プログラミングをする際にとても重要なものが「アルゴリズム」です。少し例え話をしましょう。机を作ったり、家を建てたりと何かを作る時には設計図が必要です。その設計図を作成する上でとても大切になるのがアルゴリズムです。より良いプログラミングを行うためには、より良い設計図が欠かせません。
今回は、プログラミング学習でこの設計図を作成するのに欠かせないアルゴリズムを学ぶことの意義、学ぶ方法などといったことについて取り上げます。
- アルゴリズムとは、コンピュータの処理の流れを示したもの
- 有名なアルゴリズムとして、ソートアルゴリズムや探索アルゴリズムなどがある
- アルゴリズムの基礎は、参考書や情報サイトで学べる
目次
プログラミングのアルゴリズムとは?
基本的なことかもしれませんが「アルゴリズム」とはいったいどのようなものなのでしょうか。まずは、そこから振り返ってみたいと思います。アルゴリズムとは簡単に言うと以下のようになります。
「具体的な問題を解決するための手続きや手法のこと」
これでは少しわかりにくいですよね。つまり、「誰が」「何を」「何に対して行うか」などといったコンピューターが物事を行うための一連の方法と流れを示したものです。先ほど、物事をするための設計図のようなものであると説明しましたが、プログラミングを組み立てる上でアルゴリズムは設計図を作成する基礎となる考え方です。物事の処理の流れを書いたフローチャートなどをご覧になったことのある方も多いと思いますが、これはアルゴリズムに基づいた処理を図式化したものです。
コンピューターがこちらの意図するような処理を正しく実行するためには、適切なアルゴリズムに基づいた指示を行う必要があります。これが間違っていると、コンピューターはこちらの意図している動きをしてくれません。
アルゴリズム・データ構造を学ぶ意義
では、なぜ今アルゴリズムが大きく取り上げられているのでしょうか。どうしてプログラミングを行う上でアルゴリズムを学ぶことの意義が叫ばれるのでしょうか。また同じようにデータ構造を学ぶことが大切とも言われていますが、それはどうしてでしょうか。
それは、以下のような理由からです。
・プログラムを行う上で重要な論理的思考に慣れる
・構造や仕組みを理解しておくことで、スムーズな開発が可能になる
・仕組みを理解することで、問題発生時の迅速な解決が可能になる
まず、「プログラムを行う上で重要な論理的思考に慣れる」について、正しく動くプログラムを作成するためには、論理的な思考でプログラムを設計することが欠かせません。アルゴリズムを学ぶことで、組み立て方や思考力を養うことが出来ます。また、アルゴリズムやデータ構造を理解することで、プログラムをスムーズに開発することが可能になります。そして、最後に、プログラム開発ではプログラム自体の問題を取り除くバグ取りが付き物です。こういった問題解決の際には、アルゴリズムやデータ構造をしっかりと理解した上で、論理的に考えられることが解決への最も近道となります。
こういったことから、プログラミングを行う上でアルゴリズムやデータ構造を学ぶことはとても大切だと言えます。
いつアルゴリズム・データ構造を学ぶべきか
アルゴリズムやデータ構造を学ぶことの意義については十分理解頂けたのではないでしょうか。プログラミングを行う上で、アルゴリズムやデータ構造は欠かせないものであり、それなくしてプログラミングは行えないと言っても過言ではありません。特により高度なプログラミングを行おうとするのであれば、アルゴリズムは欠かせません。
では、それほど重要なアルゴリズムやデータ構造、これらはプログラミングを学ぶ上でどのタイミングで学習すれば良いのでしょうか。
結論から言うとアルゴリズムを学習するのはプログラム中級者と言えるようになった頃で良いと考えられます。それは以下のような理由からです。
・初心者のうちはとにかく知識を得ながらコードを書くことが大切
・中級レベルで、構造やアルゴリズムを意識することでより良いコードが書けるようになる
このように、アルゴリズムはある程度プログラムが書けるようになってから、より良いコードを書くために学ぶのがもっとも効果が高いと考えられます。ある程度プログラミングが行えるようになった時点で、おそらく効率の良いプログラミングをするためにアルゴリズムの必要性が出てくると考えられます。そこで学ぶことでより大きな効果が得られるでしょう。
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アルゴリズムの例・種類
では、一口にアルゴリズムを学ぶと言っても、いったいどのようなものがあるのでしょうか。ここでは2つの代表的なアルゴリズムを取り上げて説明します。
<ソートアルゴリズム>
大量のデータを扱う際に、昇順や降順でデータを並べ替えるアルゴリズムです。プログラムでは大量のデータがリストになっていて、それを処理するケースはたくさんあります。「バブルソート」「クイックソート」「マージソート」などがあります。
<探索アルゴリズム>
大量のデータの中から目的にあったものを探し出す時に使われるのが探索アルゴリズムです。「線形探索」や「二分探索」といった方法があります。
これらの2つのアルゴリズムは、代表的なものであり、これからプログラミングを学び、実際にプログラムを作成する中でよく出てきますのでしっかりと覚えておきましょう。
