プログラミングを少しでも学習したことがあれば、「デバッグ」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。バグのない安定したシステムを作るためには、デバッグが必要不可欠です。システム開発の中で重要なプロセスの1つであるデバッグについて詳しく見ていきましょう。
「デバッグ」という仕事はプログラミングをする人であれば誰もが経験し、バグのないシステムを作るために重要な作業です。しかし「そもそもデバッグって何?」と思う方もいるのではないでしょうか。この記事では、そんな方たちを対象にデバッグという仕事と求められる能力について、わかりやすく丁寧に説明していきます。
- デバッグはシステムに潜むバグを発見し、原因究明やバグを取り除くこと
- バグがないシステムは基本的にありえないため、必ずテストが必要
- デバッガーには問題の原因に対する仮説と検証を繰り返す能力が必要
- 学生アルバイトでデバッグの仕事を募集している企業もある
デバッグはバグを取り除く作業
“デバッグ”とは具体的に何をするのでしょうか?デバッグを仕事にするとどのような業務になりますか?
デバッグとは、システムやプログラムのバグを取り除くことです。それでは、具体的に何をするか、どのような業務にあたるのかをさっそく見ていきましょう。
この章では、デバッグの定義と目的について説明します。
デバッグ(debug)の定義は、システムに潜むバグを発見してその原因を突き止め、バグを取り除くことです。
バグとはシステム内の誤りのことです。バグが存在するとシステムがエンジニアの想定どおりに動かなくなります。最初からバグのないプログラムはほぼ100%存在しないため、システムを正常に稼働させるためにデバッグはとても重要な役割を担います。デバッグの最大の目的は、システムを仕様通りに正常稼働させることです。
デバッグの仕事内容
この章では、デバッグの仕事内容について詳細に説明します。また具体例としてゲームのデバッグについても言及します。
デバッグの大まかな流れは以下の通りです。
1. バグを見つける
2. バグの原因を探す
3. バグを取り除く
1. バグを見つける
エンジニアはどうやってシステムに存在するバグを見つけることができるのでしょうか? 正解はテストを行うことです。
テストとデバッグは、意味合いが似ているので混同しがちです。しかし、両者には違いがあります。
その違いとは、テストはバグを発見することだけではなく性能や機能を評価するためにも行われることです。デバッグはパフォーマンスの評価はしません。そこに決定的に違いがあります。
テストの手法は多岐にわたっており、この記事では詳細な説明は省きますが、バグの発見がテストによって行われているという点だけ忘れないようにしておきましょう。
2. バグの原因を探す
バグという欠陥が見つかったのはいいものの、その原因をエンジニアはどのように特定すれば良いのでしょうか? その方法について考えてみましょう。
バグの原因を特定する方法は以下のようなモノが考えられるでしょう。
a. エラーログを見る
b. 上司に相談する
c. テストデータを作成、検証する
d. テストコードを記述しておく
e. Googleで検索する
a. エラーログを見る
システムは不正な動作が行われた時に、エラーの内容をログと呼ばれるファイルに書き込む設定がなされています。もちろんあらかじめそのような設定をしておかなくてはなりませんので注意が必要です。
エラーログは、英語で書かれていることも多いので敬遠しがちですが、非常に重要な情報が詰まっているので、まずは何より先にエラーログを見るという習慣をつけることが大切です。
b. 上司に相談する
上司に相談するというのは上司のほうが経験・知識が豊富なので、自分では想定できない原因や解決策についてすでに知っている可能性が高いからです。
そのため上司に聞くという方法はとても効率的です。しかし一点注意しなければいけないことがあります。それは、相談する際に事実と推測を混同して説明しないことです。
例えば、「Xというエラーが起きて、多分Yメソッドが怪しいのですがいかがでしょう?」というような聞き方をしてはならないということです。
なぜなら、上司が「じゃあ、Yメソッドのコード見てみようか」となってしまった場合、もし推測が外れていると二人とも見当違いの箇所で時間を浪費することになるからです。そのため、事実と推測をしっかり切り分けて相談することが重要です。
c. テストデータを作成、検証する
テストデータを作成、検証するという方法はとても一般的です。ローカルにテスト環境を作り、テストデータを作成・変更したりしながら検証することで、どの場合にエラーが再現されてどの場合にされないのか、という情報が手に入るのでエラーの原因を特定するために非常に役立ちます。
d. テストコードを記述しておく
テストコードを記述しておくという方法は、TDD(テスト駆動開発)とも呼ばれます。c.の場合のようにテストを手動で行うのではなく自動化することで、効率的にテストを進めることができます。これによって、エラーを発見するスピードは飛躍的に向上するでしょう。
e. Googleで検索する
あえて言及する必要もないと思います。ほとんどのエンジニアが最終的にGoogleで検索をしてエラーの原因や対処方法について調べています。Google検索を賢く、活用しましょう。
3. バグを取り除く
バグの原因がわかれば後は、コードに手を加えてシステムが正常に動作するようにするだけです。ここで注意しなければならないのは、コードを修正したことによって他の箇所でバグが発生してしまう可能性があることです。そのリスクを避けるため、コードを変更したらテストを再度しっかり行なって新たなバグが発生していないか確認しましょう。
デバッグの仕事についての具体例として、「ゲームのデバッグ」について紹介します。ゲームのデバッグをする人のことを「ゲーム・デバッガー」と呼びます。ではゲーム・デバッガーはどのようにバグを見つけるのでしょうか?
