プログラミング言語選びが重要な理由
有名なものからマイナーなものまで、いま世の中に出回っているプログラミング言語の種類は200を超えると言われています。これからプログラミング言語を学ぼうと思っても、それだけあるプログラミング言語の中から何を学ぶのかを選ぶのは少し大変かもしれません。
かといって、適当に選んでしまうと思うように学習が進められなかったり、せっかく身に付けても仕事や生活の上で役立てることができなかったりと学習効果を得られずに終わってしまう可能性もあります。そのため、学習するプログラミング言語はよく考えて選ぶ必要があります。
プログラミング言語にはそれぞれ特徴や得意とする開発現場などがあります。プログラミング言語を学ぶ目的に応じて適切なプログラミング言語を選ぶようにしましょう。
ここでは、求人数や人気ともに高い5つのプログラミング言語の特徴や学習のメリットについてご紹介します。
Python
どんな言語か
PythonはWebアプリケーションやデスクトップアプリケーション、ゲームなど様々な開発に用いることのできる汎用プログラミング言語です。中でも機械学習や深層学習など近年注目を集めている分野で利用されるケースが増えてきており、それに伴いPython技術者の需要も急激に伸びてきています。
言語の特徴
Pythonはコードがシンプルでプログラミングがしやすく、また可読性も高いことから初心者でも比較的習得しやすい言語です。誰が書いても同じようなコードになることを意識して開発されており、一つの命令を記述するのに複数の書き方は用意されていません。そのためコードも書きやすく、他人が書いたコードを読むことも容易です。
コードを記述する際にはインデントを用いるため、コードの構造が分かりやすくなるようになっています。C言語やJavaなど、一般的なプログラミング言語同様、コードを書いてから実行するスクリプト型プログラミングのほか、1行ずつコードを実行できる対話型プログラミングにも対応しており、用途に応じて実行方法を選択することができます。
またC言語やJavaは変数を使用する際、事前に数値型や文字列型など変数の型を宣言し、その型に合った値でなければ代入ができませんが、Pythonは型の宣言は不要で、代入された値に応じて型が決まる「動的型付け」言語です。
学習するメリット
文法がシンプルで読みやすく、初心者にとっても学びやすい言語ですが、すでにいくつかの言語を習得した人が+αのスキルとして習得するのに適しています。
特にPythonはAIや機械学習など近年注目を集めている分野で主流となって使われている言語であり、需要の高まりに反してエンジニアの人数が追い付いていない状況です。そのため、Python技術者は引く手あまた、転職・就職活動も有利に進められるでしょう。
Swift
どんな言語か
SwiftはApple社の開発したプログラミング言語で、2014年に登場したばかりの比較的新しい言語です。それまでApple製品開発と言えばObjective-Cを使用するのが一般的でしたが、SwiftはObjective-Cに代わるApple製品開発用のプログラミング言語として注目されています。
言語の特徴
Swiftはコードが分かりやすく、そして書きやすいモダンなプログラミング言語です。また「型」に厳しいため、意図せぬ暗黙の型変換による不具合が起こりにくい安全な言語でもあります。さらにコンパイラ言語でありながらインタプリタとしてスクリプトを実行することも可能なため、コードの実行結果をリアルタイムで確認しながらの開発も可能です。
また、SwiftはWebサーバの開発も可能です。Objective-Cでの通信系アプリ開発の場合、Webサーバの開発には異なる言語を用いる必要があるため異なるスキルセットを持つ開発者が必要でしたが、Swiftを使えば同じメンバーでアプリとWebサーバを開発することができ、人的リソースの確保も容易になります。
学習するメリット
SwiftはObjectiveCに比べるとまだまだシェアは少ないものの、Apple社がSwiftの使用を推奨していることもあり、今後需要が高まっていくことが予想されます。プログラミング言語としてはまだ新しいこともあり、今の時点ではまだSwiftの技術者がそれほど多くはありません。そのため就職の競争率が低く比較的職に就きやすいというメリットもあります。
Ruby
どんな言語か
Rubyは日本で開発されたプログラミング言語で、主にWeb開発の現場で用いられています。フレームワークが豊富で、特に「Ruby on Rails」はWeb開発から業務システムまで応用範囲が幅広く、スピード感のある開発が可能になっています。
言語の特徴
