AWSのファイルサーバについてまとめています。
AWSのファイルサーバ構築
AWS上にファイルサーバを構築する方法は２つあります。1つは、Amazon EC2とAmazon EBSを組み合わせてファイルサーバを構築する方法。もう一つは、AWSのサービスの一つとして提供されている、Amazon FSx for Windowsを利用する方法です。
EC2とEBSでにファイルサーバを構築
AWSのインスタンス上にファイルサーバを構築するケースを考えてみましょう。Amazon EC2はファイルサーバのCPU、メモリ、OS部分にあたる仮想サーバインスタンスです。
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ストレージには、Amazon EBS（ストレージサービス）を使用します。
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この構成のメリットは、オンプレミスのファイルサーバからの移行が簡単な点。たとえば、ちょっとした処理をファイルサーバ上のBATファイルでおこなっている場合でも、問題なく移行できます。また、EBSのスナップショット機能を利用したバックアップやリストアが容易な点もメリットです。
バックアップには、AWS Backupを使用することで、より管理が簡単になります。
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デメリットとしては、EC2で障害が発生するとサービスが停止することになる点。EC2インスタンスが単一障害点となってしまうんですね。また、Amazon EBSのストレージ領域をWindows管理下のディスクとして扱っている関係上、ディスク容量の増減操作がそれほど簡単ではありません。
また、EC2上のWindows Serverに対してセキュリティパッチの適用などメンテナンス作業も必要になります。
オンプレのファイルサーバをAWSに移行
オンプレのファイルサーバをAWS上に移行したいなら、Amazon EC2+Amazon EBSによる構成よりも、Amazon FSxを検討するのが良いでしょう。Amazon FSxはフルマネージド型のWindows ファイルサーバー（SMBファイル共有）サービスです。
Amazon FSxでは、Windows File Serverのほか、NetApp、OpenZFS、Lustreが選択可能。Amazon FSx for Windows File Serverには、業界標準のSMB（Server Message Block）プロトコルでのアクセスが可能です。
フルマネージド型で、マルチAZデプロイオプションを選択することで高可用性をもたせることが可能。ミリ秒未満の安定したレイテンシー、最大6Gbpsのスループット提供で、「速いファイルサーバ」が簡単に構築できます。また、ファイルシステムの動的なスケーリングにも対応し、ディスク容量の増減も簡単です。
デメリットは、サーバがAWSの管理下にあるため、「ちょっとしたBatファイルやツールをファイルサーバ上で実行したい」といったときに、別途EC2インスタンスを立てるなどの対策が必要な点です。
AWSのファイルサーバのAD連携
EC2+EBSの構成、Amazon FSx Windows File ServerともにMicrosoft Active Directory（AD）と統合して、グループポリシーによる制御も可能です。
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なお、EC2+EBS構成はADがなくても動作させることができますが、Amazon FSx Windows File ServerではADが必須となります。
AWSのファイルサーバの料金
EC2+EBS構成と、Amazon FSxWindows File Serverを使った構成の料金を比較してみましょう。
AWS上のファイルサーバをVPCでオンプレサイトと接続、ストレージ容量は2TB、スナップショット用領域を3TB、ディスク種別はHDDという条件で計算したところ、以下の通りとなりました。
- EC2＋EBS構成：482.36（USD）
- FSx Windows File Server：420.86（USD）
FSx Windows File Serverは、高可用性実現のため、マルチAZ構成となっています。また、認証のためMicrosoft Active Directoryが必須となるためMicrosoft AD費用を含めています。
以下は、EC2+EBS構成でのファイルサーバ月額費用の内訳です。
Amazon Elastic Computing Cloud
コンピューティング(Windows, m5.large) 730 時間 * 0.216 USD/時間 = 157.68 USD
インターネットデータ転送 200 GB * 0.114 USD/GB = 22.80 USD
Amazon Elastic Block Store
ブロックストレージ容量(gp2) 40 GB * 0.12 USD/GB = 4.80 USD
ブロックストレージ容量(st1) 2,008 GB * 0.054 USD/GB = 108.44 USD
スナップショット容量 3,072 GB * 0.05 USD/GB = 153.60 USD
Amazon VPC
Site-to-Site VPN 730 時間 * 0.048 USD/時間 = 35.04
=月額合計料金：482.36（USD）
参考）ファイルサーバーのためのクラウド構成と料金試算例 | AWS
以下は、Amazon FSx for Windows File Serverの月額費用の内訳です。インターネットデータ転送費用はAmazon VPCの費用として計算されます。
Amazon FSx for Windows File Server
HDD ストレージ 2,048 GB * 0.03 USD/GB = 61.44 USD
ファイルシステムあたりのスループットキャパシティ 8MBps * 5.175 USD/MBps = 41.40 USD
バックアップストレージ 3,072 GB * 0.05 USD/GB = 153.60 USD
AWS Directory Service for Microsoft Active Directory Standard Edition 2 ドメインコントローラ
730 時間 * 0.146 USD/時間・2DC = 106.58 USD
Amazon VPC
Site-to-Site VPN 730 時間 * 0.048 USD/時間 = 35.04 USD
インターネットデータ転送 200 GB * 0.114 USD/GB = 22.80 USD
月額合計料金：420.86（USD）
参考）FSx for Windows File Server による Windows ファイルサーバ構成と料金試算例 | AWS
AWSのファイルサーバーのまとめ
- AWSでファイルサーバを構築するには、EC2+EBS構成または、Amazon FSx利用の2通りの方法あり
- EC2を使った構成はオンプレからの移行性が高いが高可用性、管理の手間でFSxに劣る
- 同一の構成の場合、EC2使用よりもFSx利用の方が料金が安い
