プログラム言語C++は、1980年代に登場して以降、今までずっと人気のプログラム言語だとご存じでしょうか。C++で開発したプログラムは処理速度が速く、また、大規模なソフトウェアの開発にも使えます。
しかし、難しいプログラム言語としても知られています。このようなC++について、その特徴やどのようなプログラムが作れるか、また、なぜ難しいかについて紹介します。
C++とは
今、人気があるプログラム言語としては、C++の他にJavaやPHPが挙げられますが、これらのプログラム言語の文法は、C言語の文法を基に作られています。そして、C++は、このC言語に機能を追加したプログラム言語です。
なお、C言語は、1972年に開発されたかなり古いプログラム言語で、当時開発中だったUNIXというOS上で動作するアプリケーションを効率良く作るために作られた作られてプログラム言語でした。しかし、開発に使った当時のコンピュータに搭載されたCPUの命令をベースに作られているため、今では効率よく開発できるプログラム言語とは言えません。
C言語が普及した1980年代は、ちょうどソフトウェア産業が発展した時期であり、拡大するプログラムの量が問題になっていました。そのため、C言語を改良して効率良く開発できるようにしたのがC++です。
ここでは、以下のC++の特徴について解説します。
- C++はコンパイル型
- 難しい言語としても有名
- C++で作れるプログラムとは
C++はコンパイル型
プログラム言語には、アプリケーションがプログラムを解析しながら処理するインタプリタ型と、コンピュータの命令に変換して実行するコンパイラ型があります。それぞれ、メリットとデメリットがありますが、今回紹介しているC++はコンパイル型です。
なお、コンパイル型は、コンピュータの命令に変換する手間がかかり、専用の開発環境が必要です。この開発環境を準備するには手間がかかりますが、一度作ってしまえば長く使えるのも特徴です。また、コンパイル型はコンピュータの性能を100%引き出せるプログラムが作れるうえ、プログラムのサイズが最小限で済むのもメリットです。他にも、コンパイル型のメリットがありますが、C++はそのメリットを最大限に活用できます。
難しい言語としても有名
C++は、大規模なソフトウェア開発にも対応でき、しかもコンピュータの能力をフルに引き出せるプログラム言語です。しかし、そのメリットを最大限に引き出すことは、プログラマーにとって簡単な作業ではありません。さらに、これからプログラミングを学ぶ方にとっては、かなり難しい言語と言えるでしょう。
C++で作れるプログラムとは
C++が得意とする分野は、その処理職度の速さから、ゲームが挙げられます。また、利用者が多い大規模なシステムは、そのレスポンスが問題になることがありますが、これも処理速度の速いC++が向いています。
また、C++は、パソコンにインストールして使うパッケージソフトとして販売されている、業務用アプリケーションの開発にも使われます。ただし、スマホ向けのアプリケーションは、iPhoneならObjective-C、AndroidならJavaと決められているので、C++は使いません。
さらに、最近、マイコンと様々なセンサーを搭載し、インターネットに接続する機器を活用するIoTの利用が拡大していまが、このようなIoT向けのソフトウェアの開発もC++が向いている分野です。それは、C++にはコンパイラさえあれば、どんなCPU向けのソフトウェアでも開発できるので、家電製品に組み込まれるような小さなマイコンから、車の自動運転をサポートする高機能なマイコンといった広い分野で利用できます。
C++が古いにもかかわらず人気の理由
C++は、登場以来、人気の高いプログラム言語として、長くプログラマーから支持されており、今でも様々なソフトウェア開発に利用されています。
- 処理速度が速い
- 各種デバイスを直接操作できる
- 汎用性が高い
- 将来も需要が多い
C++が人気なのは、他のプログラム言語には無い上記のような魅力があるからです。ここではC++の魅力について解説します。
処理速度が速い
先ほど、C++がコンパイル型で、コンピュータの性能を100%引き出せるプログラムが作れると解説しましたが、その効果が実感できるのが処理速度です。他のプログラム言語の仕組みでは、これだけの処理速度のソフトウェアを作れません。
