AWSを利用されているユーザーや利用を検討している方は、サポートプランがAWSから提供されていることはご存知でしょうか。
本記事では、AWSが提供する4種類のサポートプランについて基本的な情報を紹介しながら内容を比較していきたいと思います。
AWSの4つのサポートプラン
AWSでは「ベーシックプラン」「開発者サポートプラン」「ビジネスサポートプラン」「エンタープライズサポートプラン」の4つのプランでユーザーのサポートを実施しています。
ベーシックプラン
AWSアカウントを保持する全てのユーザーが利用出来るサポートプランが「ベーシックプラン」です。
利用料は無料で、サービス状態ダッシュボードや製品に対する問い合わせといった最低限のサポートが受けられます。
技術的な問い合わせに関してはベーシックプランの対象外となるため、後述する3種類の有料プランを検討する必要があります。
開発者サポートプラン
AWSでテストや初期開発を行っているユーザーで、営業時間中(日本語サポートは月〜金の9時から18時まで)のテクニカルサポートや一般的なアーキテクチャガイダンスを受けたい方を対象としているのが「開発者サポートプラン」です。
利用料は最低で「29USD/月」に設定されており、AWS利用料の3%と比較して支払い料金の高い方が適用されます。
メールでの問い合わせを回数無制限で行うことができ、一般的なガイダンスの場合24営業時間以内、システム障害の場合は12営業時間以内の応答が担保されています。
ビジネスサポートプラン
実際に本番環境で稼働しているワークロードをAWSで実行しており、エンジニアによるテクニカルサポートやHealth APIへのアクセス、状況別のアーキテクチャガイダンスを受けたい方を対象としているのが「ビジネスサポートプラン」です。
利用料は最低で「100USD/月」に設定されており、AWS利用料の10%(10,000USD以上の利用者は別計算)と比較して支払い料金の高い方が適用されます。
利用時間は24時間365日対象となっており、システム障害では12時間以内、生産システム障害の場合は4時間以内、生産システム停止の場合は1時間以内の応答が担保されています。
エンタープライズサポートプラン
コンシェルジュ型のサービスで、高品質のエンジニアやツール・技術を使ったテクノロジーサポートを受けられるのが「エンタープライズサポートプラン」です。
利用料は最低で「15.000USD/月」に設定されており、AWS利用料の10%(150,000USD以上の利用者は別計算)と比較して支払い料金の高い方が適用されます。
利用時間は24時間365日対象となっており、システム障害では12時間以内、生産システム障害の場合は4時間以内、生産システム停止の場合は1時間以内の応答に加え、ビジネス上の致命的なシステムダウンでは15分以内の応答が担保されています。
AWSのサポート内容と範囲
AWSのサポートプランを利用する上でプラン毎のサポート内容と対応範囲についても確認しておきましょう。
サポートフォーラム
サポートフォーラムのサービスは、プランに関係なく全ユーザーが利用することが可能です。
サポートフォーラムでは、ユーザーの誰かがAWSの利用方法や疑問点の質問を投げて、他のユーザーがその質問に回答するというエンジニアにはお馴染みの「Stack overflow」のようなシステムです。
簡単な疑問点や特に急ぎでない問題はサポートフォーラムを活用することで解決出来ることも少なくありません。
レポートツール
AWSでは「Cost Explorer」という機能を提供しており、AWSサービスの使用状況を時間単位や日付単位などで確認することが出来ます。
こちらも全ユーザーが無料で利用可能なサービスで、コストや利用状況を確認するには欠かせないサポートツールです。
お問い合わせ対応
お問い合わせ対応は、サポートプランにより対応範囲が様々で技術的な問い合わせが必要な場合、有料サポートプランである「開発者サポートプラン」「ビジネスサポートプラン」「エンタープライズサポートプラン」のいずれかを契約している必要があります。
また「ビジネスサポートプラン」と「エンタープライズサポートプラン」に関しては電話での直接の問い合わせも可能で、エンタープライズの場合テクニカルアカウントマネージャーに対応してもらえるなどの違いがあります。
マンツーマンでの質疑応答
有料サポートプランを契約されている場合、メールや電話などの問い合わせ方法は異なりますが、ご自身の環境にあった技術的な質問をサポートエンジニアとマンツーマンで質疑応答することが可能です。
「ビジネスサポートプラン」と「エンタープライズサポートプラン」では24時間365日利用出来るため、AWSサービスがビジネスのコアとなっている企業はぜひ活用したいサービスです。
AWSサポートの範囲
AWSが提示しているサポートの範囲についても一覧形式で記載しておきます。
- AWS のサービスや機能の「ハウツー」に関する質問
- クラウドで、アプリケーションの統合、デプロイ、そして管理を成功させるためのベストプラクティス
- API と AWS SDK の問題のトラブルシューティング
- AWS のリソースに関する操作または体系の問題のトラブルシューティング
- AWS マネジメントコンソールや他の AWS ツールの問題
- EC2 ヘルスチェックで検出された問題
- 多数のサードパーティ製アプリケーション(例: OS、ウェブサーバー、E メール、VPN、データベース、ストレージ構成)
AWSサポートの範囲外
AWSサポートの範囲外となる内容についても一通り目を通しておきましょう。
- コードの開発
- カスタムソフトウェアのデバッグ
- システム管理タスクの実行
- データベースクエリのチューニング
- クロスアカウントでのサポート
AWSのサポートプランを利用するメリット
AWSのサポートプランを利用するメリットは様々ですが、公式で利点として挙げている内容は下記6つです。
- AWSを使用して素早く前進
- 環境の管理を自動化
- 重要なことに重点を置く
- リスクの管理と軽減
- 高度にトレーニングを受けたエンジニアと、各分野のエキスパートによる大規模なネットワーク
- お客様の目標達成をサポートするために訓練されたエンジニア
本来のビジネスに力を注げる
インフラストラクチャの管理というのは、自分達で補おうと思うとかなりの時間や労力を費やす必要が出てきてしまいます。
しかしAWSサポートをうまく活用することで、本来のビジネスにエネルギーを注ぐことが可能となり、AWSの管理については専門家であるサポートエンジニアの助けを借りて最小限に抑えることが出来るようになります。
専門家によるサポートでの信頼性
AWSでは膨大なサービスが提供されており、ユーザー側で全ての領域のスペシャリストを用意するのはほぼ不可能です。
AWSサポートチームでは、優秀なクラウドサポートエンジニアが単純に指示書に従うだけでなく、それぞれの問題点を解決するためのサポートに全行程を通して対応されています。
またAWS内部では幅広い分野のエキスパートが所属しており、それぞれのネットワークが構成されているため、必要に応じてユーザーのサポートが適切に行われます。
さいごに: AWSのサポートプランを活用して効率的にクラウドサービスを利用しよう
本記事では、AWSのサポートプランの概要からそれぞれのプラン毎の比較、サポートを利用するメリットについてご紹介してきました。
無料で全ユーザーが利用出来るサポート内容も多く、まだ利用したことのない方は積極的に利用してみましょう。
有料プランに関しては高いと感じてしまうユーザーもいるかも知れませんが、ご自身のビジネスにおけるAWSの重要性を加味した上で利用するか検討してみてください。
エンタープライズサポートプランのみがTAMと呼ばれるテクニカルアカウントマネージャーからのサポートを受けることが出来ます。