Rubyを学んで仕事に使うなら、そのメリットを活かしたプログラムを作れるWebエンジニアを目指したいものです。では、Rubyのメリットとは何でしょうか。他のプログラミング言語に比べると、少ない記述でプログラムが書けたり、学習に向いているなどいろいろなメリットが挙げられます。
今回はプログラミング言語Rubyのメリットとそのメリットを活かした活用方法を紹介します。
そもそもRubyとは
プログラミング言語Rubyは、日本人のまつもとゆきひろ氏によって開発されたオープンソースのオブジェクト指向のプログラミング言語です。
そしてよく挙げられるRubyのメリットは記述量が少なく読みやすいプログラムが書ける点で、学習しやすいプログラミング言語とされています。さらに自由度が高く、複雑な処理を簡潔に記述できるなど、多くのベテランのプログラマーにも支持されているプログラミング言語です。
次からそのようなRubyの概要について紹介します。
なぜ名称がRubyだったのか
ルビーと聞いて赤い宝石を思い浮かべる方が多いでしょう。Rubyが発表された1995年当時、スクリプト言語としてよく使われていたのはプログラミング言語Perlでした。Perlは、Practical Extraction and Report Languageを略した名称ですが、真珠の英語名「perl」と同じです。
そしてRubyはPerlと同じスクリプト言語であり、その名称には「Perlに続く」という意味が込められています。宝石の真珠(Perl)は6月の誕生石で、その次の7月の誕生石であるルビー(Ruby)がプログラム名として採用されました。
Rubyはオブジェクト指向が特徴
先ほど紹介したようにRubyはオープンソースのオブジェクト指向のプログラミング言語です。なおオブジェクト指向とは、幾つもの部品を組み合わせてプログラムを作る際、効率よく利用できるようにした仕組みで、データとそのデータを扱う手続きを1つにまとめたものです。
例えば文字列のオブジェクトには、データとしての文字列とその文字列を操作するための処理が含まれています。またグラフィックを扱うプログラムでは複雑なデータを扱うことがよくありますが、オブジェクトにすることでその複雑なデータとそれを操作する処理を1つにまとめることが可能です。
なおオブジェクト指向に対応したプログラム言語でオブジェクトを扱う場合、特殊なデータとして扱うことになります。しかし、Rubyでは全ての変数がオブジェクトであり、難しいオブジェクトを手軽に扱えるのがメリットの1つです。
Ruby on Railsで使われる言語
Rubyは、Ruby on Railsによって普及したプログラミング言語です。そしてRuby on Railsとは、Rubyをベースに作られたWebシステム開発で使われるフレームワークで、Ruby on Railsで開発された有名なサービスが幾つもあります。
そのためRubyを学ぶとは、Ruby on Railsを使ったWebシステム開発に携わるWebエンジニアになることと同じです。ただし、Ruby on Railsを使えるようになるには、Ruby on Railsが対象としたWebシステムを理解しなければなりません。そのためRubyを学んだからといってWebエンジニアになれる訳ではないので注意してください。
Rubyのメリット
Rubyは、主にWebシステムの開発で使われるプログラミング言語で多くのエンジニアが利用しています。そしてそれだけ多く使われるのは、Rubyのメリットが優れているのが原因です。ではRubyのメリットとは何でしょうか。いろいろ挙げられますが、中でも特徴的なRubyのメリットを紹介します。
少ない記述で書ける
今使われているプログラミング言語はコンピュータのCPUの命令を人が読み易くしたものです。しかしそれだけではありません。
プログラミング言語が登場してから、構造化プログラミングやオブジェクト指向など人が見やすく使い易いプログラミング方法が提案され、その方法を活用したいろいろなプログラミング言語が開発されてきました。そのため今使われているプログラミング言語は、少しずつ文法や書式が違います。
Rubyもいろいろなプログラミング言語を参考に文法や書式が決められています。そのようなRubyのメリットとしてよく挙げられるのが記述しやすい点です。同じ処理を作る場合、他のプログラミング言語で書くよりも、かなり少ない記述量で実現できます。そして記述量が少ない分、それだけ早くプログラムを書けることから、開発期間の短縮が可能です。
学習しやすい