Rubyは非常に美しいプログラミング言語だとよく言われています。その理由は文法がシンプルでコードの記述量が少なく済むためです。またソースの可読性も高いため初心者でも学習がしやすい言語です。
なお日本で開発された言語なので日本語のドキュメントが豊富で、学習を進めやすいという特徴もあります。オブジェクト指向言語であり、効率的な開発が可能です。インタプリタ方式なのでプログラムの動きをリアルタイムに確認することができ、修正箇所の発見も容易です。
Python同様変数の型付けが不要なこと、また文法がシンプルで自由度が高いことから柔軟なプログラミングが可能です。これらのことから、初心者でも比較的学びやすい言語だと言われています。
学習するメリット
Rubyは求人数も多く、転職に有利なスキルの一つです。特にRuby on RailsのおかげでWebアプリケーションの開発コストを下げることが可能なため、ベンチャーやスタートアップ企業ではRubyのスキルを重要視されます。さらに初心者にも身に付けやすいので、プログラミングやIT業界で働いた経験がなくともすぐにプログラマーとして活躍することが可能です。
Java
どんな言語か
Javaは主にアプリケーション開発の現場で用いられるプログラミング言語で、人気プログラミング言語ランキングでは常に上位にランクインしています。学習コストや開発コストが少々高いものの処理が高速で信頼性も高いため、企業の重要システムや大規模システム開発に多く用いられています。
言語の特徴
JavaはJVM(Java Virtual Machine)という仮想環境上で動作します。JVMが動作する環境であればどこでも使用することができるという汎用性の高さから、あらゆる開発現場で高い需要を維持しています。またオブジェクト指向言語であり、効率的な開発が可能です。
また、ガベージコレクションの機能を備えており、使われなくなったオブジェクトのメモリ解放が自動で行われる。そのためメモリリークや不正なメモリ解放処理による不安定さを回避可能で、システムの信頼性を高めることができます。
学習するメリット
プログラミング言語の人気ランキングは常に上位にランクインしており、需要も高くJavaのスキルを持っていればIT業界で就職に困ることはないでしょう。また、PHPやRubyのようなWeb開発言語に比べると習得は多少困難ではあるものの、その分オブジェクト指向などJava学習を通して学ぶことのできる技術や仕組みは多く、Java習得後は他のプログラミング言語が習得しやすくなるというメリットもあります。
PHP
どんな言語か
PHPは主にWeb開発に用いられるプログラミング言語です。Web開発に特化したプログラミング言語と言えばJavaScriptが有名ですが、JavaScriptがクライアント側のシステム開発に用いられるのに対し、PHPはサーバ側のシステム開発に用いられます。そのため認証機能等セキュリティ要件の高い開発に用いられることが多くなっています。JavaScript同様人気・需要共に非常に高いプログラミング言語です。
言語の特徴
PHPはWeb開発に特化したプログラミング言語であり、HTMLの中にコードを埋め込んで実行させることが可能です。文法がC言語やJavaに似ているため、これらの言語を習得した人であれば容易に習得ができるでしょう。またスクリプト言語なので初心者であってもC言語やJavaよりも習得のしやすい言語です。データベースにアクセスするための関数やライブラリが豊富なので、データベースアクセスの発生するシステムの開発に適しています。
学習するメリット
Ruby同様Web開発業界での就職活動を有利に進められるというメリットがあります。特にRubyと違い、コードの自由度の高いPHPはチームでの開発よりも個人開発に向いており、小規模なシステムであれば手軽に開発できます。
プログラミング言語の動向をチェックし、最適なプログラミング言語を選択しましょう
プログラミング言語は日々新たな機能が追加されたり、新しい言語が誕生したりと常に変化しています。市場での需要や人気ランキングも年毎に移り変わりがあるものです。もちろん、そのプログラミング言語の特徴を学習の理由にするのも正しい選択ですが、就職のしやすさや給与の高さなどからプログラミング言語を選ぶのであれば、常に最新のプログラミング言語ランキングをチェックしましょう。
また、ここでご紹介したようにプログラミング言語によって難易度や機能、作ることができるものなどに違いがあります。比較的難易度の高いプログラミング言語をじっくり学ぶのもいいですし、習得の容易なプログラミング言語を複数身に付けて活躍の場を広げるのもいいでしょう。まずはプログラミング言語を学ぶ目的を明確にし、その目的に合ったプログラミング言語を選ぶことが大切です。