プログラムでは、様々な言語を用いて開発を行いますが、その技術力を認定するための資格があります。資格を持っていると、IT関連の仕事をしていく上で大きな武器になるでしょう。
試験に合格するには実務に必要な技術力だけでなく、それに伴う知識も要求されるので、経験豊富な技術者でもしかるべき対策が必要です。ここでは、その中からいくつかの資格の概要と難易度、問題の傾向について紹介していきます。
C言語プログラミング能力認定試験とは
この試験はC言語を駆使して応用プログラミングを作成する能力を認定します。民間資格であり、国家資格と比べると格は落ちますが、一定上の技能を有しているというアピールポイントにはなるでしょう。
概要
1級から3級までの3段階があり、1級、2級は1月と6月の年2回、3級は9月を含めて3回実施されます。受験資格などに制限はなく、年齢や学歴に関係なく受験することが可能です。
・試験時間
1級 150分
2級 90分
3級 60分
・合格基準
各試験共に60%の得点率で合格
・受験料
1級 7600円
2級 6200円
3級 5100円
難易度
最も簡単な3級でおおよその概念を理解し、かつ簡単なプログラムが書ける程度となっています。学習時間の目安も公開されていて、初心者の状態で70時間程度となっているようです。
2級になると小規模プログラム(500行程度)を適切かつ早く書くことが出来、基本的なアルゴリズムへの理解があることが基準になります。学習時間の目安も110時間程度とされており、一筋縄ではいかない難易度です。
1級になると難易度が跳ね上がり、応用プログラムミングが出来ることに加えて、コマンドプロンプトを使用したコンパイルとデバッグまでをこなすことが前提になります。使用するコンパイラや文字コードは事前に指定されていますが、2級とは一線を画す難易度になっています。
どんな問題がでるのか
1級は、事前に公開されているプログラムソース(1700行程度)に対して、仕様変更や仕様追加になった場合の対応力を問う形式の実技試験になります。試験では他にも仕様変更に対する仕様書の変更の対応も必要です。
また使用できる関数や演算子は、こちらも事前に受験者リファレンスに掲載されているものを使用することが出来ます。この形式の大問が2問あり、両方の解答が必須になります。
2級と3級は、多岐選択回答式のマークシート方式筆記試験です。C言語に必要なプログラミング知識と技能を問う問題が出題されます。プログラミングの技能を問う問題は、プログラムコードの空欄を補完する形式で出題されるのが通例です。出題範囲から2級は8つの大問、3級は6つの大問全てが必須回答になっています。
C言語プログラミング能力認定試験を受けるメリット
この資格を取得することで、C言語に対する理解がどれだけあるかを証明することができます。2級以上を取得した場合には就職でも履歴書に書くことが出来るでしょう。
実務経験がない場合で取得出来たのであれば、面接の場でも大きな自己アピールの材料になります。また合否に関係なく、現在の技術レベルがどの程度のものか、苦手としているのはどの分野なのかを知ることが出来るでしょう。
C言語プログラミング能力認定試験の参考書
スッキリわかるC言語入門
Javaの入門書として人気を博したスッキリわかるシリーズのC言語版で、C言語で躓きやすいポインタや配列などをわかりやすく図解で開設しています。初心者にもわかりやすいと評価されており、入門書としてお勧めです。
新・標準プログラマーズライブラリ C言語 ポインタ完全制覇
C言語において最も重要といっても過言ではないポインタの概念をわかりやすく解説した一冊です。C言語を始めた人が躓きやすく、曖昧な理解で終わってしまいがちなカテゴリなので、しっかり理解したい人にピッタリでしょう。
[改訂新版]C言語による標準アルゴリズム事典
アルゴリズムの解説書として読んでおきたい一冊です。上級者向けの書籍になっており、何度も読み返して掴んでいくような内容になっています。アルゴリズムの概念を理解しておけば、他の言語でも応用が効くようになるので、他言語も覚えたい人にもおすすめです。
その他のプログラミング関連の資格
プログラミングに関する資格は他にも多数あります。その中の一部を紹介していきましょう。
情報処理検定試験
全国商業高等学校協会が主催する認定試験で、国家試験である基本情報処理技術者試験の前身となっている資格です。もちろんこの資格を取らずとも国家試験を受けることはできますが、プログラミングの基本的から実践までの範囲を取り扱っているので、基礎力を確かめる上ではちょうど良い腕試しになるでしょう。
