Javaでアプリ開発を行う際、近年ではフレームワークの利用が必須と言っても過言ではないほど、多くのアプリ開発で利用されています。
本記事では、初心者Javaプログラマー向けにフレームワークとは何かといった概要から人気フレームワーク5つの特徴を比較してご紹介していきます。
Javaにおけるフレームワークとは
フレームワークとは、開発作業を効率化させるための機能(ソフトウェア)をまとめたパッケージです。
クラスやライブラリ・APIなどのソフトウェアの他、アーキテクチャのテンプレートや機能追加を行うための仕様などが含まれます。
メリット
フレームワークを利用することで、提供された機能をそのまま利用したり追加して開発を進めることにより、既にテストされた半完成品とも呼べるソフトウェアを再利用することが出来るため、開発工数を大幅に減らすことが可能となります。
またフレームワークには、テンプレートとも呼べるアーキテクチャや仕様のルールが存在するため、チーム開発においてもある程度の規約に沿った開発を進めることが可能です。
セキュリティ面においても、フレームワーク内で対策されている部分も多く、1から対策を行うよりも遥かに効率的な開発が見込めます。
デメリット
反対にフレームワークを利用することで、1から開発する状況に比べるとある程度の開発制限が掛かってしまいます。
メリットで紹介したテンプレートやルールが、そのまま制約にも繋がってしまう可能性がある点には注意が必要です。
またフレームワーク毎に特色が異なるため、学習コストがある程度掛かってしまう点も考慮しておく必要があります。
Javaの人気フレームワーク5選
Javaではいくつものフレームワークが提供されていますが、なかでも知名度・人気共に高い5つのフレームワークについて、概要と特徴を比較していきたいと思います。
Spring Framework
近年のJavaアプリ開発では、積極的に採用されることの多いフレームワークとしてSpring Frameworkの存在が挙げられます。
依存性注入(DI)やアスペクト指向プログラミング(AOP)といった仕組みが組み込まれており、システム開発や改修を効率的に行えるようになっています。
Webサービス開発はもちろん、クラウドやモバイルといったシステム開発にも活用出来る流用性の高さが人気です。
Spring Frameworkは、後述するSpring Bootを含む複数のフレームワークの集合で、機能の使い分けが難しいフレームワークでもあります。
Spring Boot
Spring Bootでは、複数のフレームワークを使い分けることが難しかったSpring Frameworkの欠点を補うべく、Bean定義などを自動設定出来る機能が備えられたフレームワークです。
Spring MVCと呼ばれるアーキテクチャが採用されており、他にもアノテーションでの記述によりコーディング無しでの処理の実現などの機能が盛り込まれています。
Spring Bootを利用することで、アプリケーションを手軽に開発することが出来るため、小中規模のプロジェクトを中心に人気のフレームワークです。
Play Framework
JavaとScalaでのWebシステム開発用に作成されたのが、「Play Framework」です。
Rubyのデファクトスタンダードともいえる「Ruby on Rails」や、Pythonの「Django」などに影響を受けたフレームワークとされ仕組みが非常に似ています。
Javaフレームワークの中でも軽量フレームワークの位置づけとされており、学習コストが低く済むのも人気の理由です。
JSF
JSFは、JavaServer Facesの略称で、Java EEに標準搭載されているフレームワークです。
Javaの開発元であるオラクル社からのサポートも受けられ、Java EE標準で備わっていることから外部フレームワークを取り込む必要がないため、利用者の多いフレームワークの1つです。
似た名前で「Java Server Pages(JSP)」と呼ばれる、WebページにJavaプログラムを埋め込む言語が存在しますが、デザインと処理が1つのファイルにまとまっており読みにくいとの印象を受ける方も多く、JSPの欠点を改良し整理したコードを記述出来るように作成されたのがJSFです。
Struts
Spring Frameworkが登場する以前のJavaフレームワークのデファクトスタンダードと言えたのが「Struts」です。
MVCと呼ばれる「Model」「View」「Contoroller」を切り分けることで、分業がしやすくなるアーキテクチャの先駆け的存在です。
またバリデーション機能が備えられているため、チェック処理を独自に実装する手間が省ける点も大きな特徴の1つです。
Java開発でフレームワークの選び方
ここまで列挙した用にJava開発用フレームワークは数多く提供されています。
どのような基準で選択すれば良いのかについても確認しておきましょう。
作成するアプリの種類
Javaのフレームワークと一括で表現しても、それぞれのフレームワークに得意とする分野や専門とする分野があります。
これから作成したいアプリがWebアプリなのかデスクトップアプリなのか、またはモバイルアプリなのかといった種類を確定させた上でフレームワークの選択を行うようにしましょう。
例えば、小規模Webアプリをアジャイル開発で作成したい場合には、Play Frameworkなどが候補としてあげられます。
開発規模
チームでのアプリ開発を行う上で、開発に携わる人数やスケジュール感といった開発規模もフレームワークを選択する上での重要な要素です。
例えば、大規模で堅牢なシステムを作成したい場合にはSpring Frameworkなどが候補としてあがりますが、個人で小規模アプリを開発するのであればSpring FrameworkよりもSpring Bootを使えないかなどの検討が必要となってきます。
フレームワークを導入するのにもコストが掛かりますので、過剰な機能を持ったフレームワークを無理に導入しないことも大切です。
フレームワークの実績
実務でアプリ開発を行う際には特に意識しておきたいポイントとして、フレームワークに実績があるのかも非常に重要です。
フレームワークの実績が少ないと、思わぬバグが潜んでいたり、インターネット上の情報が少なく調査が難航するなどの問題が起きる可能性も否定出来ません。
上述した人気フレームワークはどれも実績のあるフレームワークではありますが、新しいフレームワークを導入する場合などにはより慎重な検討が必要です。
将来性
フレームワークは、プログラミング言語に比べて移り変わりが激しいため、将来的に利用されていく技術かの見極めも大切になります。
過去に人気のあったフレームワークでも、近年の需要が減少しているのであれば将来的にも利用プロジェクトは減る傾向が予想されますので、他のフレームワークで代用出来ないかを検討してみるべきでしょう。
またトレンドで急激に伸びているフレームワークの場合、何か1つの不具合などで急速に利用されなくなる可能性もありますので、安定性を加味した上で選別する必要があります。
さいごに: Javaのフレームワークを活用してアプリ開発を効率化させよう
本記事では、Javaのフレームワークに関して、基本的な知識から人気フレームワークそれぞれの特徴についてご紹介してきました。
適切なフレームワークの選定まで出来るようになると個人・チーム問わず開発を効率化させることが出来ます。
フレームワークの選別は、初心者の方には機会も少なく難しい分野でもありますが、人気フレームワークの特徴だけでもしっかりと把握しておきましょう。
フレームワークの選択は多種多様なので、一例として参考にしてみてください。