Javaのプログラミングを学習中の方やプログラマーの中には、ビット演算子という言葉自体は聞いたことがあっても内容や使い方をきちんと把握出来ていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Javaのビット演算子について基本となる概要や使い方をサンプルコードを掲載しながらご紹介していきます。
Javaのビット演算子とは
ビット演算子とは文字通り、ビット単位での演算を実施するための演算子です。
ビットとは
ビットは情報量を表す最小の単位で、つまりコンピューターが扱える最小の単位となっています。
単位の大きさとしては、小さい方から「ビット」 < 「バイト」 < 「キロバイト」のように徐々に単位が上がっていきます。
演算子とは
次に演算子についてですが、足し算や引き算をはじめとした様々な演算を表す記号のことを指しています。
一般的な演算子としては、加算が「+」減算が「-」乗算が「*」除算が「/」などがあげられます。
他にも比較演算子や論理演算子と呼ばれるものも、全て演算子の1種です。
Javaで利用出来るビット演算子の種類
では実際にJavaで利用されるビット演算子ですが、「シフト演算子」と呼ばれる3種類と合わせて合計7種類が該当します。
ビット演算子
ビット演算子として、下記の4種類をJavaでは利用することが可能です。
- &: 論理積(AND)
- |: 論理和(OR)
- ^: 排他的論理和(XOR)
- ~: 反転(NOT)
論理積(AND)
論理積では、比較対象の両方のビットが1の場合だけ、結果が「1」となります。
演算結果 = ビットA & ビットB
論理和(OR)
論理和では、比較対象のどちらか一方のビットが1の場合に、結果が「1」となります。
演算結果 = ビットA | ビットB
排他的論理和(XOR)
排他的論理和では、比較対象のどちらか一方のビットが1の場合に結果が「1」となり、両方が1または0で同じ値の場合には結果が「0」となります。
演算結果 = ビットA ^ ビットB
反転(NOT)
反転では、演算子の右側に記述したビットを反転させることが出来ます。
演算結果 = ~ビット
シフト演算子
シフト演算子としては、下記の3つをJavaでは利用することが出来ます。
- <<: 左へシフト
- >>: 右へシフト(符号あり)
- >>>: 右へシフト(符号なし)
左へシフト
「<<」演算子を利用すると、左側へ指定ビット数分移動させることが出来ます。
2進数でビットを左へ1つシフトすることは、つまり2倍となります
演算結果 = ビット << 移動させたいビット数
右へシフト(符号あり)
「>>」演算子を利用すると、右側へ指定ビット数分移動させることが出来ます。
右へ1つシフトさせた場合、1/2の値となります。
また左端には対象の最上位ビットと同じ値が入るため、符号を表すことが出来ます。
演算結果 = ビット >> 移動させたいビット数
右へシフト(符号なし)
「>>>」演算子は、「>>」と同じように右側へ指定ビット数分移動させることが出来る演算子です。
「>>」との違いは、左端に空いた分の0が設定されるため、符号表現が出来ません。
演算結果 = ビット >>> 移動させたいビット数
ビット演算子をJavaサンプルコードで確認
ではここからは実際にビット演算子を使用したJavaの簡単なサンプルコードでどのような動きをするのか具体例を確認していきましょう。
ビット演算子サンプル
public class Main { public static void main(String[] args) throws Exception { int num1 = 10; // 2進数で「1010」 int num2 = 6; // 2進数で「110」 int result1 = num1 & num2; int result2 = num1 | num2; int result3 = num1 ^ num2; int result4 = ~num1; System.out.println("num1とnum2に対して論理積で演算を行うと結果は " + result1); System.out.println("Binaryでresult1を表示すると" + Integer.toBinaryString(result1)); System.out.println("num1とnum2に対して論理和で演算を行うと結果は " + result2); System.out.println("Binaryでresult2を表示すると" + Integer.toBinaryString(result2)); System.out.println("num1とnum2に対して排他的論理和で演算を行うと結果は " + result3); System.out.println("Binaryでresult3を表示すると" + Integer.toBinaryString(result3)); System.out.println("num1とnum2に対して反転で演算を行うと結果は " + result4); System.out.println("Binaryでresult4を表示すると" + Integer.toBinaryString(result4)); } }
実行した結果が下記です。
num1とnum2に対して論理積で演算を行うと結果は 2 Binaryでresult1を表示すると10 num1とnum2に対して論理和で演算を行うと結果は 14 Binaryでresult2を表示すると1110 num1とnum2に対して排他的論理和で演算を行うと結果は 12 Binaryでresult3を表示すると1100 num1とnum2に対して反転で演算を行うと結果は -11 Binaryでresult4を表示すると11111111111111111111111111110101
「1010」と「0110」を比較対象とした場合、例えば論理積では同じ「1」が設定されている桁以外には「0」が設定されるため、結果としては「0010」となります。
これを10進数で表現すると「2」が結果として表示されます。
Binary出力の場合、左側の0部分は桁数としての表示が省略されるため、結果は「10」と表示されています。
シフト演算子サンプル
public class Main { public static void main(String[] args) throws Exception { int num1 = 5; // 2進数で「101」 int num2 = -6; // 2進数で「1111111111111010」 int num3 = 20; // 2進数で「10100」 int result1 = num1 << 2; int result2 = num2 >> 1; int result3 = num3 >>> 2; System.out.println("num1に対して左シフトの演算を行うと結果は " + result1); System.out.println("Binaryでresult1を表示すると" + Integer.toBinaryString(result1)); System.out.println("num1に対して右シフト(符号あり)の演算を行うと結果は " + result2); System.out.println("Binaryでresult2を表示すると" + Integer.toBinaryString(result2)); System.out.println("num1に対して右シフト(符号なし)の演算を行うと結果は " + result3); System.out.println("Binaryでresult3を表示すると" + Integer.toBinaryString(result3)); } }
実行した結果が下記です。
num1に対して左シフトの演算を行うと結果は 20 Binaryでresult1を表示すると10100 num1に対して右シフト(符号あり)の演算を行うと結果は -3 Binaryでresult2を表示すると11111111111111111111111111111101 num1に対して右シフト(符号なし)の演算を行うと結果は 5 Binaryでresult3を表示すると101
num1から3に指定した値から、右辺に設定した桁数分左右にシフトしていることがわかります。
さいごに: Javaでビット演算子を使ってみよう
本記事では、ビット演算子の基本からサンプルコードを掲載しながら実際の使い方についてご紹介してきました。
ビット演算子は一見複雑そうにも見えますが、処理としては単純です。
サンプルコードの値を変更しながら、しっかりと処理の内容を把握出来るよう学習してみてください。
2進数では符号を表す際、最上位ビットが1の場合負数、0の場合正数となります。