先ほどRubyは少ない記述で書ける点がメリットと紹介しましたが、学習しやすい点もメリットです。Rubyはスクリプト言語のため、エディタで書いたプログラムコードをコンパイルすることなく、すぐに実行できます。短い時間でプログラムを書けて、それをすぐに実行して確認できる点もメリットです。
このようにRubyを習得するのは簡単で、これはRubyのメリットの1つですが、Rubyを習得したらすぐに仕事ができる訳ではありません。例えばWebエンジニアとして働くためには、自分が扱う対象のWebシステムについて学ばなければなりません。Rubyを学習したら、Ruby on Ralsの習得も目指してください。
自由度が高い
Rubyのメリットとして自由度が高い点も挙げられます。これはスキルの高い方にとってもメリットです。そのため同じ処理を書く場合、スキルの高いエンジニアほどシンプルなプログラムコードで実現できたりします。
Rubyのプログラムで使われるほとんどの変数がオブジェクトですが、オブジェクトの特徴を理解していれば、複雑な処理でも簡潔に記述できます。さらにRubyは正規表現と相性が良く、いろいろな場面で利用することが可能です。
ただし、大勢のエンジニアが協力して開発する大規模なシステムでは、自由度を制限して誰が書いても同じようなプログラムを書ける環境が必要です。そのようなケースでは、Rubyの自由度が高さが逆にデメリットになるケースもあります。
Ruby on Railsで使われる
これまでRubyのメリットを3つ紹介してきましたが、それらよりも重要なRubyのメリットがRuby on Railsで使われる点です。
Ruby on RailsはRubyをベースに開発されたWebシステム用のフレームワークです。そして、Ruby on RailsnにはMVCモデルに基づくWebシステムに必要な機能が用意されており、それらを活用することでオリジナルなWebシステムを短納期で開発できます。そして、誰でも知っているようなサービスの中にも、Ruby on Railsで作らられたものが幾つもあります。
Rubyの将来性
先ほど紹介したようにRubyはメリットの多いプログラミング言語ですが、必ずしも人気があるプログラミング言語とは言えません。例えばオランダのTIOBE Softwareが発表しているプログラミング言語の注目度ランキングによると、Rubyは上位10位に入っていません。
Rubyの将来性を不安に思う方もいるかもしれません。次からRubyの将来性について解説します。
ベンチャー企業などでのニーズが高い
Rubyの用途として多いのはRuby on RailsによるWebシステムの開発です。しかし、全てのWebシステムにRuby on Railsが向いている訳ではありません。人工知能を扱う場合はPythonなどの方が有利で、大規模なシステム開発には文法のしっかりしているJavaが向いています。そしてRuby on Railsが向いているのはベンチャー企業など、いち早くサービスを立ち上げる用途です。
Ruby on Railsの特徴は、Rubyのメリットを活かし、少ないプログラムコードを追加して、短納期でWebシステムを開発できる点です。そのためビジネスのアイデアをいち早くサービスとして公開できます。そして、このような用途では、今後もRubyが利用されると予想されます。
アジャイル開発に向いている
先ほど紹介したベンチャー企業などのサービスは、まずは公開して、利用者の意見などを反映しながら短い期間でサービスを改善していくアジャイル開発が採用されます。
そしてRubyはそのようなアジャイル開発にも向いているプログラミング言語です。少ない記述で書けるRubyのプログラムなら、読み易く修正もしやすいのでアジャイル開発のサイクルを短納期で回していけます。
まとめ
これまで紹介したようにRubyにはプログラミング言語としてのメリットが幾つもあり、さらに学習しやすい言語の1つです。そして最も重要なメリットとはRuby on Railsを利用できる点で、Ruby on RailsはRubyの特徴を活かして短期間でWebシステムを開発できます。
最近のRubyは人気のあるプログラミング言語とは言えなくなりましたが、Ruby on Railsがニーズはスタートアップやベンチャー企業など使われる限り、そのニーズはなくなりません。ぜひRubyのメリットを理解してRubyとRuby on Railsを学習し、多くの人に使われるサービスを開発できるようなWebエンジニアを目指してください。
