データベースを利用する際、無料で利用可能なデータベースもあれば、SQL ServerやOracleなどのように有料プランが提供されているデータベースも複数存在します。
今回は人気データベースであるMicrosoft SQL Serverのライセンス概要を中心に、提供されているプランについてご紹介していきたいと思います。
目次
SQL Serverのライセンス概要を確認しよう!
SQL Serverの最新版は記事執筆時点(2020年9月)で「SQL Server 2019」です。
SQL Serverに関する説明では「エディション」と「ライセンス」という2つの考え方が利用されます。
エディションについて
ライセンスの説明に入る前に、エディションについて簡単に説明しておきます。
エディションは、SQL Serverの提供機能によって振り分けられています。
提供機能が多いほど、価格も上がっていくため、利用用途によって適切なエディンションを選ぶことが大切です。
商用利用のライセンスとして大きく「Enterprise Edition」と「Standard Edition」の2種類が提供されています。
加えて、「Developer Edition」と「Express Edition」といった無料で利用することが可能なエディションなどが提供されています。
- Enterprise:大企業や高度な要求を処理するシステム向け 全ての機能が利用可能な最上位版
- Standard:中小企業・大規模部門向け データ分析機能などが利用出来ない
- Developer:開発用途で利用可能 Enterpriseと同性能だが実運用不可
- Express:個人や小規模商用向け 基本機能のみの提供
ライセンスについて
SQL Serverでは「コアベースモデル」と「サーバー/CALモデル」と呼ばれる2つのライセンス形態が存在します。
Enterprise Editionでは「コアベースモデル」のみの提供となっており、Standard Editionでは「コアベースモデル」と「サーバー/CALモデル」のどちらかを選択可能です。
上述した通り、Developer EditionとExpress Editionでは無料で利用可能です。
コアベースモデル
コアベースモデルでは、稼働させるサーバーのコア数に基づいて価格の変わるライセンスモデルです。
サーバーにアクセスするクライアント側にライセンスは不要です。
コア数に基づくライセンスモデルですが、1CPU(仮想環境では1OS)につき最低4コアからの販売となっているため、1CPUでシングルコアの場合でも最低数の4コア分の費用が必要となります。
- 1CPU1コア→4コア分のライセンス
- 1CPU4コア→4コア分のライセンス
- 1CPU6コア→6コア分のライセンス
- 2CPU2コア→8コア分のライセンス(4コア×2)
サーバー/CALモデル
サーバー/CALモデルでは、物理または仮想OS環境毎に1サーバーライセンスが必要です。
加えて、サーバーにアクセスする端末にCAL(クライアントアクセスライセンス)が必要となります。
コアベースモデルのように最低購入数指定はありません。
- サーバー1台で3人が利用→1サーバーライセンス + 3CAL
- サーバー2台で3人が利用→2サーバーライセンス + 3CAL
- 物理サーバー1台+仮想サーバー2台を3人が利用→3サーバーライセンス + 3CAL
SQL Serverのライセンス費用
では上述したライセンス概要を元に具体的なライセンス費用をサンプルとして確認していきたいと思います。
料金表(買い切り)
エディション | 料金(米国ドル) | ライセンスモデル |
---|---|---|
Enterprise | 約145万円($13,748) | 2コアパック |
Standard-コア | 約38万円($3,586) | 2コアパック |
Standard-サーバー | 約9万5千円($899) | Server |
Standard-CAL | 約2万2千円($209) | CAL |
料金表(年間サブスク)
エディション | 料金(米国ドル) | ライセンスモデル |
---|---|---|
SQL Enterprise Edition | 年間約57万円($5,434) | 2コアパック |
SQL Standard Edition | 年間約15万円($1,418) | 2コアパック |
料金表のライセンスモデルを見ていただくと、販売形態が2コアパックとなっています。
つまり最低コア数の4コア分以上を購入するには、最低でも表示金額の2倍以上の費用がトータルとして掛かることは意識しておきましょう。
SQL Serverの無料版と有料版のライセンスの違いは?
ここまでSQL Serverの「Enterprise Edition」と「Standard Edition」を中心にご説明しましたが、決して安くない費用が掛かることはご確認頂けたかと思います。
無料版で用途がまかなえるのであれば、別途費用を掛けたくないのは当然ですよね。
では無料版である「Developer Edition」と「Express Edition」と有料版では、何が違うのかについてご紹介していきます。
Developer Edition
まずDeveloper Editionは機能としては、Enterprise Editionと同等の機能を無料で利用することが可能です。
ただし、Developer Editionはあくまで開発及びテストシステムとしての利用を想定したライセンスとなります。
つまり本番稼働用のサーバーとして利用してしまうとライセンス違反となりますので、注意が必要です。
Express Edition
Express Editionは、商用利用も可能な無料のデータベースとして提供されています。
ただし、データベースのサイズが最大で10GBまで、CPU1つにつき4コアまでしか利用することが出来ません。
また、データベースの定期バックアップ機能や分析サービスなどの機能制限があることも意識する必要があります。
有料版へのアップデートは可能
Express Editionでは、一部機能制限こそありますが、基本的な機能は全て利用可能で、複雑な処理が必要ない小規模システムであれば商用利用でも十分に対応可能な機能を備えています。
また、Express Editionから有料版の「Enterprise」や「Standard」といったEditionにアップデートすることも可能です。
専用のツールが提供されており、SQL Serverの再インストールなども不要で簡単に移行することが可能となっています。
最初から有料版が必要と分かっているシステム開発でなければ、Express Editionの利用から始めて、必要になった際に、有料版へアップデートする方法で十分かと思います。
さいごに:SQL Serverなどデータベースを利用する際は、用途にあったライセンスを購入しよう!
本記事では、SQL Serverのライセンスに関する情報とライセンス購入に関する周辺知識について、ご紹介してきました。
SQL Serverの有料版には「コアモデル」と「サーバー/CALモデル」と呼ばれるライセンス形態が存在し、専門家でないと適切なプランを選択するのは難しいのも事実です。
いきなり有料版の購入を検討するのではなく、まずはExpress Editionを利用し、機能制限の無料版では利用用途に対して不足していると判断できた場合に初めて、専門家に相談して有料版へのアップグレードを決める方法がおすすめです。
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