Rubyに限らずプログラムを書くためにテキストエディタを利用できます。なおテキストエディタとは、キーボードからアルファベットや文字を入力して、ファイルを作成するためのエディタですが、プログラム作成に使う場合、何でもいいというものではありません。
プログラムを効率的に編集するためには書いたコードが見やすく、操作しやすいテキストエディタが必要です。今回はRubyのプログラムを書くのに適したテキストエディタについて紹介します。
プログラミングで使われるテキストエディタとは
プログラマーの仕事とはプログラムを書くことです。そしてプログラムはテキストエディタでも入力できます。さらにプログラマーが仕様に基づいたプログラムコードをストレスなく書くためには、使いやすいテキストエディタが求められます。
まずはプログラミングで使われるテキストエディタに、どのような機能が求められるかを紹介します。
テキストエディタを使うメリット
プログラムを書くためには何らかのエディタが必要です。よく大規模なシステム開発などでは統合開発環境(IDE)が使われており、これにはエディタが付属しています。また、テキストエディタを使うプロのプログラマーもたくさんいます。これはテキストエディタを使うメリットがあるからです。
テキストエディタのメリットとしてよく挙げられるのが、起動が速くメモリー消費量が少ない点です。今編集しているプログラムコードの他、使っているクラスを記述したコードや、その処理を呼び出すコードなど、関係するファイルを幾つも並べて参照しながら編集できます。
そしてRubyによるプログラミングでは、このような使い方をする方がテキストエディタを利用しています。
統合開発環境(IDE)のメリットとデメリット
プログラム開発とはプログラムを書く作業だけではありません。プログラムを効率よくデバックできる環境が求められます。それを実現できるツールが統合開発環境(IDE)です。きちんと設定された統合開発環境(IDE)を用い、その操作に慣れているプログラマーが使えば、効率的なプログラミングが可能です。
ただし多機能な統合開発環境(IDE)は、パソコンのリソースをたくさん必要とします。そのため起動に時間がかかるうえ、スペックの低いパソコンでは快適に使用できません。支給された低スペックのパソコンでの使用を求められ、使いにくいと感じている方もいます。
新世代のテキストエディタも
テキストエディタの中には、何十年も開発が続けられており、そのような昔から使われているテキストエディタを愛用しているベテランエンジニアもいます。
例えば、macOSやLinuxのターミナルで使える標準のテキストエディタ「vim」は、1976年に登場したUNIX用のテキストエデフィタ「vi」をベースにして改良されたきたエディタです。ほかにも20年以上使われているテキストエディタが幾つもあります。
なお、今使われているテキストエディタは、そのような古くから使われているツールばかりではありません。最近登場した使い易い新世代のテキストエディタも幾つもあります。
Rubyのプログラミングで使い易いテキストエディタを探してみようと考えている方は、ぜひ、このような新世代のテキストエディタにも関心を持ってください。
テキストエディタに求められる機能
Windowsに付属するメモ帳もテキストエディタですが、メモ帳でRubyのプログラムを書いている方はいません。メモ帳でプログラムを書くには機能が不足しており、使い難いのが原因です。では、プログラミングに求められるテキストエディタに求められる機能とは何でしょうか。
次からテキストエディタに求められる機能について紹介します。
コードが見やすい工夫
Rubyのプログラムを編集する場合、文字の色が全て同じよりもメソッド名やオブジェクト名などに色が付いていると読みやすくなります。さらにコメントの色がプログラムコードと違っていれば、コメントを参考にプログラムを追うのにも便利です。
なお最近使われているテキストエディタは、プログラム言語に合わせて色を変えるシンタックスハイライト機能が組み込まれています。Rubyの編集にテキストエディタを利用するなら、Rubyに合わせて文字の色を変える機能を活用してください。
編集しやすい工夫
Rubyに限らずプログラムの中では文字を記号で囲む書き方がよく使われます。例えば配列を宣言する場合、[から]までといった具合です。さらにRubyでは、do~endで囲むブロックもよく使われます。
そして[やdoに対応する]やendを入れ忘れる単純なエラーをよくやりがちです。そこでエディタにRubyの文法チェック機能を搭載し、[やdoに対応する]またはendを自動挿入したり、編集途中で警告してくれる機能があるとミスによる無駄なデバックを減らせます。
テキストエディタの中には、拡張機能を利用してRubyの文法チェックや自動入力機能が使えるものがあります。そのようなテキストエディタを選んでください。
プラスαな機能
今も開発が続けられているテキストエディタには便利な機能が幾つも付いています。例えば検索機能では、検索文字に正規表現が使えたり、該当する文字列を全てハイライトする、といった具合です。また、選択した行を全てコメントにしたり、インデントを自動調節する機能があると、プログラム中の手間を省けます。
