Java は歴史が長いこともあり、これまで多くのリリースが行われてきました。
Oracle が Java を有償化(現在は無償化に戻っている)したこともあり、Open JDK や、AWS の Amazon Corretto など、多くの Java ディストリビューションが生まれ、リリースされてきたバージョンと、ディストリビューションをかけ合わせると数え切れないほどです。
このような状況であることから、システムによって、Java のバージョンが異なることは少なくなく、古いシステムをメンテナンスするために、開発者は 新しいバージョンの Java をアンインストールして、ダウングレードを行う必要もあります。
Java のダウングレードは手間がかかるため、昨今では Java をアンインストールせずに、Java のバージョンを切り替えるツールも存在します。
この記事では、1台のPC上に複数の Java を共存させ、それぞれバージョンを切り替える「SDKMAN」の使用方法を解説していきます。
SDKMAN
SDKMAN は、一言で言えば JVM環境のパッケージ管理ツールです。
1台のPC上に、複数の Java や Scala、Kotlinのバージョンをインストールでき、必要な時に切り替えて使うことができます。
SDKMAN は、macOS および Linux のUNIX互換のOSに対応したツールです。Windows の場合は後述する方法でインストールすることもできます。
インストール
それでは、SDKMAN のインストールをしていきましょう。
Linux 系の OS の場合は、インストール前にパッケージのアップデートと、SDKMAN のインストールプロセスの中で使われるツールのインストールをしておきます。
# パッケージのアップデート
$ apt-get update
# SDKMANが使用するツールのインストール
$ apt-get install -y \
unzip \
zip \
curl
準備ができたら、curl コマンドで SDKMAN のインストールシェルをダウンロードして実行します。
$ curl -s "https://get.sdkman.io" | bash
インストールが完了したら、次のコマンドを入力してSDKMANの初期化用のスクリプトを実行します。
$ source "$HOME/.sdkman/bin/sdkman-init.sh"
sdk version をコマンドで打ち込み、次のようにバージョンが表示されればインストール成功です。
$ sdk version
SDKMAN 5.13.1
SDKMAN で Java をインストール
SDKMAN を使って、Java をインストールする手順を見ていきましょう。
インストール可能な Java を表示
インストール可能な Java の一覧を確認する時は、次のコマンドを使用します。
$ sdk list java
結果は次のように出力されます。(本来はもっと多くのバージョンが出力されますが、結果を省略しています)
================================================================================
Available Java Versions
================================================================================
Vendor | Use | Version | Dist | Status | Identifier
--------------------------------------------------------------------------------
AdoptOpenJDK | | 16.0.1.j9 | adpt | | 16.0.1.j9-adpt
| | 16.0.1.hs | adpt | | 16.0.1.hs-adpt
Corretto | | 17.0.1.12.1 | amzn | | 17.0.1.12.1-amzn
| | 17.0.0.35.1 | amzn | | 17.0.0.35.1-amzn
Java のインストール
Java のインストールは sdk install java コマンドを使用します。
試しに、AdoptOpenJDK の長期LTS版であるバージョン 11 をインストールしてみましょう。
$ sdk install java 11.0.11.hs-adpt
AdoptOpenJDK はコミュニティにより提供される OpenJDK バイナリです。
正常にインストールできたか確認をします。
$ java -version
#以下のように、AdoptOpenJDKのバージョン情報が出力されていればOK
openjdk version "11.0.11" 2021-04-20
OpenJDK Runtime Environment AdoptOpenJDK-11.0.11+9 (build 11.0.11+9)
OpenJDK 64-Bit Server VM AdoptOpenJDK-11.0.11+9 (build 11.0.11+9, mixed mode)
SDKMAN の特徴である、複数のバージョンのインストールと切り替えを試すため、さらに追加で Java をインストールしましょう。
次は Oracle JDK のバージョン 17をインストールしましょう。
$ sdk install java 17.0.0-oracle
追加で Java をインストールすると、インストール後に、追加でインストールした Java をデフォルトに設定するか尋ねられるため、必要に応じて Y (Yes)、N (No) を選択します。
Installing: java 17.0.0-oracleDone installing!Do you want java 17.0.0-oracle to be set as default? (Y/n):
使用する Java のバージョンを切り替える
複数の Java のバージョンをインストールしている環境で、デフォルトの Java のバージョンを切り替える場合は、sdk default コマンドを使用します。
先ほどインストールした Oracle JDK をデフォルトに切り替えてみます。
$ sdk default java 17.0.0-oracle
バージョンが切り替わったか確認します。
$ java -versionjava version "17" 2021-09-14 LTSJava(TM) SE Runtime Environment (build 17+35-LTS-2724)Java HotSpot(TM) 64-Bit Server VM (build 17+35-LTS-2724, mixed mode, sharing)
インストール済みの Java の確認
端末にインストール済の Java を確認する時も sdk list コマンドを使用します。
$ sdk list java
インストール済の Java バージョンの場合、Status 列に「installed」と表示されます。
================================================================================Available Java Versions================================================================================ Vendor | Use | Version | Dist | Status | Identifier-------------------------------------------------------------------------------- AdoptOpenJDK | | 16.0.1.j9 | adpt | | 16.0.1.j9-adpt | | 11.0.11.hs | adpt | installed | 11.0.11.hs-adpt Oracle | | 17.0.1 | oracle | | 17.0.1-oracle | >>> | 17.0.0 | oracle | installed | 17.0.0-oracle
Java の削除
インストールした Java を削除する時は、sdk uninstall コマンドを使用します。
sdk uninstall java 17.0.0-oracle
WIndows でSDKMANを使う方法
SDKMAN は、macOS および Linux に対応したツールであるため、デフォルトでは Windows に対応していません。
しかし、Windows Subsystem for Linux (WSL) や Docker などの Unix 互換環境を使用することで、Windows でも SDKMAN を使用することが可能です。
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Ruby の開発経験者であれば、rbenv、Python の経験者であらば、pyenv と同じような機能を持ったツールのイメージだと思うと理解しやすいでしょう。