それは、開発中のゲームソフトを実際にプレイすることです! Googleで「ゲーム デバッグ」と検索すると求人がたくさん見つかります。ゲームが好きな人にとっては、ゲームをすることでお金がもらえるなんて夢のようですね・・・。ただし、デバッグはあくまでも仕事なのでゲームに没頭してはいけません。客観的かつ批判的な視点を常に持ちながら、ゲームをプレイすることが大切です。
- ①バグを見つける
- ②バグの原因を探す
- ③バグを取り除く
デバックの仕事に求められる能力
この章では、デバッグの仕事に求められる能力について、説明します。わかりやすい記事がありましたので、引用します
1. バグ発生時に仮説を立てる能力
2. 仮説の検証能力
3. 検証結果から仮説を修正する能力
(出典元:デバッグ能力 – アウトスタンディングなプログラマを目指して)
まず、1つ目の”バグ発生時に仮説を立てる能力”について説明します。それは「なぜバグが起きたのか」について「事実にもとづいた」仮説を立てる能力を指します。つまり、全く0ベースで推測するのではなく、事実を踏まえた上で合理的な仮説を立てることが求められるのです。
次に、2つ目の”仮説の検証能力”について説明します。仮説にどれほど説得力があっても、それを検証することができなければ役に立ちません。そのため仮説を検証するための知識・経験を持っていることが必要です。
最後に、3つ目の”検証結果から仮説を修正する能力”について説明します。自分の仮説に自信があったとしても、検証によって軌道修正が必要になった時、いかに柔軟に自分の仮説を修正することができるのかが試されます。そのため、意地にならずに冷静な対処が行える人間性も大切な要素となります。
- バグ発生時に仮説を立てる能力
- 仮説の検証能力
- 検証結果から仮説を見直す能力
総じて、論理的思考能力が求められるといっても良いでしょう。
「ポテパンキャンプ」はオンランイン完結で、勉強時間も週15~20時間程度ですので、大学に通いながらでも受講できます。デバッグの仕事で経験を積むことが難しかった場合は、こちらもおすすめです。
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▶スキルが身につくデバッグアルバイトとは
デバッグを仕事にした時の年収は260万円前後
規模の大きな案件では、大勢のプログラマーが分担してプログラムを作ることから、個々のコードにバクが無くても、全体をまとめると正常に動作しない、といったことはよくあります。そのため、このような案件では、必ずテスト工程を設けており、プログラムのデバックを担当するエンジニアが働いています。
ただし、テスト工程で働くエンジニアに要求されるスキルは低く、その年収は250万円前後と、ITエンジニアの中ではかなり少ない金額です。そのため、未経験からプログラマーを目指す方が、デバックの仕事で自分のスキルを鍛えているケースもあります。
これでデバッグの仕事内容はばっちり!
この記事ではここまで、デバッグの定義、仕事内容、求められる能力について、可能な限りわかりやすく説明してきました。
特に、仕事内容についてはかなり詳細まで踏み込んで紹介しました。これで、デバッグについて知識がなかった方もデバッグという仕事について具体的なイメージが持てたのではないでしょうか。
デバッグの仕事は、アルバイトの方でもできるため、給料が安い傾向にあり将来の本業にするのは難しいと言えます。デバッグで得た知識や経験を元に、プログラマーやシステムエンジニアになり収入アップを目指しましょう。
まとめ
デバッグの仕事は、アルバイトの方でもできるため、給料が安い傾向にあり将来の本業にするのは難しいと言えます。デバッグで得た知識や経験を元に、プログラマーやシステムエンジニアになり収入アップを目指しましょう。