RubyはWebアプリの開発に向いているプログラミング言語ですが、Rubyの文法さえ習得すればWebシステムが作れるとは限りません。WebアプリはWebブラウザとサーバーが連携して動作しているシステムです。その仕組みを知らないと使いやすいWebアプリは作れません。
そこで今回はWebアプリの仕組みとRuby on Railsを利用するメリットについて紹介します。
Webアプリの基本
読みやすくシンプルなプログラムを記述できるRuby on Railsは、Webアプリの開発に使われることの多いフレームワークです。そしてWebアプリは今の生活に欠かせない仕組みです。まずはWebアプリの基本について解説します。
そもそもWebアプリとは
Webアプリとは、Webブラウザで実行するアプリをさす言葉です。Webブラウザで表示できるのは画像と文字だけのコンテンツだけはありません。サーバーを通信してインストールしたアプリのように動作するWebサイトがWebアプリです。
今はGoogle WorkspaceやMicrosoft 365などのように、表計算やワープロのようなアプリケーションをWebブラウザから利用できます。さらに、特定のサービスに特化したアプリケーションが幾つもWebブラウザから利用可能です。
ネイティブアプリとの違い
従来のアプリケーションは、CDなどのメディアやインターネットからプログラムをダウンロードしたインストールプログラムを実行し、インストールして利用します。そして、このようなアプリケーションはネイフィブアプリと呼ばれます。
Webアプリとネイティブアプリの違いは、Webアプリが表示のみWebブラウザの機能を利用し、それ以外をWebサーバーで実行しているのに対し、ネイティブアプリはOSの機能を利用して実行する点です。そのためネイティブアプリは自由度が高く、高機能なアプリケーションを作れます。しかし、手間がかかることから開発コストが高く、簡単に開発できません。
一方Webアプリは、やれる機能が制限されるものの、短期間で開発できるのがメリットです。
Webアプリ開発の問題点
先ほど紹介したように、Webアプリのメリットは短期間で開発できる点です。少人数でもサービスを短期間で公開でき、クラウドを活用すれば多くの人に使ってもらえます。そのため公開したWebアプリが人気となり、急成長しているスタートアップが幾つもあります。
ただし良いことだけではありません。WebアプリはWebブラウザで動作するフロントエンド側のプログラムと、クラウド上のサーバーで動作するバックエンド側のプログラムをうまく連携しなければならず、開発に関わるエンジニアにはWebシステムに関する広いITの知識が求められます。
WebアプリをRuby on Railsで作るには
先ほど紹介したようにWebアプリはWebブラウザで使えるアプリケーションです。そしてWebアプリで扱うデータの計算や保存はサーバー側で実行しますが、その処理にはRuby on Railsなどを利用した仕組みが使われます。
しかし、今のWebアプリはサーバー側の仕組みだけでは不十分です。Webブラウザでアプリケーションとして求められる機能を作るには、Webブラウザの性能を引き出す仕組みも必要です。
次からWebアプリに求められる機能と、Ruby on Railsとの関係について解説します。
処理の中心はバックエンド
WebアプリはWebブラウザから利用しますが、Webブラウザは元々インターネット上のコンテンツを表示するためのアプリケーションです。Webブラウザの機能とは、指定されたURLのWebサーバーからコンテンツをダウンロードし、それを表示することです。
とはいえ最近のWebブラウザは高機能になっており、コンテンツのダウンロードのタイミング以外にもWebサーバーと通信し、表示しているコンテンツを書き換えることで、まるでインストールしたアプリケーションのように動作します。
そのため、Webブラウザは、人が操作する画面の表示と入力された情報をサーバーに送ったり、サーバーで処理した結果を受け取ります。しかし、処理の中心はWebブラウザからデータを受け取り、また書き換えるデータをWebブラウザに送るサーバー側のバックエンドのプログラムです。
Ruby on Railsで作られるプログラムは、そのようなバックエンドの処理を担当します。
人が操作するフロントエンドは使い易さがポイント
どんなに優れた機能を持つプログラムでも、それが使い難いようでは誰も使いません。多くの人に使ってもらうためには、使い易いアプリケーションでなければなりません。そのためフロントエンド側にはWebブラウザのコンテンツのデザインが重要で、さらにコンテンツを書き換えるJavaScriptのフレームワークも利用します。
