コードを書き始める前にしっかりとした設計づくりを行うのは、綺麗なプログラムを書く上で欠かせません。複雑な処理を行う必要がある開発などの場合、より一層はじめに作成する設計という骨組みが重要になります。
こちらの記事ではプログラムをつくる上で設計が重要な理由、また設計を作成する上で活用してほしいおすすめツールなどを詳しく紹介します。
- スタンダードなプログラミング設計では、要件定義書、外部設計書、内部設計書、プログラム仕様書、テスト仕様書などを作成する
- 設計をおこなうことで、想定外のエラーや機能の実装漏れを防ぐことができ、プログラミングの作業効率をあげられる
- 設計には、ワードやエクセルなどを使う他、わかりやすい図を簡単に作成できるツールを利用することも可能
ソフトウェア開発に設計が重要な理由3つ
WebアプリやiOSアプリといったソフトウェア開発において、はじめに設計を作る作業はとても重要です。ソフトウェア開発において設計が大切な理由3つを紹介します。
エラー・修正を防げる
ソフトウェア開発の行う際、設計を立てずにコードを書き始めてしまうと余分なコードを書いてしまう可能性が上がり、そのぶんエラーも増えます。フローチャートなどを活用してしっかりとした設計を立てることで最低限の記述で済み、エラー・修正を防ぐことができます。
必要な機能漏れを防ぐことができる
コードを書いている時に、事前に作成した設計を確認することができると、その都度必要な機能を確認することができます。つまり実装を行なっている時の機能漏れを防ぐことができるのです。またソフトウェア開発が完成し動作確認を行う時も、設計を確認しながらチェックを行うことができます。
プログラミングの作業効率が上がる
設計があると完成した状態を想像することができるため、コード記述の作業効率は上がります。設計を確認しながら記述を行うことで無駄なコードを書く時間が減り、また複数の人でコードの記述を行う際も設計を確認することでプログラムの理解がスムーズにできます。
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設計するにはプログラミング経験が必要か?
ソフトウェア開発のために設計を作成するにあたって、プログラミング経験は必要なのでしょうか?
結論から書くと、設計を作成する上でプログラミング経験は必要です。なぜならプログラミングで記述する、「条件分岐」といった構造の仕組みを理解していないと、プログラマー、エンジニアが理解して正しく実装できる設計を作ることができないからです。
プログラミングでは条件によって実行される処理が変わる「if・else文」や、同じ処理を繰り返す「for・while文」などがあります。そしてソフトウェア開発の設計でこのような条件分岐、反復構造などを記述する場合、プログラミングの仕組みを理解している必要があります。
プログラミングの知識がない人でもソフトウェア開発の大まかな概要に近い設計を作成することはできます。しかしその設計だけでは実際にプログラムをつくるプログラマー、システムエンジニアに開発の意図を伝えることはできません。
もしソフトウェア開発において設計を任されることがあるのなら、プログラミングの構造、仕組みを勉強しておくことをおすすめします。そうでなければ実際に手を動かすプログラマーが開発の全体像や、どうコーディングすればいいのかなどを把握できません。
プログラム設計書に含めるべき内容
新人のプログラマーとして働き始めると、システムエンジニアの指示に従ってコードを記述し実装を進めていきます。そしてシステムエンジニアは以下のような文書を作成していき、設計を構築していきます。
・提案書
・要件定義書
・外部設計書
・内部設計書
・プログラム設計書
・テスト仕様書
「提案書」はお客様に作成するシステム、ソフトウェアの提案内容を書いた書類です。また「要件定義書」は作成するシステム、ソフトウェアの要件、条件の定義が書かれたもので、お客さんとの合意を確認するための書類です。
「外部設計書」はプログラムの大まかな概要が書かれている設計書です。そして「内部設計書」はより詳細な設計になり、データの取り出し方、システムの骨組みの詳細が記述されます。
「プログラム設計書」は内部設計書をもとにしてプログラムの詳細が書かれた設計書になり、プログラマーがコードを書く時に参考にする設計はこのプログラム設計書です。そして最後に「テスト仕様書」を確認しながら実装後の動作確認を行います。
上記のような内容、書類が設計を作成するにあたって必要になります。
設計に便利なツール3選
つづいて設計を作成するにあたって役立つおすすめツールを3つ紹介します。
Cacoo(カクー)
「Cacoo(カクー)」はWeb上でサイトマップやワイヤーフレーム、ネットワーク図などを作成できるサービスです。作った図をPowerPointに貼り付けたり、共有フォルダに入れたりしてシェアすることができる、応用力の高いサービスです。
また共有した図のバージョン管理、コメント機能もあるので過去データを見直したりデータ更新をしたりすることが可能です。
draw.io
「draw.io」は設計に活用できるフローチャートやネットワーク図、マインドマップなどを書くことができる便利なドローツールです。
draw.ioには図を書くためのテンプレートが豊富に揃っており、またエクスポート機能が付いているのでxmlファイルだけではなくPDF、HTML形式でデータを取ることが可能です。
easel.ly
綺麗なデザインで設計図を作成し発表などしたい人におすすめなのがインフォグラフィックツールである「easel.ly」です。
easel.lyではビジュアルに特化した図を書くテンプレートが豊富にあり、さらに会員登録をしなくても利用することができます。会議で発表する資料に載せる図の作成におすすめです。
Text2 Mind Map(テキスト2マインドマップ)
「Text2 Mind Map(テキスト2マインドマップ)」は設計の図を直接書くことはできませんが、設計の下書きとして頭の中を整頓するのに役立つツールです。
こちらのサービスはテキストでアウトラインを書くだけでマインドマップを作成することができるツールです。必要な機能などを整理したい時に活用してみてはいかがでしょうか。
設計に関するおすすめ参考書2選
つづいてソフトウェア開発などをする時に作成する設計の参考となる本2冊を紹介します。
「システム設計の謎を解く 強いSEになるための、機能設計/入出力設計の極意」高安厚思
こちらの本は設計を始めたばかりの初心者からより綺麗で良質な設計書を書きたい人まで参考にすることができる一冊です。本の中では画面、帳票、DB、外部連携といった4つの「入出力設計」と、オンライン、バッチという2つの「機能設計について詳しく書かれています。設計の前作業やアーキテクチャ設計などについても書かれている設計の参考書です。
「はじめての設計をやり抜くための本 概念モデリングからアプリケーション、データベース、アーキテクチャの設計まで(エンジニア道場)」吉原庄三郎
こちらの本ははじめてシステム開発の設計を作成する新人エンジニア向けのノウハウ集です。アプリケーション設計、データベース設計などの作成方法を事例で紹介しながら解説しているので、ソフトウェア開発の設計を作成する上でとても参考になる一冊です。
まとめ
ソフトウェア開発の作業において、しっかりとした設計を作成することが完成した製作物の質にも関わります。作業効率を上げ機能漏れをなくすためにも事前にしっかりとした設計を構築することは重要です。慣れないうちは作成方法に迷ってしまうかもしれませんが、フローチャートを作成できるツールや事例を確認できる参考書を活用して、少しずつ慣れていきましょう。
プログラミングスキルにイマイチ自信がないというあなたは、ポテパンキャンプのようなオンラインスクールの利用も検討しましょう。