Java のスキルを証明する資格とは?
Java のスキルを証明する資格で、もっともメジャーなのが、Java の開発元である Oracle 社が提供している Oracle 認定 Java プログラマ試験です。
Oracle 認定 Javaプログラマ試験には、次の3つのレベルの試験が用意されており、上から順に難易度が上がっていきます。
- Java Bronze (ブロンズ)
- Java Silver (シルバー)
- Java Gold (ゴールド)
それぞれのレベルの試験の、概要や出題範囲、模擬問題について紹介します。
Java Bronze (ブロンズ)
Java Bronze は、Oracle 認定 Java プログラマ試験の中で、もっとも難易度が低い試験です。
Java 未経験者でも比較的、取得しやすいレベルの入門資格で、合格までの学習時間は50時間ほど言われています。Bronzeは、唯一自宅でオンライン受験が可能になっており、日程や時間を自分の好きなタイミングで選択できます。
試験会場、受験料、合格ライン
Bronze の試験日程、受験料、出題数などは次のとおりです。
- 日程:随時(試験センターで受験する場合は、会場の営業日)
- 試験時間:65 分
- 出題数: 60 問
- 合格ライン: 60 %
- 出題形式:選択問題
- 受験料:¥15,000(税抜)
Java Bronze 試験の出題範囲
Bronze 試験の出題範囲は次のとおりで、基本的には、Java の基礎知識を問う問題が出題されます。
- Java言語のプログラムの流れ
- データの宣言と使用
- 演算子と分岐文
- ループ文
- オブジェクト指向コンセプト
- クラス定義とオブジェクトの生成、使用
- 継承とポリモーフィズム
出典: Java SE Bronze (Available only in Japan) 試験番号: 1Z0-818
サンプル
Bronze 試験の模擬問題をいくつか紹介します。
1つ目は、データの宣言と使用に関する問題です。以下の4つの選択肢から、Java に関する説明として正しいものを2つ選択してください。
- すべての変数は、型の宣言をしなければならない
- すべての式は、型を持たない
- 式の型はコンパイル時に解釈される
- 実行時にエラーを発生させることで、型の整合性を確認する
答えは分かりましたか?
正解は「1」と「3」 です。
プログラミング言語には、変数の型を静的に型付けする言語と、実行時に動的型付けする言語が存在します。Java は静的型付け言語に該当するため、コンパイル時に変数の型が決定し、例えば String 型の変数に int 型の値を直接代入できないなど、厳密に型のチェックが行われます。
2つ目 は、デフォルトコンストラクタに関する問題です。
次のコードを見て、このプログラムを実行したときの結果を解答してください。
public class Main{
public static void maim(String[] args){
Person p = new Person();
p.setName("Foo");
p.printName();
}
}
class Person{
private String name;
public Person(String name){
this.name = name;
}
public void setName(String name){
this.name = name;
}
public void printName(){
System.out.println(name);
}
}
- 何も表示されない
- 実行時に例外が発生する
- Foo と表示される
- コンパイルエラーになる
答えは分かりましたか?
