最近は小さな子供や、IT業界以外で働く人々の中にもプログラミングを学ぶ人が増えているようです。プログラミングに興味はあるものの、プログラミングとは何なのか、プログラミングを学ぶと何ができるようになるのかいまいちピンと来ていない人もいるかもしれません。
2020年度からは小学校でもプログラミング学習が必修となり、プログラミングがもたらす論理的思考力が注目されています。あらゆることを合理的に考え物事を組み立てるプログラミングは、非エンジニアの社会人にも役立つ力となるためオススメです。
そこでこの記事では、プログラミングでできること、学習のメリットについてご紹介します。
- プログラミングは様々な命令を組み合わせてコンピュータに行わせたい処理を記述すること
- プログラミングを学ぶことでITに詳しくなり、合理的な考えのもと効率的な作業ができるようになる
- プログラミングの授業が小学校の必修科目になった
- 初心者は学習サイトやスクールなどで学んでいくのかオススメ
目次
プログラミングとは
プログラミングとは、簡単に言えばコンピュータに対する指示書を作成することです。
「音を鳴らす」「計算をする」「文字を表示させる」「データを取得する」といったような様々な命令を組み合わせてコンピュータに行わせたい処理を記述することをプログラミングといいます。Webサイトやアプリケーション、ゲームやOS、ソフトウェアなどの動作も、すべてプログラミングによって事前に定義されています。「○○というボタンがクリックされたら△△という文字列を表示する」というようにです。プログラミングではただ単に命令を記述するのではなく、「○○だったら△△をする」「□□を××回繰り返す」といったように、処理の順番や処理を行う条件などを詳細に定義していく必要があります。
プログラミングでは、日本語や英語のような、我々が普段使用している言語ではなく、「プログラミング言語」を用いて命令を記述します。プログラミング言語はよく知られているものからマイナーなものまで、すべて合わせると200以上があると言われています。同じ「音を鳴らす」という処理だけでもプログラミング言語によって書き方が異なります。プログラミング言語によって処理の速さや書きやすさ、覚えやすさや見やすさなどに違いがあり、それぞれにメリットやデメリットがあります。
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プログラミングができると何ができるのか・学習のメリット
プログラミングを学習することには様々なメリットがあります。
パソコンやITシステムの仕組みに詳しくなる
プログラムを作るためにはプログラミング言語の知識だけでは不十分です。プログラムがCPUやメモリといったコンピュータリソースをどのように使うのか意識しながらプログラミングをする必要がありますし、OSやファイルシステム、ネットワークといったITシステムの仕組みに関する知識も必要になります。プログラミングを学ぶことで自然とこういった知識を身に付けることができます。
作業効率をアップさせることができる
同じような帳票をいくつも作成する、同じコマンドを何度も実行するといったような単純な繰り返し処理はプログラミングによって自動化することができます。これによって作業効率を大幅にアップさせることができます。しかも、事前にしっかりとプログラムを作りこんでおけば、手作業による作業ミスを防ぐことができ作業の質もアップさせることができます。
自分専用の便利なツールを作ることができる
今は便利なスマホアプリやWebサービスが豊富ですが、時には「こんな機能が有ったらなぁ」と思うこともあるのではないでしょうか?プログラミング技術を身に付ければ、自分の欲しい機能を持ったツールやアプリを自分で作ることだってできます。
完全在宅のフリーランスとして活動することができる
小さなお子様を持つ女性や身体が不自由で外に働きに出ることが難しい方、仕事の合間の隙間時間で副業をしたいと考えている方、近所に働く場所がない方など、完全在宅で働きたいと思っている方は少なくないでしょう。ただ、完全在宅の仕事となると職種も限られてきてしまいます。プログラミングならネットワーク環境とパソコンさえあればいつでも、どこでも仕事ができるため完全在宅でも求人が多く、さらに給与も一般的な飲食業のパート・アルバイト等と比べると高い傾向にあるため希望通りの仕事を見つけられる可能性が高くなります。
プログラミング教育が義務化する?