さらにフロントエンドのプログラムには、サーバー側のプログラムとデータをやり取りする仕組みも必要です。そのためRuby on Railsでバックエンド側のプログラムを作った場合、フロントエンド側と密接に連携する仕組みの検討も求められます。
代表的なJavaScriptのフレームワーク
- React
- Angular
- Vue
- jQuery
- Backbone
Webアプリを支えるインフラの配慮も
パソコンなどにインストールして使えるアプリケーションは、パソコン内で完結して動作するので、処理速度はパソコンの性能により決まります。しかしWebアプリは、表示とデータ処理を別のコンピュータが担当しており、さらにインターネットで接続しているので、処理速度はそれぞれの性能に左右されます。
そのため処理を担当するWebサーバーや接続に必要なネットワーク環境といったインフラもWebアプリの重要な要素です。利用者から処理が遅かったり、Webブラウザでエラーが表示されて使えない、といったクレームが寄せられる前に、Webアプリを支えるインフラがボトルネックにならないように配慮してください。
Ruby on RailsでWebアプリを作るメリット
先ほど紹介したようにWebアプリの処理の中心はサーバー側に作られるバックエンドのプログラムです。なおサーバー側のプログラム作成に使われるプログラム言語は、利用者が多いJavaやPHPなど、いろいろな言語が使われます。その中でもメリットの多いプログラム言語がRubyです。
次からRubyでWebシステムの開発に使われるフレームワークであるRuby on Railsのメリットについて紹介します。
開発効率が高い
プログラム言語Rubyの特徴とは、少ない記述量で読みやすいプログラムを書ける点です。そしてRuby on Railsは、そのようなRubyのメリットを最大限に活かしたフレームワークです。そのため、開発効率の高いプログラム言語を使うとすれば、Ruby on Railsを検討してください。
ただしRubyはオブジェクト指向のプログラム言語なので、扱いが難しいのではと思う方がいるかもしれません。確かにオブジェクト指向を解説した本の中には、英語をそのままカタカナにした言葉が並び、抽象的な説明が続きます。しかし、Rubyは直感的で学びやすいプログラム言語なので短期間で習得可能です。
最小限の記述でWebアプリを実現できる
Ruby on Railsのようなフレームワークは、Webアプリで使われることの多い機能が用意されているので、それらを利用する最小限のプログラムを記述することでWebアプリを開発できます。これもRuby on Railsのメリットです。
ただしフレームワークを使うには、その規約に従わなければありません。Ruby on Railsを利用する場合も同様です。Ruby on Railsを利用するならその規約を学び、それに従ってください。
学習コンテンツを利用できる
Webアプリで作りたいアイデアがあったとしても、その作り方を知らないとWebアプリは作れません。もしRuby on RailsでWebアプリを作るなら、Rubyのプログラミングスキルを学び、Ruby on Railsの規約を理解して、Webアプリの作り方を学習しましょう。
インターネットを検索するとRuby on Railsの使い方を紹介するコンテンツが数多く見つかります。その中にはWebアプリの作り方を紹介さいたサイトや作成例もあるので、ぜひ、そのようなサイトを参考にしてください。
ポテパンスタイルにもRuby on Railsの使い方を紹介する記事があります。
ぜひ参考にしてください。
簡単なアプリを作って Ruby on Railsの使い方を学習しよう
Webアプリは開発したら終わりではない
ビジネスのアイデアを実現する手段としてWebアプリが活用されています。そして、これまで紹介したように、Webアプリを開発に向いたフレームワークがRuby on Railsです。ぜひWebアプリの開発に利用してください。
ただしRuby on Rilasにはメリットが多いフレームワークですが、Rubyには処理速度が遅いというデメリットがあります。Webアプリのアイデアを早期に実現するのには向いていますが、利用者が順調に増えていくと処理速度の遅さが問題になるかもしれません。
このようにRuby on RailsでWebアプリを開発してリリースしたら、それで終わりではありません。処理速度の改善など、必要に応じて修正できるように対策する方法も検討しておきましょう。
代表的なWebブラウザ
WebブラウザならどれでもWebアプリが動作する訳ではありません。Webアプリに必要なJavaScriptが動作しないWebブラウザもあります。Webアプリを開発する場合は、よく使われるWebブラウザで動作チェックしてください。