正解は「4」です。
この問題はデフォルトコンストラクタに関する問題です。デフォルトコンストラクタは、クラスにコンストラクタが定義されていない時、引数なしのコンストラクタが自動生成されます。
しかし、上のプログラムには引数を1つ受け取るコンストラクタが存在しているため、デフォルトコンストラクタは生成されません。
つまり、Person クラスのコンストラクタを引数なしで呼ぶことはできないため、コンパイル時にエラーとなります。
このように少し、ひっかけのような問題も Oracle 認定 Java プログラマ試験では出題されるため、問題文やコードをしっかり読み込む必要があります。
Java Silver (シルバー)
Java Silver 資格は、Java アプリケーション開発に必要な基本的な知識と、上級者の指導のもとで開発作業を行うことができるスキルを証明します。また、さまざまな状況への対応する力を有していることを評価することも目的としています。
Bronze 資格は日本のみ実施されている資格ですが、Silver 以上のランクはグローバルな資格であるため、海外に行った時にも役立つ資格です。
受験料、合格ラインなど
Java Silver の試験日程、受験料、出題数などは次のとおりです。
- 日程:全国のテストセンターで随時実施
- 試験時間:180 分
- 出題数: 80 問
- 合格ライン: 63 %
- 出題形式:選択問題
- 受験料:¥26,600(税抜)
Java Silver 試験の出題範囲
Silver 試験の出題範囲は次のとおりで、Java の幅広い範囲で基礎知識を問う問題が出題されます。
- Javaテクノロジと開発環境についての理解
- 簡単なJavaプログラムの作成
- Javaの基本データ型と文字列の操作
- 演算子と制御構造
- 配列の操作
- クラスの宣言とインスタンスの使用
- メソッドの作成と使用
- カプセル化の適用
- 継承による実装の再利用
- インタフェースによる抽象化
- 例外処理
- モジュール・システム
出典: Java SE 11 Programmer I (1Z0-815-JPN) 試験
このように、Bronze 試験に比べ、Silver は難易度も上がり、さらに出題範囲も広がるため、単純に過去問題をこなす試験対策だけでなく、Java プログラミングの基本的な理解が必要です。
それぞれの出題ポイントについて解説します。また、本サイトでも各ポイントの解説記事を載せているため、リンクも合わせて載せておきます。
Javaテクノロジと開発環境についての理解
Java の基本として、JVM、JDK、JRE の違いについて理解が必要です。
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▶Javaのバージョンの違いとは?JDK、JRE、JVMって何?の疑問を解決
Javaの基本データ型と文字列の操作
プリミティブ型と参照型の違いや、配列や文字列の操作について理解が必要です。
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▶【Java】データ型に関する基礎知識 基本型と参照型を把握しよう
演算子と制御構造
比較演算子、算術演算子、if や while、for などの制御構文について理解が必要です。
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▶Javaの比較演算子を使って値を比較するコードを書いてみよう
配列の操作
複数の値ととりまとめて扱う配列についての理解をしましょう。
【関連記事】
▶【Java入門】配列と初期化について
メソッドの作成と使用
メソッドの作成に関する基本や、static メソッド、非 static メソッドの違い、メソッドのオーバーロード、オーバーライドなどのについての、基本的な理解を深めておく必要があります。
【関連記事】
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▶Javaのvoidメソッドとは?メソッド戻り値の定義方法を学ぶ
継承による実装の再利用
クラスの継承は、オブジェクト指向のプログラミング言語において、非常に重要な概念で、これを活用せずに、効率のよいプログラムを作成することは不可能と言っていいでしょう。
試験問題にも、継承関連の問題は必ずと言っていいほど出題されるため、理解しておきましょう。
【関連記事】
▶【Java】継承でメソッドを有効活用!オーバーライドについての解説
例外処理
Java の例外は、検証例外と、非検証例外の2つに大別されます。
これらの違いや、try-catch による例外処理などを理解しておく必要があります。
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▶Javaのエラー(例外)処理とは Exceptionの使い方
モジュール・システム
モジュールとはJavaのパッケージやリソースをモジュールという単位にまとめたものです。モジュールが、他のモジュールをどのように使うか、どのパッケージを他のモジュールから見えるようにするのかを制御する仕組みです。
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▶Java9の新機能と目玉機能のモジュールシステムを理解しよう
まとめ
Java のスキルを証明する、Oracle 認定 Java プログラマ試験の概要や、出題される範囲のポイントを解説してきました。
時にはひっかけのような問題も出題されるため、事前に準備をして挑みましょう。
Java Silver 以上の資格となると、受験料が高額になってきます。しっかり準備をして一発合格したいところですが、もし、不合格になった場合でも、タイミングによっては再試験が無料になるキャンペーンを行なっている時があります。キャンペーンで再試験を無料にするためには、プロモーションコードを受験チケット購入時に入力する必要があります。
一発合格できるか不安であれば、こうしたキャンペーンが実施されている時に受験するのも、1つの方法です。