医療や金融、運輸や製造業はもちろんのこと、農・林・水産業に至るまであらゆる業界でIT化が進んでいます。IT技術の需要が高まる一方で、国内のIT技術者の不足が懸念されていました。そんな中にあって、2020年から小学校でのプログラミング教育が義務化されることが決定しました。これまでにも中学・高校での選択授業で情報処理の科目があったり、小~中学生を対象としたプログラミングスクールが開設されるなど早期IT教育の流れはあったものの、ついに国語や算数と同様にプログラミングの授業が小学校の必修科目として取り入れられることになりました。
プログラミング教育の義務化は先にも述べたとおり、将来的に予想されるIT人材不足に備えるという目的もあるものの、それだけが理由ではありません。プログラミングを学ぶことで「プログラミング的思考」力を身に付けることがプログラミング教育必修化の第一の目的です。
「プログラミング的思考」とは「コンピュータに望み通りの処理を行わせるためにはどうすればいいのか」、その手順や筋道を考える力のことです。論理的思考力と意味合いはよく似ています。プログラミング的思考力や論理的思考力は生きていく上で普遍的に必要となる能力です。さらにそこにIT技術に関する知識が加えることで、「IT技術を利用した問題解決能力」を養うことができます。
IT技術者に限らず、将来どのような職業に就こうとも、あるいは働かずに専業主婦・主夫になったとしても、生活の上で必ずIT技術に触れることになります。その技術をより効果的に、より発展的に使うことによって、超高齢化社会など日本がこの先抱える問題を解決することが可能になります。
高いプログラミング的思考力、IT技術を利用した問題解決能力を持ち、IT業界で活躍できる人材を、さらにIT技術を用いて今後の日本をより発展させることのできる人材を早期に育成することが、プログラミング教育義務化の目的といえるでしょう。
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代表的なプログラミング言語
現在では200種類以上のプログラミング言語が存在すると言われています。その中でも知名度の高いプログラミング言語をいくつかご紹介します。
Java
Javaはスマホアプリや組み込み系システム、データベースやサーバーなどの大規模システム開発などで用いられるプログラミング言語です。Googleが開発に使用していることでも有名です。「JavaVM」と呼ばれる仮想マシン上で動作し、JavaVMが動作する環境であればどのようなプラットフォーム上でも動かすことができる汎用性の高さが特徴です。
Javaのもう一つの大きな特徴が「オブジェクト指向」です。オブジェクト指向とはプログラムを手順の集まりではなく「モノ」として見立てる考え方です。一つ一つの処理を「部品」とし、「部品」を組み立てていくことで「モノ=オブジェクト」を構成する考え方がオブジェクト指向です。
オブジェクト指向によって効率的に汎用性の高いプログラムを作成することができます。新しいプログラミング言語が次々に登場する中、Javaは常に求人数トップクラスを誇る人気言語です。ただしJavaを用いた開発には時間とコストがかかるため、小規模な案件は少なく、大規模かつ比較的長期的な案件にどっぷりと腰を据えて関わりたい人向けの言語となっています。
C言語
C言語は1972年に登場したプログラミング言語で、比較的歴史の古い言語です。ISOやJISに標準採用されており、かつてはプログラマーであれば必ず一度は使用するべき言語とされていました。
C言語は多くの演算子やデータ型、制御構造を持っているため、ハードウェアを制御するOSやデバイス開発に多く用いられています。身近な例ではUNIXもC言語で記述されています。現在プログラミング言語の主流でもあるJavaとは比較されることが多く、特にオブジェクト指向があるかないかは両者の大きな違いとなっています。C言語にはオブジェクト指向の概念がないため、開発効率がJavaに比べて落ちるという反面、実行前に「コンパイル」によって機械が理解可能な言語に翻訳するため処理速度が速いというメリットがあります。
シェアをJavaに奪われた感もあるものの、未だに人気は衰えていません。また、Javaをはじめとして多くのプログラミング言語の基になった言語でもあるため、C言語を習得することで他のプログラミング言語を習得しやすくなるという利点もあります。ただしC言語を独学で習得するのは難易度や時間の観点からも難しく、本格的に学びたい場合はスクールなどに通うことをおすすめします。
VB
VB(Visual Basic)はMicrosoft社が開発した言語です。まだコンピュータが非常に高価でOSすら搭載されていなかった1964年に誕生した「BASIC」を、アプリケーション開発に特化させてよりアップグレードさせたのがVBです。
VBはとても分かりやすい言語で全般的にコーディングも必要としないため初心者でも簡単にプログラムを作成することができます。Excelに搭載されており、帳票の作成などに使用されることも多いVBAはVBの簡易版言語で、プログラミングを全く勉強したことがなく、エンジニアでもない全くの初心者であっても簡単にプログラムを組むことができます。また、IE(InternetExplorer)で用いられているVBScriptはVBのスクリプト言語です。