初心者におすすめのアルゴリズムに関する本・参考書
プログラミングをする上で大切なアルゴリズム、しかし初心者にとっては「なんだか難しそう」と敬遠されるケースも多いのではないでしょうか。
初心者でも学びやすいアルゴリズムに関する本や参考書にはどういったものがあるのでしょうか。ここでは2つの書籍を紹介します。
1. アルゴリズムをはじめよう
著者: 伊藤 静香 インプレス
この本では、基本的なアルゴリズムに絞ってフローチャートやイメージ図などを利用した解説をわかりやすくしています。初心者にとっては非常に役に立つことでしょう。
2. おうちで学べるアルゴリズムのきほん
著者:鈴木浩一 翔泳社
この本では、さまざまなアルゴリズムを紹介しながら、それが自宅のパソコンで試しながら学べるというものになっています。楽しみながらアルゴリズムの学習が出来るというのは面白いと言えます。
アルゴリズムを初めて学ぶような場合は、こういった参考書を利用するのが良いでしょう。
初心者におすすめのアルゴリズムを学べるサイト
では、同じようにアルゴリズムを学べる初心者向けのWebサイトにはどういったものがあるのでしょうか。
1. Visualgo
https://visualgo.net/ja
さまざまなアルゴリズムを動作する画面と併せて見せてくれるサイトです。アルゴリズムは言葉だけでは理解するのが難しい側面がありますが、こういったビジュアルで見られることで理解しやすくなっています。
2. アルゴリズム入門編
https://paiza.jp/works/algorithm/primer
学習サービス「Paizaラーニング」のページです。有料サイトですが、最初の部分などは無料で受けられるようになっています。基本的なところからよくまとまっていて、入門者が理解するのに役立つことでしょう。
初心者がアルゴリズムを学習するには、こういったサイトを利用するのも良いでしょう。
中級以上の方向けアルゴリズムに関する本・サイト
ここまで初心者向けの本やサイトを紹介しました。しかし、学習が進んで「もう初心者は卒業したよ」と言う中級者以上の方には、以下のような参考書やサイトにチャレンジしてみるのもオススメです。
書籍
1.アルゴリズムイントロダクション 第3版 総合版 (世界標準MIT教科書)
著者: T. コルメン 近代科学社
アルゴリズムの中級者を対象として書かれています。いきなり初心者には難しいと思いますが、1000ページもあり本格的にアルゴリズムを学ぶのにはとても良い本だと言えます。
2.The Art of Computer Programming Volume 1 Fundamental Algorithms Third Edition 日本語版
著者:ドナルド.E. クヌース
アルゴリズムのバイブルとして非常に有名な本です。ただし、内容は数学の専門知識なども含めて非常に高度なものとなっていますので、とくにアルゴリズムの学習が進み、それなりの知識を得るようになった上級者にオススメする内容です。
サイト
3.アルゴリズム補講 ふっくゼミ
http://福嶋.jp/page21.html
アルゴリズムの基本・応用を動画にしてまとめているサイト。初心者が学習する場合にも使えますが、応用の内容もある程度含まれていますので、さらなる知識の向上を目指す中級者が利用するのもおすすめです。
4.TopCoder
http://www.topcoder.com/
競技系のプログラミングサイトです。学んだアルゴリズムを活用・応用した上で効率の良いプログラムを作成し、世界中の参加者と腕試しをしてみましょう。
中級や上級になると、初心者向けのサイトや参考書と異なり、かなり内容が高度なものとなります。初心者向けのものと異なり、数学の専門知識など非常に高度な内容が含まれているケースもあり、初心者向けのサイトや参考書のようには一筋縄では行きません。
このようにアルゴリズムが学べる参考書やサイトには初心者向けから上級者向けまでさまざまなものがあります。アルゴリズムはプログラミングを行う上で基礎的な考え方の一つです。アルゴリズムを知ることによって、効率的でかつ無駄のないプログラムを書くことができるようになると同時に、コンピューター以外の分野への応用に関しても物事の考え方や論理的な思考力を身につける上で非常に有効です。
プログラミングを学ぶ上だけでなく、さまざまなところで大きなメリットのあるアルゴリズムの学習。ぜひ今回の記事を参考にして初めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
プログラミングのアルゴリズムは、コンピュータの処理の流れを示したもので、設計時に必要です。有名なアルゴリズムとしては、ソートアルゴリズムや探索アルゴリズムがあります。
単純な分岐などの処理ではなく、処理速度なども考慮に入れた、人間的には直感的に理解しにくい処理フローであることが多いんですね。
代表的なアルゴリズムは、参考書やサイトで学ぶことができます。初心者用のサイトには、アルゴリズムをビジュアルで理解させてくれるサイトや、開発環境がなくてもウェブ上でコードを修正するとインタラクティブに結果を返してくれる学習サイトがあります。
プログラミングの基礎に不安がある…というあなたは、ポテパンキャンプのようなオンラインスクールの利用も検討すると良いでしょう。