なお、C++のコンパイルの方式は、人が読めるプログラムをコンピュータの命令に直接変換します。そのため、C++によって作られたプログラムは、コンピュータ本来の処理速度での実行が可能です。
また、コンピュータの処理は、メモリ上の特定のアドレスからデータをCPUに転送し、それを使って演算し、演算結果を特定のメモリーに格納する、といった動作を基本にプログラムを実行しています。そして、C++は、このような処理をポインターを使うことで、効率良く実行するプログラムを作成できます。
C++はコンパイル型であり、しかもポインターが使えることで、最速で実行できる点が特徴です。ポインターは、C++でも難しい機能の一つですが、ぜひ、マスターしましょう。
各種デバイスを直接操作できる
今のコンピュータには、幾つもの専用ハードウェアが付属していますが、それらを活用したアプリケーションの開発にもC++が欠かせません。これは、C++が、ハードウェアを直接操作するプログラムの開発や、そういったハードウェア専用に作られたライブラリの組み込みに適したプログラム言語だというのが理由です。
例えば、ゲームを開発するなら、グラフィック処理を担当するGPUを制御するライブラリの活用が欠かせません。GPUと通信する処理は、ハードウェアを直接操作する処理なので、C言語またはC++が適しています。そして、そうやって作られたライブラリを使うとしたら、C++が適している訳です。
ただし、コンピュータに組み込まれたハードウェアの性能をフルに引き出すには、それらの仕様や特性を詳しく知ったうえで、プログラムを作れなければなりません。そのため、C++で活躍できるプログラマーになるには、プログラミングのスキルはもちろん、そのプログラムで制御するハードウェアに関する知識など、自分が扱う分野に関する幅広い知識が求められます。
汎用性が高い
先ほど紹介したように、C++は家電製品に使われる小さなマイコン用のアプリケーションから、スーパーコンピュータで使われる特殊な計算プログラムなど、幅広く使われています。これは、他のプログラム言語では、それを実行するための環境が必要なのに対し、C++ならそういった環境が要らないアプリケーションが作れるからです。
これは、C++のプログラムは、コンパイラと呼ばれる仕組みを使い、人が見て理解できるプログラムを、CPUの命令に変換するからで、CPUに合わせたコンパイラさえ作れっておけば、どんなCPU向けのプログラムでも作れます。そのため、パソコンで実行するコンパイラで、家電製品向けのマイコン用のアプリケーションを作ることも可能です。
また、C++で作ったアプリケーションの処理速度が速いことから、処理速度を改善にも使われます。例えば、当初は開発期間を優先してRubyなどのスクリプト言語で開発したシステムを、処理速度を改善するためにC++のプログラムで作り直すことも行われています。このような汎用性の高さも、C++の魅力の一つです。
将来も需要が多いのが魅力
今後、C++仕事や求人はありますか?
あります。C++は将来性のある言語と言えます。
今広く使われているプログラミング言語が、この先何年も使われるとは限りません。それは、開発効率を改善するプログラム言語が毎年のように提案されており、GoogleやApple、Microsoftなど、今のソフトウェア産業を牽引する世界的なIT企業がそういった新しいプログラム言語を積極的に採用しているからです。そのため、短い期間にそういった新しいプログラム言語が普及するかもしれません。
しかし、C言語とC++は、OSやライブラリなど今のIT技術を支えるソフトウェアの開発にも使われています。さらに、処理速度を優先するアプリケーションには、CPUを直接操作でき、大規模なソフトウェアの開発にも使えるC++が欠かせません。そのため、C++は、置き換えが不可能なプログラム言語として、将来も需要が見込まれています。
そしてC++は習得が難しいことから、ベテランのC++プログラマーが常に不足しています。また、C++をマスターすれば、他のプログラム言語の習得が難しくありません。将来も活躍できるプログラマーを目指すなら、ぜひ、C++を学習しましょう。
C++の習得が難しいのはなぜ?
