マイクロソフトのSQL Serverについてまとめています。
SQL Serverの概要
Microsoft SQL Serverは、マイクロソフトが開発しているリレーショナルデータベースです。主要なクエリ言語はT-SQLとANSI-SQLです。Windowsプラットフォーム上で稼働するため、Windowsアプリとの親和性が高い点が特徴です。
ビッグデータを扱ったOLAP・多次元解析などのビジネスインテリジェンスやデータマイニングのための機能を備えています。
また、データロストや故障による停止などの障害に対するミラーリングやフェイルオーバーなどの機能で、フォルトトレラントを実現できます。
Windowsプラットフォームのみという点が欠点でもありましたが、SQL Server2017からはLinuxプラットフォームも選択できるようになりました。
SQL Serverには、GUIベースの管理ツール・SQL Server Management Studioが付属しています。Windowsで使えるツールのため、コマンドを覚える必要がなく、データベース管理者の教育コストも節約できると言えるでしょう。
データの定義、操作のほか、ユーザ管理やバックアップなどの管理者向け機能も備えています。
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また、SQL Serverには無償版のExpressが用意されています。自動運用やメンテナンス、高可用性に関する機能は除外されていますが、基本機能は制限なく使えます。しかし、インストール対象のハードウェアのスペックに制限があり、CPU数とメモリ搭載量が小規模なハードに限り無償で利用できます。
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SQL Server 2019 最新版
2021年3月時点での、SQL Serverの最新版は2019です。2019の新機能は以下の通り。
- データの仮想化と SQL Server 2019 ビッグ データ クラスター
- 開発者エクスペリエンス
- ミッションクリティカル セキュリティ
- 高可用性High availability
- Linuxプラットフォームで稼働
データの仮想化とビッグデータクラスター以外は、過去バージョンの新機能の改善版です。
SQL Server 2019は、すべてのデータを統合・管理・分析するためにデータを仮想化して、事実上容量無制限のクラスタ上のデータを扱うための機能を揃えています。具体的には以下の通り。
- PolyBase によるデータの仮想化
- HDFS(Hadoop Distributed File System)による Data Lake の作成
- Big Data Cluster の Storage Pool によるデータマートの作成
- Spark / Machine Learning Services によるデータの分析
- k8s の Pod を利用したコンポーネント単位のスケールアウト
データの仮想化により、Oracleなどの他社のデータベースとの連携が可能になりました。様々なデータを一つのアクションで取得できるようになるんですね。機械学習関連は、RとPythonは前バージョンの2017で組み込まれていましたが、2019では新たにjavaが扱えるようになりました。
各エディションの構成は今までのバージョンどおり、Enterprise / Standard / Web / Developer / Expressが用意されています。
大規模データのクラウドに対応したバージョンではありますが、SQL Server 2019は小規模~中規模システムにも対応しています。
旧システムをアップグレードする際は、無償版のExpressを使って旧バージョンからの移行確認を行なうと良いでしょう。
SQL Serverの過去のバージョン
SQL Server 2008は、データ型の追加や、Analysis Services管理機能が向上したバージョン。「集計デザイナ」と「属性リレーションシップデザイナ」が用意されて、Analysis Servicesの「キューブ」のチューニングがユーザレベルでもおこなえるようになりました。
SQL Server 2008は、すでに延長サポート期限が2019年07月09日に終了しています。業務用としては現在では使われていないバージョンと言えるでしょう。
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SQL Server 2012は、メインストリームサポート期限は2017年07月11日に終了しましたが、延長サポート期限は、2022年07月12日となっています。SQL Serverの最後の現役バージョンと言えるでしょう。新機能として、フルテキスト検索を搭載したバージョンです。
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SQL Server 2014は、パフォーマンスを劇的に向上させたミッションクリティカルパフォーマンスを新機能として搭載しメモリ最適化テーブルにより処理を高速化しています。大容量のメモリを搭載している高級ハードウェアを使えばパフォマンスも向上するんですね。
もう一つの目玉は、クラスタ対応。バックアップや復元の強化や、Azureストレージと連携することで対障害性も大幅にアップしています。
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SQL Server 2016は、大幅な機能向上などの劇的な新機能搭載はないものの、JSONへの入出力に対応、動的データマスクなどのセキュリティ新機能を搭載しています。T-SQLからR言語の記述ができることで、機械学習への親和性が向上したと言えるでしょう。SQL Server 2016のメインストリームサポート期限は2021年07月13日ですが、延長サポート期限は、2026年07月14日です。もうしばらくは、現役バージョンとして稼働し続けることでしょう。
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SQL Server 2017は、Linuxプラットフォームに対応したバージョン。Windows Serverだけではなく、Red Hat Enterprise Linux、SUSE Enterprise Linux、Ubuntu上で動作するようになりました。R言語やPythonによる機械学習(Machine Language)機能を搭載、その他、自動チューニングやグラフデータ対応などの新機能を搭載しています。
SQL Server 2017の延長サポート期限は、2027年10月12日です。
まとめ
- SQL Serverは、バージョン2017からLinuxプラットフォームでも動作するようになった
- SQL Serverの最新版は、SQL Server 2019 (2021年3月時点)
- SQL Server 2019の新機能の目玉は、データの仮想化とビッグデータクラスター