に応じて、データベースなどからデータを検索したり、演算処理などを実行し、その結果をフロント側に送信します。
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フロントエンドとバックエンドに必要な技術
先ほど紹介したようにフロントエンドとバックエンドは、システムの表と裏の関係で、使われる技術も違います。それぞれで必要とされる技術について解説します。
フロントエンドに必要な技術
フロントエンドで重要な事は、人が使い易いと感じられる点です。そのためデザインやUI(ユーザーインターフェイス)、UX(ユーザーエクスペリエンス)など、ユーザーの満足度や使いやすさを追求する技術が重視されます。
さらにWebサービスの場合は、検索エンジンで上位にランクされるためのSEOや利用からフィードバックによる改善も重要なため、サービスを作ったら終わりではなく、短い期間で改善や機能アップを繰り返していく開発方法が採用されます。
なお、Webブラウザでフロントエンド側を構築する場合、フレームワークや各種ライブラリを活用するのが一般的です。プログラミングスキルに加えてフレームワークや各種ライブラリを活用できるスキルも必要とされます。
バックエンドに必要な技術
バックエンドで重要な事は、フロントエンドからリクエストにいかに早く応答できるか、という点です。また、Webサービスではサービスを早く提供する必要もなるので、開発期間が短くて済む点も重要です。
そのためバックエンドには高性能なサーバーを利用し、そのシステムの最適化が欠かせません。さらに利用者が増えれた場合は、複数のサーバーに負荷を分散したり、通信経路を最適化する技術なども使われます。
また、開発期間を短縮するためにフレームワークや各種ライブラリが利用されます。そのためバックエンドでもプログラミングスキルに加えてフレームワークや各種ライブラリを活用できるスキルも必要です。
外部のAPIを利用する
Webサービスの開発では、フロントエンド側とバックエンド側が協調してサービスを構築していきます。しかし、サービスによっては外部のAPIサービスなどを利用できるケースもあります。その場合は、そのAPIサービスの規約に合わせて自社のサービスに組み込む技術が必要です。
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エンジニアの役割の違い
先ほど紹介したようにフロントエンドとバックエンドは、その役割も必要とされる技術も違います。そのため、それぞれの処理の開発を担当するエンジニアがおり、それがフロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアです。
次からフロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの違いについて紹介します。
フロントエンドエンジニアとは
先ほど紹介したように、フロントエンドで重要な点は人が使い易いと感じられる点です。そのためフロントエンドエンジニアは、デザインに加えてUI/UXを考慮した画面とその画面で動作する処理を作成します。
また、フロントエンドはバックエンドとの通信が欠かせません。そのため、バックエンドを通信し、受け取ったデータで画面を書き換える処理もフロントエンドエンジニアが担当します。
そのためフロントエンドエンジニアには、デザインやUI/UXのスキルに加えてWebブラウザの知識、HTMLとCSS、そしてJavaScriptによるプログラミングスキルやフレームワークを使えるスキルが求められます。
バックエンドエンジニアとは
バックエンドエンジニアはユーザーから見えないWebサーバー側の処理を作成します。
以前はフロントエンド側の処理がほとんど無いようなWebサービスもあり、処理のほぼ全てをバックエンドでやっているケースも少なくありませんでした。しかし、今はフロントエンドとバックエンドの処理が連携して、サービスを提供するのが一般的です。
また先ほど紹介したようにバックエンド側で重要な点は応答速度と開発期間です。特にバックエンド側のプログラムはデータベースと連携するなど複雑で大きなプログラムが必要です。バックエンド側で使われる言語(PHP, Ruby, Javaなど)のプログラミングスキルに加えて、フレームワークや各種ライブラリを活用するスキルが必要です。
また、バックエンド側の応答速度を改善するため、サーバーをチューニングしたり、複数のサーバーに負荷を分散し、それらを管理することも重要です。バックエンドエンジニアはこのような仕事も担当します。
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フロントエンドとバックエンドの将来性の違い
Webサービスの技術の進歩をけん引しているのは、Webブラウザで高いシェアを獲得しているGoogleとMicrosoftです。Webブラウザに代わるインターネット利用アプリが普及しない限り、この状況が長く続くと予想されます。そのためフロントエンドとバックエンドの必要性が減ることはありません。
しかし今の技術が将来もそのまま使えるとは限りません。以前はJavaScriptでプログラムを作らないと実現できなかった処理が、Webブラウザの機能アップによりCSSだけで実現できるようになりました。そして、他のサービスと差別化するため、このようなWebブラウザの新しい機能を活用しなければなりません。
また、以前ならバックエンド側に構築する必要のあった機能と同じものをクラウドサービスのAPIで利用できます。さらにクラウドサービスで提供されているAPIを複数活用したバックエンドを作ることも可能です。
そのため将来もフロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアとして働くためには、常に最新技術をキャッチアップして新しい技術を学び、それらの技術を使いこなせる努力が必要です。特にバックエンドは既存のクラウド上のサービスを組み合わせて新しいサービスを作るための基盤が作れるように
また最新技術がGoogleとMicrosoftがけん引している以上、最初は英語で発信されます。そのような英語の原書を読めるように、英語も学んでください。
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まとめ
Webサービスにおけるフロントエンドとバックエンドは、これまで解説したように利用者が操作する側の処理と、利用者から見えないクラウド上の処理を指す言葉です。Webサービスの仕組みをよく理解し、それぞれで必要とされるスキルを学んで、フロントエンドエンジニアまたはバックエンドエンジニアを目指してください。
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