このようなちょっとした機能が使えるだけで、プログラミングが格段にはかどります。プロの特徴は高機能なツールを使いこなすスキルを身に付けていることです。プロとしてRubyのプログラムを書くのなら、このような編集機能が豊富なテキストエディタを利用してください。
今の開発が続けられているテキストエディタの多くはプラグインとして機能を追加する仕組みを用意しています。プラグインを作るには高いプログラム能力が必要ですが、有志により多くのプラグインが公開されているので、用途に合わせて利用してください。
Rubyのプログラミングに向いたテキストエディタ
テキストエディタはコンピュータが普及しはじめた昔から使われているソフトウェアです。とはいえ、キーボードから文字を入力する機能は昔から変わりませんが、今のテキストエディタには先ほど紹介したようなプログラムを効率よく書ける機能が搭載されています。
そのようなテキストエディタの中でもRubyのプログラミングに向いているテキストエディタを紹介します。
- Visual Studio Code
Microsoft社製の使い易く高機能なテキストエディタ - Atom
GitHubが開発したプログラマー向けのテキストエディタ - vim
ターミナルから利用するLinux標準のテキストエディタ - さくらエディタ
日本語コードの全てに対応した定番のテキストエディタ
Visual Studio Code
Visual Studio Codeは、Microsoft社が開発した無料で利用できるテキストエディタです。Microsoft社のWindowsはもちろんmacOS版やLinux版もあり、使い易く多機能で、プラグインによる機能拡張にも対応しています。
なお、Microsoft社には.NET Frameworkを利用したソフトウェア開発で使われている統合開発環境(IDE)のVisual Studioがありますが、Visual Studio Codeは全く別のツールです。
Stack Overflowの2019年による調査によると、回答者の50.7%がVisual Studio Codeを利用しているなど、人気の高いテキストエディタです。
Atom
AtomはGitHubが開発した動作が軽快で機能が豊富な点が特徴のオープンソースのテキストエディターです。コード表示が見やすく、IDEのような自動補完機能があるなど高機能で、さらにパッケージ追加による機能拡張にも対応しています。
ただしベースが英語のテキストエディタのため、メニューなどを日本語で表示するには日本語パッケージを追加しなければなりません。なおWeb開発者向けの機能が充実しているテキストエディタのため、Ruby on RailsでWebシステムを開発しているプログラマーにおすすめのテキストエディタです。
vim
vimは、UNIXの標準テキストエディタだったviを発展させたLinuxのターミナル環境で使えるテキストエディタです。なおターミナルを使用するには全てキーボードで操作しなければなりません。vimはそのような環境でも使いやすい点が特徴です。
ただしその独特のキー操作に最初は使い難いと感じるかもしれません。しかし慣れれば使い易いテキストエディタです。また、ターミナルでしか接続できないクラウド上のLinuxサーバーでも利用できるなど、Webエンジニアなら使い方を習得しておきたいテキストエディタと言えます。
vimの元になったviは、Visual editorの最初の2文字、または、Visual Interfaceの略と言われています。それに対してvimは、viを超えるという意味でVi IMprovedの略だそうです。
さくらエディタ
さくらエディタは、20年以上の使われ続けている、日本で開発されたWindows向けのオープンソースのテキストエディタです。キーワードの強調表示や補完入力などの機能があり、プログラムの作成に使う方もいます。
また、過去に使用された日本語の文字コードに対応しているのが特徴で、WindowsとmacOSのどちらの改行コードにも対応しているなど、日本語の文字コードを扱う機能が充実しています。
よくベテランのエンジニアが使用している定番のテキストエディタですが、今も有志により開発が継続されており、新しい世代のテキストエディタと比べてもひけをとりません。
まとめ
これまで紹介したようにRubyのプログラムの編集にテキストエディタが利用できます。なおエンジニアに人気のテキストエディタは、軽快に使えるのに高機能で、さらに欲しい機能を追加することも可能です。
Rubyエンジニアとしてプログラム開発にかかわるなら、ぜひ、今回紹介したテキストエディタを利用してみてください。
今回4つのテキストエディタを紹介しますが、vimの元になったviが登場したのは1976年で40年以上前から使われています。また、さくらエディタも20年前から使われているエデフィタです。一方、Visual Studio Codeが公開されたのは2015年、Atomの公開は2014年です。