VBはオブジェクト指向言語ではありませんが手軽にプログラミングができるため、プログラミングの世界へのとっかかりとして最適な言語です。
Swift
Swiftは2014年にApple社が発表したまだ新しいプログラミング言語です。Apple製品の開発にはそれまでObjective-Cというプログラミング言語が使用されていましたが、これには構文が独特でApple製品に特化しているという特徴があったため、利用者や利用シーンが限定されており、保守性やメンテナンス性の面での問題もありました。そこで登場したSwiftはコードが全世界に公開されており、Apple製品だけでなくWeb開発などにも用いることのできる汎用的な言語であり、現在最も将来性の高いプログラミング言語でもあります。
SwiftはRubyやPythonなどに代表されるような新しいプログラミング言語と同様、「コードが簡潔で読みやすい」という特徴を持っています。また、Apple製品以外のWebアプリケーションやWebサーバの開発も行えるようになったというのも非常に大きな特徴です。それまでiPhoneのオンラインアプリを開発する場合、クライアント側(iPhone側)のアプリ開発はObjective-C、Webサーバ側の開発はRubyといったように異なる言語を用いて開発を行う必要がありました。そのため両方の言語を使える人、またはObjective-CとRubyそれぞれの技術者を探す必要がありました。Swiftならばアプリとサーバ、両方の開発を行うことができるので技術者を探す手間も開発の手間も解消うすることができるようになりました。
Swiftは需要が高い割にまだ技術者の数が少ないため、今最もねらい目の言語の一つといえるでしょう。
PHP
PHPはWeb開発に特化したプログラミング言語で、WordPressの開発に用いられていることでも有名です。RubyやPythonなどWeb開発に用いられる言語は多数ありますが、中でもWebに特化しているのはPHPとJavaScriptぐらいでしょう。
JavaScriptとPHPの大きな違いは、JavaScriptがWebブラウザ上で動作するのに対し、PHPはサーバー側で動作するという点です。PHPはC言語を基に作られており、PHP自体がC言語で記述されています。そのため、C言語を学んだことのある人にとっては習得しやすい言語でしょう。
また、C言語を基としていながらオブジェクト指向型の言語なので、効率的な開発が可能であり大規模な開発にも適しています。PHPで開発するために必要なのはPHP自体とLinux、Apache、MySQLだけなので個人で簡単に開発環境を用意することができます。そのため学習もしやすく、プログラミング初心者にもおすすめの言語です。
Python
Pythonは今最も注目を浴びているプログラミング言語の一つです。長年にわたり需要・給与の面でトップをキープし続けているJava、C言語を超す勢いで人気プログラミングランキングの上位に食い込んでいるのがPythonなのです。
Pythonは組み込み系アプリやWebアプリ、デスクトップアプリ、ゲームなど様々な開発に用いることができますが、特に近年話題となっている「人工知能」や「機械学習」の分野でもPythonが使われており、今後さらなる需要の伸びが予想されます。
Pythonの特徴は文法がシンプルで可読性に優れており、初心者でも学びやすいとともに大人数での開発に適していることです。また様々な分野の開発に使用できるライブラリが豊富に公開されているため、1から開発する手間を省くことができ効率的な開発が可能となっています。プログラミング初心者はもちろんのこと、今後さらに活躍の場を広げたいと考えているベテランプログラマーにとっても身に着けておいて損はない言語と言えるでしょう。
Ruby
Rubyは日本で開発されたプログラミング言語で、Webアプリケーションやスマホアプリ、機械学習などの分野で使用されるオブジェクト指向型のスクリプト言語です。Rubyの特徴はコードが非常にシンプルで書きやすい点です。プログラミングの自由度が高く、他のプログラミング言語に比べてコードの記述量が圧倒的に少なくて済むためプログラミングがしやすくなっています。
また日本で開発された言語なので日本語のドキュメントが豊富だということが日本人のプログラマーにとっては大きなメリットとなっており、近年人気が高まっています。Java、PHP、Python、Perl、C言語などの特徴を取り入れているため、これらの言語を習得していればRubyも比較的簡単に習得できるでしょう。
Rubyには豊富なフレームワークが用意されていますが、中でも有名なのが「Ruby on Rails」でしょう。これは無料のWebアプリケーションフレームワークで、テストの自動化やコード記述量の制約によって可読性の高いプログラミングを可能にしています。世界的な需要はPythonの方が高いのですが、日本では日本語ドキュメントの豊富さなどからRubyの方が需要が高い傾向にあります。
JavaScript
JavaはRuby同様オブジェクト指向型のスクリプト言語です。JavaScriptというと「Javaの別名」や「Javaの機能の一つ」などと考えている人も多いのですが、JavaとJavaScriptは全くの別物です。JavaScriptは主にWebアプリケーション開発で用いられる言語ですが、最も身近な使われ方は動的なWebページを作成することでしょう。初心者でも学びやすく、ブラウザとテキストエディタさえあれば開発ができるという手軽さから、最近ではWebデザイナーでもJavaScriptを身に着けるのが一般的になっています。
