写経といえば仏教をイメージする方も多いかもしれませんが、IT業界でも「写経」という言葉がたびたび利用されます。
今回はIT業界の写経がどのようなもので、何を目的に行われ、それを行う事でどのような効果があるのかをまとめてみます。
- IT業界の写経はプログラムを見ながらタイピングすること
- 写経するだけでも上達への効果はある
- 写経により基本的な文法やソースコードに慣れることが大切
- 写経をする場合考えながら実施することが大切
- 写経するだけでなく改造してみることも大事
プログラミング学習における「写経」とは?
IT業界の写経は誰かが作成したプログラムを見ながらタイピング(=書き写す)を行う事を指します。プログラムを写すだけでプログラミングスキルがアップするのであれば実際にやってみようと考えるプログラマーも多いでしょう。
プログラミングを始めた当初は市販の入門書などに書かれているプログラムを見ながら同じように入力する事は多いですがこれも一種の写経と言っていいでしょう。
プログラミング学習に写経は有効なのか?
「誰かが作成したプログラムを単にタイピングしてもスキルアップにつながらないのでは?」と思われるでしょう。単純に書き写すだけでもそれなりの効果はあるものです。
プログラミングスキルの向上は多くのプログラムを作成する事で達成されますが、自分のスタイルの中で継続してもこれまでの殻を破ることが出来ず、頭打ちになるものです。
プログラムは、作成したプログラマーのスタイルが色濃く反映されるものです。さらに発展するには新しい血を入れ自分のスタイルをブラッシュアップしていくことが効果的です。そのために、写経を取り入れると凝り固まったあなたのプログラミングスタイルを揉み解してくれるのです。
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写経から得られること・効果
写経は初心者だけでなく中級者や上級者にも効果があります。伸びしろという面では初心者が圧倒的に有利ですが、その効果を素早く吸収しすぐに仕事に活かせるのは中級者や上級者でしょう。
基本的な文法が身につく
プログラミング初心者の場合、テキストを読んでいるだけではなかなか身に付かない基本的な文法も写経を行う事で身につけることができます。
ソースコードの並びに慣れる
プログラムは対象となる処理によって内容は様々ですが、大きく見るとパターンがあるものです。ただ、初心者はプログラムからなかなかパターンを見出すことができないものです。そこれで様々なプログラムの写経を行うとソースコードの並び(=パターン)に慣れる事が出来、それらをパターンとして認識できるようになります。
中級者以上のプログラマーは基本的な文法を含めたお約束事は何も考えなくても手が勝手に動くものです。英単語の綴りというよりパターン(=ソースコードの並び)として手が覚えているものです。
初心者がこの域に達するには数をこなす事しかありませんが写経を活用する事で手に覚えさせるのです。手が覚えればプログラミングのスピードは格段に上がってきます。
自分の中に新しいパターンを作る事ができる
プログラマー固有のプログラミングパターンは長年の蓄積から生まれてくるものですが、一度出来上がったスタイルを壊し、新しいパターンを生み出すのにはかなりの時間と労力が必要になります。しかし、いくら頑張っても産まれてこないパターンもあるものです。
写経はそんな自分の中にない新しいプログラミングパターンを生み出してくれる効果があります。写経で出会った様々な新しいパターンをそのまま取り込むもよし、自分のパターンと融合して自分自身をブラッシュアップするのもよし。でしょう。
ベストプラクティスに接することができる
先程の「新しいパターン」に近いですが、スーパープログラマーが作るプログラムはベストプラクティスの固まりとも言えます。実行効率だけでなくデバッグやメンテナンス効率などが考慮されており、それらを見るだけでなく、実際にタイピングする事で身につけることが出来るのです。
ちょっとしたテクニックに留まらないベストプラクティスはお金を出してでも手に入れたい宝石のようなものですので、写経でぜひ手にしてください。
写経をするときのポイント
ここまで見てきたように写経には様々なメリットがある事が分かりましたが、写経の効果をより上げるためには気を付けておきたいポイントがあります。ここでは、それらのポイントを整理していきましょう。
ただ書き写すだけではなく、考えながら行う
ただ書き写すだけでもそれなりの効果はありますが、やはり効果的に取り組むのであれば、何故このようなプログラムになっているのかを十分考えながら写経する事が必要になります。
自ら考えることで理解度が増しますので是非、写経ではプログラミングの裏を読み解くように考えながら行ってみてください。ただ、理解できるまで考えすぎるのも良し悪しです。ある程度考えても分からなかった場合は、一旦メモに書き出すなどし、次のステップに進んだ方が効率的でしょう。
1文字ずつ打ち込む
ネットなどに載っているプログラムを見ながら写経する場合は、コピー&ペーストは行わないようにし、1文字ずつ打ち込みましょう。写経には手にコードを覚えさせるという目的もありますのでコピーしてしまうと目的を放棄してしまうようなものです。ただ、手入力する効果を感じられないという場合もありますが、それはその題材が簡単過ぎると言うことなので題材の見直しを行いましょう。
お題を厳選する
写経対象の難易度ですが、自分のレベルにあった内容に厳選して下さい。簡単過ぎる場合は時間の無駄になりますし、難しすぎる場合は内容の理解が伴わず効果が半減してしまいます。少し難しいくらいが丁度いいでしょう。
また、プログラムの内容ですが、自分が日頃よくプログラミングする分野のプログラムだけでなく、全く畑違いのプログラムも対象としてみてください。そうする事で日頃使わないテクニックなどに触れることができ、より効果的にプログラミングスキルをアップする事ができるでしょう。
今はGitなど沢山のプログラムに触れることができる環境にありますのでぜひ活用したいところです。日頃使っているツールなどのプログラムであれば身近に感じられて取り組みやすいでしょう。
プログラムの全体構造を把握してからスタートする
1ステップ、1文字ずつ進めていく写経ですがまずは始める前に全体構造を見回してみましょう。当たり前の話しですが、プログラムは1ステップで出来ているものではなく複数ステップで意味のあるものになっています。最低でもこの意味のある固まり単位で内容を把握してから写経を始めることでより効果を上げる事ができます。
自分との違いに気を付けながら
コーディングスタイルも含めお題となるプログラムが自分とどのように違うかに気を付けながら進めることが大事です。自分なら、という部分が日頃の自分とは異なる場合、何故そのようになっているかが気になりますし、自分のスタイルをブラッシュアップしやすくなります。
全く同じでなくてもいい
仏教の写経は一言一句全く同じように写し書きする事が前提ですが、IT業界の写経は全く一緒である必要はありません。内容を吟味しながらお題となるプログラムに自分の色を載せていき、ブラッシュアップしたスタイルを確認しながら進めていく事でより写経の効果を高めることができます。
内容を変更した事で動かなくなるケースも発生しますが、それを対処する事でよりプログラムの内容を理解することに繋がりますので結果オーライです。
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まとめ
今回はIT業界で行われているプログラムの写経についてまとめてみました。プログラミング初級者にはもちろん、中級者以上のエンジニアであっても効果があることが分かりました。貴重な時間を使って行う訳ですからしっかりポイントを押さえて取り組んでいきたいですね。