目次
SQLのROW_NUMBER関数とは?
ROW_NUMBER関数は、SELECT文の結果セットに対して、1〜の連番を振るための関数です。
この記事では、SQLのROW_NUMBER関数の使い方を詳しく解説します。
ROW_NUMBERの構文
最初は、ROW_NUMBER関数の構文を確認しましょう。
ROW_NUMBER() OVER ( [ PARTITION BY [パーティションカラム], [パーティションカラム], ...] ORDER BY [ソートカラム], [ソートカラム], ... )
パーティションカラム (PARTITION BY)
指定した場合は、結果セットをパーティションカラムで分割し、パーティション毎に1〜の連番を振ります。
パーティションカラムを指定しない場合、結果セット全体で1〜の連番を振ります。
ソートカラム (ORDER BY)
連番を振る順序を指定します。ソートカラムの指定は必須で省略できません。 パーティションカラムを指定するとパーティション毎に1〜の連番が振られます。
ソートカラムの昇順で連番を振る場合はORDER BY <COLUMN_NAME> ASC、降順で連番を振る場合はORDER BY <COLUMN_NAME> DESCのように指定します。
ROW_NUMBERの使い方(サンプルコード)
ROW_NUMBERを使って、SQLの結果セットに連番を振るサンプルコードを見ていきましょう。
簡単な例から、少し複雑な例まで段階を踏みながら見ていきましょう。
1. 連番を振る
まずは簡単な、結果セット全体に連番を振るサンプルコードを見てみましょう。
次のSQLは、ROW_NUMBER関数で、usersテーブルの「Age」列の昇順(ASC)で連番を振っています。
SELECT
ROW_NUMBER() OVER(ORDER BY Age ASC) Num
, Name
, Age
FROM users
実行結果
SQLを実行すると、次の表のように「Age」の昇順に連番(Num)が振られています。
Num | Name | Age |
---|---|---|
1 | Yamada Taro | 10 |
2 | Suzuki Ichiro | 20 |
3 | Sato Taro | 30 |
4 | Tanaka Jiro | 40 |
2. ソートカラムを複数指定する
ソートカラムを複数指定する場合、カンマ区切りで列を指定します。
次のSQLは、usersテーブルの「Age」列の昇順(ASC)、「Name」列の降順(DESC)で連番を振っています。
SELECT
ROW_NUMBER() OVER(ORDER BY Age ASC, Name DESC) Num
, Name
, Age
FROM users
実行結果
Num | Name | Age |
---|---|---|
1 | Yamada Taro | 10 |
2 | Suzuki Ichiro | 20 |
3 | Sato Taro | 30 |
4 | Tanaka Jiro | 40 |
5 | Ito Hanako | 40 |
3. パーティションごとに連番を振る
パーティションカラムを指定すると、グループごとに連番を振ることができます。
次のSQLでは、usersテーブルの「City」毎に、「Age」列の昇順(ASC)で連番を振っています。
SELECT
Name
, Age
, ROW_NUMBER() OVER(PARTITION BY Pa ORDER BY Age ASC) Num
FROM users
実行結果
Num | Name | City | Age |
---|---|---|---|
1 | Yamada Taro | Tokyo | 10 |
2 | Suzuki Ichiro | Tokyo | 20 |
1 | Sato Taro | Nagoya | 30 |
2 | Tanaka Jiro | Nagoya | 40 |
1 | Ito Hanako | Osaka | 50 |
RANK関数との違い
ROW_NUMBER以外に、RANK関数でSQLの結果セットに対し連番を振る方法があり、機能が似ています。
違いとしては….
ROW_NUMBER は同じパーティション内で、他の行と重複しない連番が振られます。それに対しRANK関数は、同じ値(同順位)の行には、同じ連番(順位)を付けます。
実際にSQLを作って違いを見てみましょう。
以下の例は、ユーザー毎のScore(点数)の順位を、ROW_NUMBERとRANKでそれぞれ求める例です。
SELECT
Name
, Score
, ROW_NUMBER() OVER(ORDER BY Score DESC) Rank
, ROW_NUMBER() OVER(ORDER BY Score DESC) Num
FROM scores
実行結果
Name | Score | Rank | NUm |
---|---|---|---|
Yamada Taro | 100 | 1 | 1 |
Suzuki Ichiro | 90 | 2 | 2 |
Sato Taro | 90 | 2 | 3 |
Tanaka Jiro | 80 | 4 | 4 |
Ito Hanako | 80 | 4 | 5 |
上の結果のように、90点と80点のユーザーにはRank関数では同じ連番(順位)が割り振られ、ROW_NUMBERのほうは、他の行と重複しない一意な連番が振られていることが分かります。
【関連記事】
▶【SQL】データを順位づけするRANK関数の使い方を解説
ROW_NUMBERが使用できるデータベース
リレーショナルデータベース(RDB)には、Oracle、SQL Serverなどの有償製品や、MySQL、PostgreSQLなどの無償のものまで、さまざまな種類があり、RDB毎に使用できる構文や関数に違いがあります。
以下は、ROW_NUMBER関数が使えるリレーショナルデータベース(RDB)のリストです。ROW_NUBERは「MySQL」を除いて、主要なRDB製品で使えます。
- Oracle
- SQL Server
- PostgreSQL
MySQLではROW_NUMBERが使えない
前述のように、MySQLではROW_NUBER関数が使えません。
ROW_NUMBER関数と同じことをMySQLで実装する場合は「ユーザ定義変数」を使用します。
MySQLの「ユーザ定義変数」とは
「ユーザ定義変数」とは、MySQLのセッション上に定義する変数で、ステートメント内で「ユーザ定義変数」に値を格納し、あとから別のステートメントで「ユーザ定義変数」の値を参照できます。
複数のSQL間での値の受け渡しや、連番を振る時などに使用します。
サンプルコード
次のSQLは、usersテーブルの年齢(age)の昇順に連番を振る例です。
ポイントは、最初の行でユーザ定義変数@rownumを宣言し、SELECT文の中で@rownumを1ずつ加算しながら結果を取得していることです。
また、年齢(age)の昇順で連番を振るためORDER BY Ageでレコードをソートしています。
SET @rownum=0;
SELECT
@rownum:=@rownum+1 as ROW_NUMBER
, Name
, Age
FROM users
ORDER BY Age
実行結果
Num | Name | Age |
---|---|---|
1 | Yamada Taro | 10 |
2 | Suzuki Ichiro | 20 |
3 | Sato Taro | 30 |
4 | Tanaka Jiro | 40 |
5 | Ito Hanako | 40 |
さいごに
SQLのROW_NUMBER関数で、SELECT文の結果セットに対して、連番を振る方法を解説してきました。
ROW_NUMBER関数は、例えばWebサイトで20ずつデータを表示するようなケースや、SELECT文で取得した結果に順位(連番)をつけたい時など、さまざまなシーンで活用できます。是非この機会に覚えておきましょう。
- ROW_NUMBERはSELECT文の結果セットに対して1〜の連番を振る関数
- 連番はソートカラムで指定した順番に振られる
- パーティションカラムを指定すると、グループ単位に連番を振る
- RANK関数は同じ値の場合、同じ連番(順位)が設定され、ROW_NUMBERは必ず重複しない連番になる
- ROW_NUMBERは「Oracle」「SQL Server」「PostgreSQL」で使える
- 「MySQL」ではユーザ定義変数で連番を振る
「ユーザ定義変数」はMySQLのセッション上に定義する変数のため、他のセッション、ユーザーからは参照できません。
セッションを閉じると「ユーザ定義変数」は自動的に開放されます。