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プログラミングに関わる基本用語
プログラミングでは、プログラミング言語以外にも様々な専門用語を用います。ここではなかでも基本的な用語について解説します。
HTML
HTMLとは「Hyper Text Markup Language」の略で、Webページ自体がこのHTMLで記述されています。文字列に「見出し」や「段落」といった意味付けをして、文書構造を解りやすくするための言語です。
HTMLで設定可能な意味の種類は「タグ」と呼ばれます。タグには「見出し」「段落」「強調表示」「画像挿入」などがあり、からで囲まれた範囲の文字列に対してそのタグの効果が設定されます。
例えば「Hello」と記述した場合は、「Hello」が見出しとしてブラウザ上に表示されます。HTMLを使うことで、平坦なテキストドキュメントが非常に見やすくなります。
CSS
CSSとは「Cascading Style Sheets」の略です。HTML同様Webページ作成の際に用いられる言語で、HTMLのタグに対して文字の色や大きさ、背景の色や文字の配置などを指定するための言語です。HTMLが文書構造を解りやすくするために用いる言語であるのに対し、CSSはさらにWebページの見た目をよくするための言語と言えるでしょう。
初心者におすすめの学習法
プログラミング言語は難易度が高いものから比較的簡単に身に付けられるものまで様々ですが、初心者の場合はやはり途中で脱落してしまうケースが少なくありません。そこでここではプログラミング初心者におすすめの学習方法をご紹介します。
無料の学習サイトを利用する
海外ではすでにメジャーになっている動画やゲーム形式で学べるプログラミングの学習サイトですが、最近では海外のサイトが日本語化されたり、日本でも学習サイトが作られるようになったりと国内でも学習サイトを利用してプログラミングを学ぶ方が増えています。学習サイトは有料のものもありますが、初心者向けのコースであれば無料で利用できるものもあるので気軽に利用することができます。
コミュニティサイトを利用する
独学でプログラミングを学習していると、どうしても解決できない問題につまずいてそこで脱落してしまうことがよくあります。そんな時におすすめなのが、「Stack Overflow」などのプログラミングのコミュニティサイトを利用することです。サイト上で質問をすれば、有識者がその質問に答えてくれます。もちろん無料ですし、規模の大きいサイトであったり利用者の多い言語に関する質問であれば1、2時間程度で回答が得られます。
スクールに通う
時間とお金に余裕があるのであれば、やはりプログラミングスクールに通うのが最も確実です。夜間開講しているスクールなどもあるため、仕事帰りに通うことも可能です。
スクールで学ぶなら「ポテパンキャンプ」がオススメです。最短5ヶ月でエンジニアとしての実践的なスキルが身につくカリュキュラムがあります。
初心者におすすめの参考書
プログラミング言語の文法やプログラミング技術そのものを実際にプログラミングをしながら学びつつ、プログラミングの概要やコンピュータシステムの仕組みなどを参考書を使って学ぶことで、よりプログラミングに対する理解度を高めることができます。そこでここでは、初心者におすすめのプログラミング参考書をご紹介します。
「これからはじめるプログラミング基礎の基礎」
タイトル通り、プログラミング初心者向けに作られた書籍です。ただし、特定のプログラミング言語について書かれたものではなく、コンピュータの仕組みなどITの本当に基本的な部分から学ぶことができます。ITに関する知識がそれほどない方でも、この本を読むことでプログラミングの理解が高まり効率的に学習を進められるようになるでしょう。
「おうちで学べるプログラミングのきほん」
「おうちで学べるきほん」シリーズのプログラミング版です。プログラムによってOSやハードウェアが動く仕組みを、「講義」と「実習」の形式で実際に体感しながら学ぶことができます。初心者だけでなく、現役のプログラマーの方が読んでも役に立つ内容となっています。
「プログラムはこうして作られる」
「Sunaba」というオリジナルのプログラミング言語を使いながら、プログラムの組み立て方を学ぶことができる書籍です。プログラミング言語そのものではなく、プログラマーがプログラミングをするときの考え方について解説しています。プログラミング言語についてある程度身に着けた方が読むことで、プロのプログラマーとして成長することができます。
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まとめ:プログラミングを始めてみよう!
今まではIT業界に関わる人以外にはあまり知られていなかったプログラミングも、今後はもっと一般化していくことでしょう。
仕事にできるほどのスキルを身に付けることができなくても、ちょっとしたプログラムが組めるだけで、普段の生活や仕事で手間だった作業が劇的に改善できることもあります。
プログラミングは知っているとあなたの生活をより豊かにしてくれるツールになるはずです。この機会にプログラミングについて学んでみてはいかがでしょうか?