プログラム言語を学習するうえで、初心者が最初に苦労するのがプログラムを作ったり、実行するための環境の準備です。JavaScriptのように、Webブラウザとメモ帳があれば学習を始められるプログラム言語もありますが、C++はそうはいきません。プロが使っている統合開発環境やC++のコンパイラー、標準ライブラリなどを準備しないと学習をはじめられません。
そして、開発環境の構築がうまくいかないと、それが原因でC++の学習に挫折してしまいます。そのため、あなたがプログラム初心者なら、C++の学習を独学で初めてはいけません。ぜひ、C++の開発に慣れた方に開発環境の準備をサポートしてもらってください。
なお、C++の開発にはWindowsパソコンを使うケースがほとんどですが、環境設定に手間がかかります。Macの方が比較的プログラム開発に向いています。学習に使うパソコンについても詳しい方と相談しましょう。
- エラーカ所を見つけにくい
- ポインターが難しい
- オブジェクト指向が理解できない
リストで記述すると上記のように表示されます。
エラー箇所を見つけにくい
作文を書いた後、読み直してみると誤字や間違いが見つかります。プログラムを書いた場合も、間違いが全く無い、ということはありません。しかし、日本語で書かれた文章なら読み慣れているので、すぐに間違いが見つかりますが、アルファベットと数字で書かれた見慣れないプログラムの中から、間違いを見つけるのは大変なことです。
C++に限らず、初心者が陥りやすいのが、プログラムのエラー箇所を見つけられない事態です。しかし、そういったミスは、経験者なら簡単に見つけられます。そのため、最初のうちは、経験者にエラーを見てもらって、その探し方を教わりましょう。
なお、C++では、()や{}がよく使われますが、何度も書き直していると、(の数に対して)の数が足りなくなり、コンパイルエラーになります。また、コピペした後、;を付け忘れると、関係ない行がエラーと表示されることもあります。エラーになるのは、こういった簡単なことです。一人え悩まずに、詳しい人に見てもらいましょう。
また、先ほど紹介したプロが使っているような統合開発環境があれば、入力時に文法チェックもやってくれるので、ミスを減らせます。ぜひ、活用してください。
ポインターが難しい
C++とそのベースになったC言語で難しいと言われているのがポインターです。なお、ポインターとは、コンピュータに搭載されたメモリーのアドレスを指す変数です。そして、CPUの命令ではアドレスを使うので、C言語やC++は、CPUの命令に近いプログラム言語という意味で、低水準言語とも言われます。
なお、今使われているプログラム言語は、人が理解しやすい処理を、CPUが実行する処理に自動的に変換しており、プログラマーがCPUの動作を意識することはありません。しかし、ポインターを使う場合は、CPUの動作を意識しなければなりません。つまり、CPUの動作を理解できなければ、ポインターは使えません。
さらに、メモリーのアドレスを直接操作できるということは、正しく使わないとシステムの誤動作を引き起こします。この誤動作は、プログラムしたアプリケーションが途中で止まる他、OSが停止してしまうこともあり、かなり危険な場合もありです。中途半端な知識で使うと危険だ、という認識で使いましょう。
オブジェクト指向を理解できない
増え続けるソフトウェアの需要が問題になった1980年代に、プログラムを再利用する仕組みとして、オブジェクト指向のプログラム言語が注目されました。つまり、オブジェクト指向とは、プログラムの再利用を促し、新しく作るプログラムを少なくできる方法です。
残念ながらオブジェクト指向の考え方は簡単ではありません。解説した本やWebページがたくさんありますが、プログラム初心者がそれを読んだだけでは、理解できないと考えてよいでしょう。そして、このオブジェクト指向も、C++の学習に挫折する原因の1つです。
オブジェクト指向では、独特の言葉が使われており、初心者にとってはハードルが高いと感じるかもしれません。なお、オブジェクト指向のプログラム言語の中で、習得しやすい言語として有名なのはrubyです。そのため、rubyでオブジェクト指向の基本を学んでから、C++のオブジェクト指向にチャレンジすると、理解しやすいでしょう。
まとめ
C++は、今使われているプログラム言語の多くがその文法や考え方を参考にている、比較的古い言語です。そのため、C++をマスターしておけば、他のプログラム言語に移るのは難しくありません。
しかし、C++は、習得するのが難しいプログラム言語で有名です。そのため、多くの方が学習の途中で挫折しています。何の準備もなく、気軽に一人で始めてはいけません。学習をサポートしてくれる方が身近にいる環境で始めてください。
そして、C++は、今のIT業界では欠かせないプログラム言語であり、将来も需要が見込まれるプログラム言語です。習得するのは大変ですが、習得できれば活躍できるプログラマーになれるプログラム言語です。ぜひ、一目置かれるC++プログラマーを目指しましょう。
C++の難しいポイントは、「ポインター」と「オブジェクト指向」です。簡単に理解できるものではありませんが、プログラムを作る中で身に付いていきます。