概要
情報の活用能力やプログラミングの基礎を習得することを目的として設立された資格で、広く普及しているコンピューターに関する知識や理解を身に付けることと実践的、かつ合理的に活用出来るようになる力を養います。
難易度
1級から3級までがあり、1級と2級ではプログラミング部門と、ビジネス情報部門とに分かれています。また、試験に出るプログラム言語はJavaとマクロ言語の2つから選択する形式です。合格基準は100点満点中70点以上ですが、それぞれの合格率は
1級プログラミング部門 35%
1級ビジネス情報部門 20%
2級プログラミング部門 47%
2級ビジネス情報部門 50%
3級 60%
と、それなりの難易度になっています。
どんな問題がでるのか
コンピューターに関する知識を問う問題は、プログラミング部門とビジネス情報部門の両方で出題されます。これに加えて、ビジネス情報部門では表計算やデータベースを扱う問題が出題され、プログラミング部門ではアルゴリズムやプログラミング言語に関する問題が出題されるようです。
情報処理検定試験を受けるメリット
情報処理検定試験は民間資格となっていますが、その上位資格で国家資格でもある情報処理技術者試験に繋がる資格でもあります。基本情報処理技術者試験でも出題される範囲が関わってくるので、この資格を取ってからチャレンジするという形でステップアップしていく方法もあるでしょう。また就職する場合においても、取得しておくと有利になる資格です。
情報処理検定試験の参考書
この試験では、過去問から類似した問題が多く出題される傾向があるため、過去問を多く解いておくことがキーポイントになります。書籍として模擬試験問題集が出版されていますが、数としては非常に少ないので、目的の級のものがあれば、古い年度のものでも入手しておくと良いでしょう。
Oracle Certified Java Programmer
世界的に利用されているデータベースソフトウェアを開発しているOracle社が主催する認定試験の一つです。ベンダー資格であり、この試験ではブロンズ、シルバー、ゴールドの3段階が設けられています。世界共通の資格とみなされているので、毎年多くの受験者がいる人気の高い資格です。
概要
データベースソフトウェアだけでなく、広く利用されているプログラミング言語であるJavaを開発したOracle社が認定している資格であるため、プログラミングに関する深い理解と知識が身につく資格になっています。指向に合わせて他にも多種多様な資格があり、それぞれにグレードが設けられているのも特徴です。
この資格では、シルバー以上になると世界共通のものとして通用するようになります。また、言語のバージョンアップに伴って試験内容も変わるため、新しいバージョンに対応した資格を有していた方が良いと言えるでしょう。
難易度
ブロンズ:入門者向けの資格で、開発経験がなくても十分に合格レベルに達することが出来ます。オブジェクト指向のプログラミング知識を問う問題が多いです。
シルバー:プログラミングの知識に加えて、指導の下でプログラム開発を行うことが出来る程度の技術力を必要とします。開発現場でありがちな様々な状況に対応できる力も問われるため、実践経験がない場合では取得が難しいでしょう。
ゴールド:設計を基にして、独力での実装ができる能力が必要になります。高い技術力はもちろんのこと、より汎用的なプログラミング知識が必要になるでしょう。また受験するための前提条件として、シルバーの認定資格を有していなければなりません。
Oracle Certified Java Programmerを受けるメリット
この認定資格を有していることで、JavaとOracleに関する高い技術力を有していることの証明になります。シルバー以上を有していれば、大抵のIT系企業で働くのに有利になるでしょう。ある意味では国家資格以上に役に立つ資格とも言えます。
まとめ
プログラミング関連の資格は、IT関連企業などで働く上で有利に働きます。就職だけでなく待遇面での優遇措置を設けている会社も多いので、より上級技術者を目指すならば、高度な資格を持っておかなければならないことも多いでしょう。
ここで紹介した資格以外にも、プログラミング関連資格は多数あるので、どの分野を極めていくかで資格取得の目標を定めていくのがおすすめです。