AWSのSnowballについてまとめています。
AWS Snowballは、オンプレミスの大容量データを物理デバイス経由でAWS移行するサービス
オンプレミスシステムをAWSに移行しようとする場合、データが何百テラバイトもあるシステムだと、ネットワーク経由でのデータ転送するだけで、数週間~数ヶ月もの時間がかかってしまいます。
そこで、AWSから大容量ストレージつきの物理マシンを郵送してもらい、データを保存してAWSに送り返すと、AWSにてデータをAmazon S3に反映してくれるというサービスなんですね。Snowball(雪玉)というネーミングは、データを固めて入れて送り返すというところから来ているようです。
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なお、AWS側にAmazon S3のデータを物理マシンにコピーしてもらって郵送してもらうこともできます。
関連)AWS Snowball(セキュアなペタバイト規模のデータ転送)| AWS
AWS Snowball用の物理マシンは、「AWS Snowball」(50TB)と、「AWS Snowball Edge」(100TB)の2種類のデバイスが選べます。AWS Snowballは旧型、AWS Snowball Edgeは新型という位置づけで、Edgeの方がストレージ搭載量が大きく、高速ネットワークへの接続オプションが多い(25Gb、40Gbに対応)です。料金の差はあまり大きくありません。何百テラバイトもの大容量を移行する場合には、必要データが保存できる台数分だけデバイスを追加注文します。AWS Snowball Edgeの場合、大きめのタワー型デスクトップパソコンなみの大きさです。
AWS Snowballデバイスには、ネットワークインタフェースがあり、オンプレミスのネットワークに接続して使用可能です。サポートしているネットワークインタフェースは以下の通りです。
- Snowball Edge Storage Optimized:1 つの 10G RJ45 ポート、1 つの 10/25G SFP28 ポート、および 1 つの 40G QSFP+ ポート
- Snowball Edge Compute Optimized デバイス (GPU オプションを含む) :2 つの 10G RJ45 ポート、1 つの 10/25G SFP28 ポート、 1 つの 40G/100G QSFP28 ポート
オンプレミスサイト側で、データの暗号化をおこなうSnowballクライアント用の中継用パソコンを用意する必要があります。
参考)Snowball クライアントを使ったデータ転送 – AWS Snowball
AWS Snowballの料金
デバイスタイプに応じて、1デバイスごとにセットアップ+10日間使用の料金がかかります。10日を超える使用について、1日毎に追加料金が発生します。
デバイスタイプには、データ転送のみの Storage Optimized、Storage Optimized と EC2 コンピューティング、Compute Optimized、GPU を備えた Compute Optimized の 4 つがあり、それぞれ料金が異なります。Storage OptimizedはAWS Snowballデバイスのみで、それ以外はデバイス上でのEC2インスタンス使用料金が含まれています。AWSでのデータ処理をおこなうような場合はEC2インスタンスつきのデバイスを、特に映像データの加工などGPUが必要な処理をおこなう場合はGPUつきのデバイスを選択する必要があります。
米国東部(オハイオ)リージョンの場合で、オンデマンドジョブの料金(10日間を含む)料金は以下の通りです。
- Snowball Edge Storage Optimized のデータ転送のみの料金:300 USD
- Snowball Edge Storage Optimized と EC2 コンピューティングインスタンスの料金:500 USD
- Snowball Edge Compute Optimized と EC2 コンピューティングインスタンスの料金:1,250 USD
- Snowball Edge Compute Optimized GPU と EC2 コンピューティングインスタンスの料金:1,650 USD
10日間を超えて利用する場合の、オンデマンドの1日単位の料金は以下の通りです。
- Snowball Edge Storage Optimized のデータ転送のみの料金:30 USD
- Snowball Edge Storage Optimized と EC2 コンピューティングインスタンスの料金:50 USD
- Snowball Edge Compute Optimized と EC2 コンピューティングインスタンスの料金:125 USD
- Snowball Edge Compute Optimized GPU と EC2 コンピューティングインスタンスの料金:165 USD
1日単位の料金は、1年契約の前払いや、3年契約の前払いにすると割引が適用されます。
Amazon S3への転送(受信、イン)は、無料です。送信(アウト)の場合は、米国東部オハイオリージョンの場合、0.03USD/GBがかかります。
上記に加えて、Snowballデバイスごとに、往復の配送料金がかかります。
例えば、オンプレミスのデータ80TBを米国東部(オハイオ)リージョンにインポートする場合、10日間以内にデバイスにデータをロードしてAWSに返送すれば、「オンデマンドジョブの料金(10日間を含む)」+往復の配送料金のみ、料金が発生します。
詳細な見積もりは、AWS Pricing Calculatorに必要な条件を入力することで取得可能です。
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見積もりに必要な項目は以下の通りです。
- リージョン
- AWS Snowballデバイスのタイプ
- 料金オプション オンデマンドか前払いか
- デバイスが必要な日数
- デバイス数
- エクスポートをおこなう場合のエクスポートストレージ量
AWS Snowballの使い方
AWS Snowballは、AWSマネジメントコンソールの検索窓に「Snowball」と入力して、Snowball familyを選択します。すると、AWS Snowballコンソールが開きます。
コンソールでは、3つのタイプのジョブを選択できます。
- Amazon S3へのインポート オンプレミスからAWSにデータをインポート
- Amazon S3からのエクスポート AWSからオンプレミスにAWSデータをエクスポート
- ローカルコンピューティングとストレージのみ ローカル環境でのみ利用できる物理デバイス
例えば、「Amazon S3へのインポート」を選んだ場合は、以下の手順で設定をおこないます。
- ジョブを計画
- S3 へのインポートジョブを開始
- 配送設定を選択
- ジョブの詳細を選択
- セキュリティ設定を選択
- 通知設定を選択
- ジョブを確認および作成
AWS Snowballのまとめ
- AWS Snowballは、専用の物理デバイスを使ったオンプレミス・AWS間のデータ移行サービス
- 物理デバイスにデータを入れ、デバイス自体をAWS-オンプレミスサイト間で配送し、インポート・エクスポートをおこなう
- AWS Snowballの料金はデバイス使用料、配送料、エクスポート時のデータ転送料が発生。インポート時のデータ転送量は無料